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特集 カーリング北京オリンピック世界最終予選!ミックスダブルス日本代表2人の意気込みは?

カーリング 2021年12月3日(金) 午後10:00

いよいよ12月5日から、オランダ・レーワルデンで開幕する『カーリング北京オリンピック世界最終予選』。

 

日本は現時点で、男子・女子・ミックスダブルスの3種目いずれも北京オリンピックの出場枠を得ておらず、この世界最終予選の狭き門を勝ち抜かなければオリンピックへの道は開けません。独特の緊張感があるというこの大会、それぞれの種目に出場する日本代表を紹介します。まずは前回、2018年のピョンチャン大会からオリンピック正式種目となったミックスダブルスの代表です。

日本最強オールラウンダーペアがオリンピック初出場狙う

今大会、ミックスダブルスに日本代表として出場するのは、松村千秋・谷田康真ペア。

 


松村選手は長野県軽井沢町出身の29歳。女子・中部電力のキャプテンとして、3番目に投げるサードを務めています。

 

 

谷田選手は北海道名寄市出身の27歳。男子・コンサドーレで2番目を投げるセカンドを担っています。

 

ミックスダブルスはその名の通り、男女2人がペアを組んで行われます。4人制のカーリングと同じシート、同じストーンを使い、点の数え方や基本的なルールは変わりません。

 

大きく異なるのは、あらかじめストーンが両チーム1つずつハウスの中か外に置かれた状態からスタートすることと、1エンドあたり5つのストーンを2人で投じること。男女どちらかが1投目と5投目を、もう一人が2,3,4投目を担当します。

 

4人制では1エンドあたり8つのストーンを投じるのに対し、ミックスダブルスは3つも少ない。ということは、1つのストーンも無駄に出来ず、細かなミスが失点に直結しかねません。また、ストーンがたまりやすい展開が多く大量得点も狙え、スリリングな試合になりやすいのがミックスダブルスの大きな魅力です。

 

 

松村・谷田ペアの最大の特徴は、2人ともに4人制の全ポジションを経験していること。

 

リード(1人目)が序盤を組み立てるような安定したドロー(止める)ショット。

 

セカンドやサードが主に要求される、一発で局面を変える速いテイクアウトショット。

 

フォース(主にスキップ)が最後に投げるようなプレッシャーのかかるシビアなドローショット。

 

 

そして、投げ手のちょっとしたミスもカバーしてしまう強力なスイ―ピング。自分が投じたストーンを自らスイープするのはミックスダブルスならではです。

 

そのすべてを兼ね備えた2人は、まさに『日本最強のオールラウンダーペア』なのです!

ようやくつかんだ初の世界大会 コーチ席にも注目!

松村・谷田ペアは2019年夏に結成し、3シーズン目。去年の日本選手権では実質的な準備期間が約1週間しかなかったにも関わらず、いきなりの優勝を遂げました。しかし、その年の世界選手権はコロナ禍の影響で中止に。世界への挑戦はかないませんでした。

 

2020年のカーリング混合日本選手権で初優勝

 

ことしの日本選手権では、連覇すれば日本代表に決まるというプレッシャーと「どのチームも捨て身の覚悟で向かってきた」(谷田選手)という中で決勝に進出したものの、決勝では吉田夕梨花・松村雄太ペアに序盤から大量失点を喫し、大差で敗れました。

 

 

日本代表を決める争いは、ことし9月の代表決定戦にもつれ込みました。松村・谷田ペアは予選リーグを1位で勝ち上がり、決定戦の相手は吉田・松村ペア。

 

 

ピンチもすぐに挽回し、松村千秋選手が兄の雄太選手にプレッシャーをかけられた場面でもドローショットを投げ切って勝利。日本選手権の雪辱を果たし、世界最終予選の日本代表に決定しました。

 

 

松村選手は「世界選手権に出られなかったことを経て今回世界に挑戦できるので、強い気持ちを持って挑みたい。日本代表決定戦の時は楽しみながらもすごくいいパフォーマンスが発揮できたので、今大会も楽しむだけではいけないが、そういった気持ちを持ちながらパフォーマンスを上げられれば、いい結果もついてくるんじゃないかと思う」と世界の舞台に挑む抱負を聞かせてくれました。

 

谷田選手はコンサドーレの一員として、ミックスダブルスの後に行われる男子の世界最終予選にも出場します。「2種目の出場になるので、ことしの春から体力強化とショットの精度のアップには力を入れてきた。もっと速いテイクアウトショットも必要だと感じ、前よりも1秒くらい速いウェイトで投げられるようになっている」と大会に向けての成長を語ってくれました。

 

コンサドーレは10月上旬からカナダ遠征をスタートし、松村選手がそこに11月から合流する形で行動を共にしています。谷田選手はコンサドーレの練習とうまくバランスを取りながら、ミックスダブルスの練習にも取り組んでいるそうです。スイスでの最終調整も「かなり順調に、いい準備ができている」と、頼もしかったです。

 

また、今回2人のコーチとして、オリンピック3大会出場の小笠原歩さんが付くことになりました。

 

小笠原歩さん

 

小笠原さんは2013年のソチオリンピック世界最終予選を経験している頼もしい存在です。タイムアウトの時にはどんな金言が授けられるかにも注目です。

オリンピック出場枠は2つ 厳しい戦い

ミックスダブルスは、まず、7チームずつ2つの予選リーグ(グループA、B)でそれぞれ総当たり戦を実施(日本はグループB)。次にグループAの2位とグループBの3位、グループBの2位とグループAの3位が対戦する「プレーオフ」を行います。

 

さらに、プレーオフ勝者とグループA・Bの1位が対戦する「決定戦」を実施。決定戦の勝者2チームにオリンピック出場枠が与えられることになっています。出場14チームで2つの出場枠を争う厳しい戦いから、目が離せなくなりそうです。

この記事を書いた人

田中 秀樹 アナウンサー

田中 秀樹 アナウンサー

2003年NHK入局 山形-福井-札幌-名古屋-東京で勤務
カーリングは2013年から携わり、以降ほぼ毎年世界選手権、日本選手権で実況を担当。期間中はストーンの音と選手の掛け声がよっぽど耳に残るのか、夢にもカーリングが出てきます。

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