特集 阿炎「まだ私は強くなれる」大相撲初場所を前に抱負を語る

7場所ぶりに幕内に戻った九州場所で12勝を挙げ、敢闘賞を手にした阿炎は、番付を一気に9枚上げて、西前頭6枚目で初場所に臨みます。
吉田賢アナウンサー
大相撲中継でおなじみ吉田賢アナウンサーが初場所を前に阿炎にインタビューしました。
動画を見て相手を研究するのが場所中の日課
Q 関取は、相撲を取り終わったあとは、もう次の日の相手に備えているんですか。
九州場所で言うと、帰り道にその日の自分の相撲を見て、ご飯を食べ終わったら動画を見て次の日の相手を研究する、という感じです。
九州場所11日目 突き倒しで宇良を破る
Q 関取の相撲はもろ手で当たってからパンパンパンと突いていくので、相手によって変わるということがないのかなとも思うのですけれど、違うんですね。
相手の足の出し方とか手のつき方で呼吸の合わせ方も違ってきます。土俵際ではどっちに回りやすいとかも、全部完璧に分かるわけではないですけれど、なんとなく知っておくだけでも、頭の隅に置いておけば、調子がよければ体が反応するのです。
「左が差さってしまった」照ノ富士戦は最後に「甘さ」
九州場所14日目 照ノ富士を攻める阿炎
Q 九州場所は14日目に、関取が1敗で、全勝の横綱照ノ富士関と対戦しました。当然優勝争いと周りは言い出しますよね。どう意識していましたか?
全くなかったですね。自分の相撲を取るだけだったし、それに必死だったので。横綱、大関には胸を借りるつもりでいきました。頑張っているところをお客さんや家族に見せられるのは土俵の上だけなので、自分の相撲を出すつもりでいきました。
Q その横綱戦はどうでした?
その前の日の大関貴景勝関戦と変わらず、研究して自分の相撲を取れるように集中してと、そういう準備を整えて臨みました。とにかく左上手は絶対取らせてはいけない、自分が差してはいけないと、そういう気持ちでした。
Q まさにそのとおりの相撲が取れたわけですね。
しかし最後が私の甘いところで、左が差さってしまった。そのあと肩透かしにいったと言われてるんですけれども、差してはいけないと思っていたんで、自然と手を抜こうとしたんですね。そこで横綱の力が強くて圧力を受けて足をついてしまった。
Q 勝つことはできませんでしたけれども、あそこまで攻め込んで、手応えというのはつかんだのではないですか?
まだ私は強くなれるなという気持ちにはなりました。
千秋楽の敗戦はだめなところが全部出た
「集中力が足りなかった」という千秋楽の隆の勝戦
Q なるほど。そして隆の勝関に押し出しで負けた千秋楽の相撲はどう振り返りますか?
隆の勝関の立ち合いは重いとは知っていたんですけれども、私はまっすぐにいって圧力負けしてしまった。だめなところが全部出たというか、足もそろっていましたし。
Q 前の日の横綱戦で気力と体力を全部使い果たしての千秋楽と見えたんですが。
そう思われるということは、私がまだまだ未熟だということです。一番一番の集中力という点で、千秋楽は一つ足りないということだったんですかね。見ている人たちがそう思うのであれば、足りなかったんだろうし、そう考えれば私はまだまだだなと思います。
初場所は集中して自分の相撲を取り感謝を伝えたい
Q 初場所は、役力士と対戦するようなところまで番付が上がりましたが、どう思っていますか。
変わらずに、今までやってきたことを出せるように準備して臨みたいと思います。
Q そして初場所の抱負を聞きたいのですが。
吉田さんが言ったように、千秋楽の相撲は集中力が切れてしまったのではないかと思ってる人がいるようなので、そういうふうに思われないよう、最後まで集中しきって、勝とうが負けようがしっかり自分の相撲を取りたい。そして新型コロナウイルス感染防止のために外出が禁止されていた規則を破って出場停止処分を受けましたけれど、応援してくださってる方々に、感謝の気持ちが伝わるようにしたいですね。
Q 令和4年の目標はありますか。
私はまだまだ強くなれると思っているので、しっかりした体作りと相撲内容の見直しを目標にしていきたいと思いますね。
Q まず三役復帰を目指したいですね。
まあそれはあまり考えないようにして、自分を出し切っていい相撲を取れば、星はついてくると思うので、しっかり弱点を直して、強くなりたいです。
相撲専門雑誌「NHK G-Media大相撲中継」から