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特集 元横綱 稀勢の里の二所ノ関親方が期待!隆の勝、若隆景、阿炎、明生は上を目指せ

相撲 2022年1月4日(火) 午前9:05

横綱照ノ富士1強を崩すのは誰か?次の横綱・大関候補は?2021年12月24日付で名跡を荒磯から変更した二所ノ関親方に、令和4年の大相撲を予想し、語ってもらいました。

危ないと思っても余裕がある照ノ富士

九州場所で2場所連続6回目の優勝を果たした照ノ富士

 

令和3年は照ノ富士時代になってきたなという感じのする1年でした。締めの九州場所で全勝優勝して、なかなか対抗馬が出てこない。頭一つ二つぐらい、いや二つ三つ抜けている感じですかね。

 

九州場所2日目 照ノ富士がすくい投げで大栄翔を下す

 

九州場所は阿炎戦や大栄翔戦など「危ないな」と思うような相撲があったんですけれど、スローで見直してみると照ノ富士は余裕がある。パッと見るよりスローで見た方が照ノ富士の強さが際立っていました。

「腰ができている」隆の勝、若隆景のおっつけを受けてみたい

上を目指す力士で注目しているのは隆の勝です。

 

九州場所で敢闘賞を獲得した隆の勝

 

玄人受けする力士かと思いますが、攻めても攻められても腰の位置が変わらず、腰の出来がすごい。もっともっと出来上がったら、本当に上に行くんじゃないか。横綱は分からないですが、あの相撲であれば大関にはなれると思います。

 

九州場所5日目 若隆景(左)が寄り切りで御嶽海を破る 

 

また私は若隆景が好きなんです。一度土俵に上がって、私の武器の左差しに対して、若隆景に右のおっつけをしてほしいと思っているくらいです。どういう感じなのか一度食らってみたい。若隆景は、もっと肉がついて、いっぺんに持っていかれるような相撲がなくなれば、面白いと思います。

 

隆の勝と若隆景、この2人が出てきたら面白いですね。同時大関昇進だったら、なお、すばらしい。現在は隆の勝が1歩リードしているかもしれないけれど。

 

九州場所初日 千代丸を攻める阿炎(左)押し出しで破る

 

さらに阿炎です。阿炎は今のままでいいです。一発の強さを持っているので、あの勢いのまま上位を脅かし、これだっていうものを持てれば、大関も全く夢ではないと思いますね。出場停止という処分を受けて、成長してきたのかなと思います。

「明生は足幅を変えればいける」と元3横綱一致

場所中の警備室で、一緒になった親方と、相撲談義みたいなものをするんです。メンバーは白鵬、鶴竜、琴欧洲、豪栄道…、結構豪華ですね。その相撲談義で、九州場所でいちばん注目されたのが明生でした。鶴竜と白鵬と話していたんですが、明生の足の幅というのがメインの話題でした。

 

2021年6月 名古屋場所に向け稽古する明生

 

明生は、負けている相撲は全部はたかれているんです。「前に落ちるというのは足の幅が合っていない」ということで、3横綱の意見が一致しました。ほんの半足、10センチで変わる世界なんですけれど、ちょっと幅が広いので、立ち合いの圧力が外に逃げるんです。

 

秋場所12日目 明生(右)が照ノ富士を下手投げで破る

 

鶴竜は現役時代、立ち合いの右足の踏み込みが、ものすごく速かったですし、白鵬は別格の存在。私も足幅にはこだわっていました。そういう3人から見て、明生は足幅を変えれば、相手の懐に入った瞬間に爆発するような相撲が取れる、となったわけです。そうすれば大関にもなれますね。

照ノ富士に対抗する目立ちたがり出てこい

令和4年は、早く照ノ富士の対抗馬が出てきてほしいです。千秋楽までハラハラドキドキするような優勝争いが見たいですから。照ノ富士が抜けている感じですので、追いつけ追い越せとまではいかないけれども、近づく力士には出てきてほしいですね。

 

 

また目立ちたがり屋の力士に出てきてほしい。「一発この相手を食って新聞に載るんだ!」というような、目立ちたがりにね。照ノ富士と対戦したら、優しく寄り切られてそのまま帰ってくるのではなく、とりあえず一発顔面を張って、ぶん投げられて負けてくる。そのぐらいでいいんじゃないですかね。期待しています。

 

 

相撲専門雑誌「NHK G-Media大相撲中継」から

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