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特集 阿炎 大相撲九州場所で幕内復帰「新しく一歩進んだ」

相撲 2021年11月10日(水) 午前11:00

阿炎が九州場所で7場所ぶりの幕内復帰を果たしました。阿炎は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため日本相撲協会が外出を禁止していた去年7月場所前から場所中にかけて、外出を繰り返して3場所出場停止などの処分を受け、幕下まで番付を下げていました。

 

吉田賢アナウンサー

 

不祥事を反省し、次は幕内上位を目指す阿炎に、NHK大相撲中継でもおなじみの吉田賢アナウンサーがインタビューしました。

幕内復帰でまた一歩先に進めた

十両優勝の阿炎(秋場所千秋楽)

 

Q 秋場所に十両で優勝し、幕内に復帰しました。おめでとうございます。

 

ありがとうございます。

 

Q ちょうど1年ぶりの幕内復帰です。どんな思いでしょう。

 

そうですね。自分の中では新しく一歩進んだという感じですね。

 

阿炎(左)は錦富士を破って13勝を挙げ十両優勝  幕内に返り咲いた(秋場所千秋楽)

 

Q 前の一気に三役に駆け上がったころは、勢いに乗ってという部分もあったでしょうからね。

 

流れに身を任せていたという面が強かったので、今思うと相撲としっかり向き合えていなかったんじゃないかと思います。それが今と以前の相撲の違いかなと思いますね。

 

錦木を攻める阿炎(右) 押し出しで破る(秋場所14日目)

 

Q 十両の土俵ではありますが、私は見ていて、前以上に一発一発の突きの威力が増したなと思いましたけれどどうでしょうか。

 

自分の中では変わったという気はしないんですけれども、そう言ってもらえますと自信につながりますし、自分でもそういう相撲を見せられたらなと思っています。今までは見せるための相撲が多かったんです。自分を見てくれという、まあ「目立ちたがり屋」というか(笑)。今は一番一番に向き合うことが大事だと思うようになったので、その差がありますね。

幕内で取ってから家族と住むつもり

土俵入りする阿炎(秋場所4日目)

 

Q 精神面で関取を変えたのは、やはり出場停止期間があったからかなと思うんですけれども、自分のしてしまったことをどう思いますか。

 

処分を受けたときは、子どもが生まれて人の親になったのに、ルールも守れないようでは親としてだめだと思いましたし、1人の人間としても本当に情けないと思いました。外出しないというのはみんなが守っていたルールだったわけですから、親というより前に、人としてだめだなというのを、最初に反省しました。

 

Q 処分の期間は、家族と離れて部屋で暮らしていたんですね。

 

今もまだ離れています。

 

Q まだ家に戻っていないんですか。

 

師匠(元関脇寺尾の錣山親方)は幕内に戻ったら帰っていいよと言ってくれたんですが、自分の中では、幕内で勝ち越しというか、定着しないと、と思っているので、一場所くらいは幕内を経験して区切りをつけて、今は妻の実家にいる家族と一緒に住もうと考えています。

 

Q 師匠が帰っていいと言ったのに戻らないというのは、思いが強いですね。でも奥さんやまだ赤ちゃんのお嬢さんと離れているのは、関取自身はかなり厳しいことでしょう。


そうですね。けれどもそういうのがあって「情けないな」と思い、親としてしっかりしたいなと思いました。だから問題を起こしてしまったことを、今は人生の重要な分かれ道だったと思っています。いい方向に気持ちが向けられるようになって、残してくださった相撲協会や師匠に対しては本当に感謝しかないですし、まだまだこれからですけれども、また変わっていければいいなと思います。

九州場所では変わった自分を出せればいい

人気の高く足が上がる阿炎の四股(秋場所4日目)

 

Q お嬢さんは?

 

1歳と3か月になりました。

 

Q そうすると、もう歩いているんでしょう。

 

歩いていますね。目が離せないそうで、嫁はすごく大変そうですけれど。離れて錣山部屋で暮らしていると言っても、場所のあとの休みのときや、緊急事態宣言が解除されてからは家に帰してもらって、嫁と子どもと過ごしたりしました。

 

Q かわいいでしょう。

 

いやあ、かわいいですね。携帯のカバーも待ち受け画面も子どもにしているんですよ。(笑)

 

四股名入りのタオルを掲げて阿炎の応援(秋場所12日目)

 

Q 九州場所はどういう相撲を取っていきたいですか。

 

そうですね。変わらず自分らしさをとことん出していきたいとは思っていますし、変わった自分をすべて出せればいいかなと思います。

 

 

相撲専門雑誌「NHK G-Media 大相撲中継」から

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