ストーリー相撲

御嶽海 「もう一回大関昇進に挑戦したい」

2020-07-01 午後 0:26

御嶽海は、すでに2回の優勝を果たして大関昇進の第1候補と言われ続けてきましたが、学生相撲出身の後輩・朝乃山にも先を越される形になりました。一方で3月の春場所は、優勝した去年の秋場所以来となる2桁の10勝を挙げて関脇に返り咲き、巻き返しの決意を新たにしています。七月場所へ臨む心境を聞きました。

春場所の10勝は収穫 横綱のどちらかには勝ちたかった

御嶽海(寄り切り)朝乃山(春場所6日目)

 

――3月の春場所で10勝、2桁勝ちました。自分ではどう考えていますか。

御嶽海(以下、御):うーん。まあ勝って当たり前の数かなと思いますね。

 

――関取は2回優勝しているわけですからね。

御:三役で2桁勝ったのは優勝した2回だけなのです。春場所は平幕(西前頭三枚目)だったけれど、対戦する人は変わらないので、2桁勝ったのは、自信じゃないけれど、いろいろな意味で収穫になりましたね。

 

「春場所は、横綱のどちらかには勝ちたかった」 白鵬が御嶽海を下す(春場所7日目)

 

――ただ両横綱に勝てなかったことについては悔しさがあるのでは。

御:やっぱり勝ちたかったですね。少なくともどちらかには。自分の相撲が取れれば勝てるという自信はあるのですが、それをさせてくれないのが横綱なんでね。横綱の思いどおりにはさせたくないと思っていくのですが、されてしまう。でもこれまでも何回か勝っています。だからこそ、どちらかには勝っておきたかったというのがありました。

稽古で弱いと言われるが自分なりにすべてを出している

稽古総見で汗を流す御嶽海(左)(2020年1月6日)

 

――ちょっと失礼な言い方ですが、関取は強いときはめちゃくちゃ強いけれど、弱いときは、「え」と思うほど弱いことがありますね。

御:ええ半端なく、幕下レベルになりますね。

 

――春場所も最後は2連敗で終わりました。

御:正直言うと優勝の可能性がなくなって少し気持ちが切れてしまったということがありましたね。そのあたりも課題です。

 

――これも失礼な言い方ですが、稽古場で弱い弱いと言われる。

御:そうですね。本当によく言われますね、でも手を抜いているつもりはないです。本場所になると急に強くなるということで、「死んだふりをしている」と言う人もいますけれど、大相撲に入って1~2年でなく、5年もやってきて、いまだに死んだふりに引っかかる人がいたらちょっとおかしい。私はこのやり方でやってきているということです。いつも春日野部屋と稽古をするので、栃ノ心関との稽古で言うと、関取は右四つでくる。どこで右の差し手を殺すと嫌がるのか、どのくらいの高さでまわしを取ると嫌がるのかと、考えながら、試しながらやっているんです。相撲なので0点何秒という世界で。これがはまると、栃ノ心関とやっても10番のうち何番か勝つようになるのです。私も私なりにすべてを出しているのです。

力の底上げを課題として意識 攻め切れないときの守りの対策を

 

出羽海一門連合稽古でぶつかり稽古をする御嶽海(2020年1月3日)

 

 

御:力の底上げという課題は、ここへきて意識はしていますね。

 

――底上げというのはもう少し具体的に言うとどういうものですか。

御:稽古場で今100の力を出しているとすると、本場所で70、80まで下がってしまわないように90までで止める。一方で上を150まで上げることですね。そうすれば落ちたときでも前頭五~六枚目くらいの力士には簡単には負けなくなると思うのです。この「底上げ」を、ここ1~2年はずっと考えています。

 

――具体的には何に取り組んでいるのでしょうか。

御:巡業でしっかり相撲を取るようにしてきました。また以前は1週間出稽古に行けと言われても、3~4日でやめることがあったのですが、1週間通して行けるような体力もついてきました。「レパートリーを増やしたいなあ」というのもあります。

 

――もともと押して良し、差して良しという力士ですから、課題は攻められて守りに入ったときですかね。

御:守る稽古をしていないですね。攻め切れなかったときにもう1回攻める体勢がない。ちょっと差されただけでもう負けちゃうのというのが多いんですよね。差されても何かをしなければいけない。そういうところを考えて稽古したいと思います。そういう細かいところがやれていないんです。

朝乃山の大関昇進 悔しいと言うのには疲れた

 

――言われたくないとは思うのですが、朝乃山関が先に大関に上がってしまった。悔しさは当然あるでしょう。

御:う~~~ん、悔しいと言うのに疲れました。

 

――言い続けてきたからですか。

御:そうですね。早くから上がると言われていたのに、髙安関に上がられ、貴景勝に上がられ、朝乃山に上がられた。そういう悔しさをばねにと言われるけれど、結局私の中では悔しさはばねになっていないんだなと思いました。問題はそこではなく、やはり力の底上げ。階段はちょっとずつ上がっているつもりです。朝乃山について言えば、学生出身で久々の大関だし、同じ北信越の出身だから、素直にうれしかったですけれどね。子どものころから知っているし、大学でも知っているし。春場所で10勝できたのは、朝乃山のおかげでもあるし、去年の九州場所、ことしの初場所と連続で負け越したおかげでもあります。もう1回大関に上がるという目標が立ちました。

筋トレを始めました 出歩けないのはしんどい

御嶽海は30キロの重りを手に土俵で基礎トレーニング(東京墨田区・出羽海部屋)

 

 

――新型コロナウィルスの感染防止で外に出られない中で、どのような稽古をしてきたのですか。

御:稽古は基礎運動ばかりでしたね。夕方の4時ころから部屋の屋上で器具を使って体を動かす筋トレを始めました。この自粛期間からです。

 

――七月場所への不安はありますか。

御:特にないですね。

 

――精神的にはどうですか。

御:出歩けないのがつらいですね。むしろそっちの方が特に私にはしんどいかも(笑)。

この記事を書いた人

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古橋 明尊

元NHK記者。大阪放送局スポーツ専任部長、報道局スポーツニュース部長等を務める。現在は相撲専門雑誌「NHK G-Media大相撲中継」の編集担当。曙、若貴の横綱時代に大相撲取材。

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