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特集 阿武咲(25)ホープが本領発揮 大相撲秋場所

相撲 2021年9月25日(土) 午前10:00

新横綱・照ノ富士が序盤から圧倒的な強さで白星を重ねてきた秋場所。終盤に平幕の力士たちが意地を見せている。阿武咲(前頭6枚目)、妙義龍(前頭10枚目)、遠藤(前頭11枚目)の3人。秋場所13日目を終えて、いずれも星の差1つの3敗で横綱を追いかけ優勝への望みをつないだ。

 

この日、底力を見せつけたのが25歳の阿武咲。大関・正代に押し込まれ、一気に土俵際まで後退した。かろうじて踏みとどまり、逆襲に転じる。鋭い出足から最後は大関を寄り切りきった。

 

 

幕内後半の藤島審判長が「調子がいい。今場所は前に出ることを徹底しているんじゃないか」と絶賛。阿武咲も「(土俵際に)押し込まれた時はちょっと焦った。下から入れば、まだいけると思ったし、最後まで何があるかわからないので」と大きな手応えをつかんだ一番となった。

 

 

新入幕から3場所連続で10勝を挙げ、平成29年九州場所では新小結に昇進。ホープと言われ「次の大関」への期待もされた。

 

番付表を手にする阿武咲(2017年)

 

しかし、ひざのケガなどで、ここ3年ほどは平幕での土俵が続き、直近の3場所は負け越した。それでも、ひたすら前に出る相撲で、今場所は“阿武咲らしさ”を発揮している。もちろん、それだけの準備があってのことだ。

 

合同稽古で白鵬(手前)から助言を受ける阿武咲

 

場所前の合同稽古では、髙安や隆の勝らと合計40番近く相撲を取った。3日目には横綱・白鵬に声をかけられアドバイスを受けた。

阿武咲

立ち合いの当たり方だったり、“もっとこうしたほうがいいよ”と。本当に自分も課題にしているところだったので、そういうことばを頂けるのはうれしかった。

 

充実した時間を過ごして秋場所を迎え、結果を残しつつある阿武咲。3敗を守った取組のあと「1日、一番、しっかり集中してやれることをやるだけ。一生懸命やっていれば、結果はついてくると思う」。

 

その相撲を見るかぎり脂が乗っているのは疑いようがない。残り2日間は、どんな相撲を見せてくれるのか。この日の取組のような鮮やかな逆転劇で優勝をもぎとっても不思議ではない。

この記事を書いた人

小野 慎吾 記者

小野 慎吾 記者

平成28年NHK入局。岐阜局を経て、2019年8月からスポーツニュース部で格闘技(大相撲、ボクシングなど)を担当。前職はスポーツ紙記者。

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