ストーリーパラスポーツ

パラ陸上の魅力が凝縮!新種目「ユニバーサルリレー」って何?

2019-11-06 午後 02:56

2020年の東京パラリンピックから正式種目として採用されるユニバーサルリレー。パラ陸上ならではの魅力がつまった注目の種目なのですが、どんなリレーかご存知ですか?

 

ドバイで開催中の「パラ陸上 世界選手権2019」でも11月14日(木)に行われるユニバーサルリレーのルールや見どころ、そして期待の日本選手を、元マラソン選手で現在は日本パラ陸連会長を務める増田明美さんに教えていただきました!

増田明美(ますだ・あけみ)

1964年、千葉県生まれ。
1982年にマラソンで日本新記録を出し、1984年のロス五輪ではメダルを期待されたが、無念の途中棄権。1992年に引退するまでの13年間に日本記録12回、世界記録2回更新。現在はスポーツジャーナリストとして執筆活動、マラソン中継の解説に携わるほか、ナレーションなどでも活動中。

ユニバーサルリレーってどんな種目?

 

増田「ユニバーサルリレーは視覚障害、立位の切断及び機能障害、脳性まひ、車いすの順番で男女2名ずつ、計4名の選手で走るリレーです。1人あたり100メートル、合計で400メートルを走って競います。一般的なリレーと違って、バトンを使わずにタッチで次の走者につなぐのも特徴ですね」

 

男女の順番は自由なため、どの順番で走るかも重要な戦略となる。視覚障害の第1走者は伴走者とともに走る

 

増田「いろいろな選手が出場するので、パラ陸上の象徴ともいえる種目です。さまざまな障害がある中で各選手が全力を出すメッセージ性の強い種目ですよね。

ユニバーサルリレーによってパラ陸上の裾野が広がっていきますから、障害そのものを知るきっかけにもなりますし、競技を始めるチャンスにもなるでしょう」

 

車いすは、足で走るのと異なる加速をするため、タッチが難しいそう。タッチの仕方やタイミングも重要なポイント

ユニバーサルリレーに出場する注目の選手を紹介!

障害や性別も超えた多様性が魅力のユニバーサルリレー。ここからは注目の日本選手をご紹介します。

 

第1走者 澤田優蘭(さわだ うらん):視覚障害

 

1990年生まれ、東京都出身。
幼少期に視力が低下し、視力視野の障害が進行して視力は0.01程度。2018年アジアパラ100メートルで金メダルを獲得、2019年の日本選手権とジャパンパラでは走り幅跳びと100メートルで優勝した。初の世界選手権となる2019年ドバイ大会では、東京パラリンピック内定をかけてユニバーサルリレーの他に走り幅跳び、100メートルに出場する。

増田「第1走者の澤田優蘭ちゃんはとってもおしゃれなのでネイルアートをしている爪に注目してみてくださいね。ユニフォームなので私服が見られないのが残念なくらい」

第2走者 井谷俊介(いたに しゅんすけ):立位の切断及び機能障害

 

1995年生まれ、三重県出身。
幼いころからプロのカーレーサーを夢見て鈴鹿サーキットに通い、大学時代よりカートレースに出場し始める。しかし、大学在学中に事故にあい、右下腿部を切断。その後2018年から本格的に陸上競技のトレーニングを始めると、2018年11月にインドネシアで開催されたアジアパラの100メートル予選でアジア記録を樹立。自身のSNSには車を運転する姿も掲載しており、レーシングドライバーになる夢も追いかけている。

増田「第2走者の井谷俊介さんは個人でもメダルが狙える世界に近い実力者です。元カ―レーサーで、車が大好き。『またカーレース、やりたいなぁ』って言ってますね」

第3走者 高松佑圭(たかまつ ゆか):脳性まひ

 

1993年生まれ、大阪府出身。
脳性まひのクラスで左腕に障害がある。中学2年のクラブ活動で陸上を始め、2017年世界パラ陸上400メートルで銀メダルを獲得。100・200・400メートルの3種目で日本記録を持ち、2019年ドバイ世界選手権ではユニバーサルリレーの他に400メートルにも出場する。

増田「第3走者の高松佑圭ちゃんは人懐っこくてかわいいですよ。人が大好きなんでしょうね、私のことをお母さんみたいに慕って寄ってきてくれます」

第4走者 生馬知季(いこま ともき):車いす

 

1992年生まれ、和歌山県出身。
先天性の障害により、車いすで生活している。高校生の頃に陸上競技を始め、2016年の日本パラ陸上男子100・200メートルで優勝。2017年の世界パラ陸上ロンドン大会100メートルでは日本選手として唯一決勝進出を果たした。車いすT54男子200メートルの日本記録をもち、自身初となるパラリンピック出場を目指す。

増田「第4走者の生馬知季さんは和歌山出身でとてもあたたかい方。人が良すぎちゃうくらいですが、競技ではとても頑張ります。チーム戦だとより力が湧いてくるタイプなので、4人で力を合わせて頑張って欲しいですね」

パラアスリートは“スーパーマン”のような存在

増田さんは元アスリートとしてマラソンのイベントに出場する傍ら、日本パラ陸上競技連盟の会長も務めています。そんな増田さんから見た、パラアスリートのすごさ・魅力について伺いました。

 

 

増田「パラアスリートと関わるようになったときの第一印象は“スーパーマン”!それまでにも自閉症や知的障害の子と一緒に走る機会はあって、『歩けてよかったね』と喜ぶことはありましたが、世界で戦うパラアスリートは“スーパーマン”という感じでした。

 

ただ、選手にはアスリートとしてのプライドがありますから、見ていて余計な気遣いはいりません。各クラスでどのくらいの記録を出せたらすごいのか、純粋にアスリートとして見ると感動しますよ。筋トレや足を上げる技術など身体の使い方を見ていると普通に驚きますし、すごいと思ってもらえるはずです。

 

車いすや義手・義足との一体感に注目して観るとより楽しめるかもしれませんね。たとえば車いすはF1のレースを見ているようなスピード感が魅力的ですし、最近は義足などにも絵が描かれていたりしてとてもファッショナブル。おしゃれに履きこなしている選手を見ると素敵だなと思います。

 

パラスポーツそのものの魅力は多様性を楽しめるところにあると考えます。いろいろな人が活躍しているという点においては、社会と同じですよね。個性として『みんな違いながらも魅力的だよね』という気持ちになる人が増えたらもっといいなと思います」

 

ファッショナブルで魅力的な選手が増えているパラアスリート界。写真は走り幅跳びの中西麻耶選手(左)と兎澤朋美選手(右)

パラ陸上世界選手権の見どころは?

男子走り幅跳びに出場する山本篤選手

 

増田「パラアスリートは『かっこいい』『きれい』という視点でも楽しめるので、たとえばスター性のある山本篤(やまもと あつし)さんや、コケティッシュな魅力がある重本沙絵(しげもと さえ)さん、たおやかな感じが素敵な髙桑早生(たかくわ さき)さんなどに注目してみるといいかもしれません」

 

2018年アジアパラ陸上100m銅メダルの重本沙絵選手。リオパラリンピック400mでも銅メダルを獲得している

 

2015年世界選手権の走り幅跳びで銅メダルを獲得した髙桑早生選手。パラリンピックにはロンドン、リオの2大会に出場

 

増田「リオパラリンピックでメダルを逃した選手や、さらに上の色のメダルを狙う選手など、悔しさを抱えている選手が東京パラリンピックを目指しています。かと思えば、初めての出場を目指す選手もいます。そこに向けて、まずは世界選手権に注目です。おしゃれでクールな選手がたくさん出場して、とてもかっこいいですよ!」

 

パラ陸上 世界選手権2019 特設サイト



※こちらは、2019年11月6日に公開された記事です。内容は公開時のものとなります。

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!