特集 御嶽海 勝ちっぱなしの前半戦 落ち着き光る理由は 大相撲初場所

御嶽海
「集中力を切らさずに、しっかりと自分の相撲を取るだけ。ふた桁という自分の目標に向かって期待に応えられるよう頑張ります」
関脇・御嶽海はただ1人の中日での勝ち越しにも引き締まった表情を見せた。
中日、8日目は小結・大栄翔との一番。相手の激しい突き押しに体がのけぞる場面もあったが、下がらずにこらえた。
そして、相手が引いた瞬間、すかさず体を寄せて押し出し。初優勝を果たした平成30年名古屋場所以来となる中日での勝ち越しを決めた。
三役としては通算28場所目となった。「次の大関」と周囲の期待は高まったが、大関昇進では貴景勝や正代などに先を越された。鋭い立ち合いからの一方的な相撲で連勝したかと思うと、あっさりと土俵を割る相撲を見せ安定してふた桁の白星をあげられていない。
最大の課題は精神面。場所前の取材では11勝した先場所も集中力を持続できなかったと明かした。
御嶽海
「気合いを入れているつもりでも『よし』というスイッチが入ってなかった。(克服法が)わかっていれば、苦労せずに上がれるんでしょうけど」
これまでも自身の課題に向き合い、試行錯誤しながら課題克服に努めてきたという御嶽海。“大関”という漠然とした目標設定ではなく「まずはふた桁勝利」と目の前の一番一番に向き合うことにした。
迎えた今場所、光るのは落ち着いた相撲内容だ。
初場所3日目 若隆景を寄り切りで下す
3日目、平幕の若隆景との一番は相手得意の右四つになりながらも下手からの攻めで揺さぶりながら、じっくりと寄り切った。
初場所5日目 霧馬山を押し出しで下す
5日目の平幕・霧馬山戦も立ち合いから突き起こしてきた相手に攻め込まれたが、引き技もまじえて自分有利の形をつくって最後は押し出した。
不利な体勢になっても、あわてず、粘り強く対応して、白星を積み重ねている。
御嶽海の師匠、出羽海親方は「肩の力が抜けて落ち着いて相撲が取れている。冷静に相手の投げなどにも反応できていて体もよく動いている」と見ている。
御嶽海も8連勝のあと「しっかり体も動いているし、負けないという気持ちを持っているので最高にいい。自分の相撲を取ったらしっかり白星がつながると思う。自分の相撲を取っていく」と話した。
白星も内容も充実の御嶽海。ふた桁白星、そして令和元年秋場所以来3回目の優勝へ、横綱との一番が控える後半戦に向かう。
この記事を書いた人

持井 俊哉 記者
平成26年NHK入局
北九州局を経て、スポーツニュース部。小1から剣道をはじめ、現在、5段。「打って反省、打たれて感謝」をモットーに何事にも謙虚に誠実にチャレンジすることを目指す。