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特集 新横綱 照ノ富士 不動の心で… 大相撲秋場所

相撲 2021年9月20日(月) 午前11:20

 

「冷静になれたかな」

 

秋場所中日8日目、照ノ富士は取組後の取材で淡々と振り返った。ただひとり8連勝し横綱として初めての勝ち越しを決めた。照ノ富士が今場所、繰り返していることばがある。

 

「冷静に」「落ち着いて」

 

5日目には「もう落ち着いて相撲を取ろうとしか考えてない」とまで言った。

横綱昇進伝達式での口上「不動心」

 

横綱昇進伝達式での口上で照ノ富士が心のあり方を示した『不動心』という言葉。

 

横綱として初めて臨んだ今場所で、その「不動心」を体現している。相手のさまざまな攻め手に対しても全く動じず白星を重ねてきた。

 

 

中日の一番もことばどおりの相撲だった。相手は36歳の玉鷲(前頭4枚目)。今場所、大関・貴景勝を破るなど、まだまだ健在のベテランと対戦した。

 

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立ち合いで動いてきた玉鷲の左のおっつけに右の強烈なのど輪、一気に土俵際に追い込まれた。ついに黒星かと誰もが思ったであろう瞬間。

 

 

照ノ富士はすぐさまもろ差しで立て直し、悠々と前に出て寄り切って逆転で今場所8個目の白星を手にした。

 

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NHKの大相撲中継で解説を務めた武隈親方(元大関・豪栄道)は「横綱の強さが際立った。この一番を見た力士に『何をしても勝てない』という印象を植え付けた」と絶賛した。

 

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中日での勝ち越しは照ノ富士だけ。早くも優勝への1人旅の様相を呈してきた。新横綱での優勝は、年6場所制が定着して以降では4人(大鵬、隆の里、貴乃花、稀勢の里)だけ。このうち全勝優勝は昭和58年秋場所の隆の里わずか1人だ。

 

残りはあと7日。何があってもぶれずに動じない「不動の心」で土俵に上がり続ければ、38年ぶりの新横綱での全勝優勝という快挙を成し遂げるに違いない。

 

この記事を書いた人

坂梨 宏和 記者

坂梨 宏和 記者

平成21年NHK入局 福岡県出身

長崎局、広島局などを経てスポーツニュース部。ヤクルト担当。

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