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特集 松村千秋・谷田康真ペアが語る カーリング ミックスダブルス北京オリンピック日本代表決定戦

カーリング 2021年9月18日(土) 午後3:00

Q:いよいよ代表決定戦です。調整はいかがですか?

 

谷田:そうですね。正直まだそこまで近づいてきたなっていう実感は湧いてないんですけれど。ただ練習の集中具合だとかっていうのを、本当にいい集中を保っていい練習ができている感覚があるので、このまま今の調子で練習していって、いい準備をして稚内に入りたいなと思っています。

 

松村:2人で練習を始めて、始めたばっかりなんですけど、自分自身はそんなに悪くはないと思うので、あと残りの日数をうまく使って、調子を上げていきたいなと思っています。

 

“勝てば代表”の日本選手権で決勝進出「地力がついてきた」

Q:今年の日本選手権は決勝で敗れて、代表の座を決めることはできませんでした。少し前の話で恐縮ですが、そこから振り返っていただけますか?

 

谷田:日本選手権は戦いが始まる前から難しい戦いになるだろうなっていう予測はしていたんですけど案の定やっぱり難しいっていう。連覇すれば代表という目でも見られますし、大会前のインタビュー、大会中のインタビューでも常にそのことを言われながらの中で戦わなきゃいけなかったので、やっぱりそこにやりづらさ、プレッシャーって簡単にいっていいものなのかわかんないですけども、ありました。またそれを他の選手も分かっていますから捨て身の覚悟で向かってくる、いつもと違う大会を戦ってるなっていう感覚があった中で、決勝までしっかり行けたっていうのは、とても地力がついてきたんじゃないかなっていう感覚がありました。

 

 

Q:そこから半年近く経ちましたが、どんなところを強化してきましたか?

 

谷田:大会で出た、まずは技術的な部分の課題。2人の癖、うまく投げられない部分、2人のコミュニケーションだとか。6月に1回合宿を2人でやって、7月も1回やって、そこでひとつずつ段階的に1個ずつ改善していっている状況で、今は大会前の合宿というところで、総まとめみたいな形でチームのコンディションを上げている感じです。

 

Q:技術面に力を入れてきたんですね?

 

谷田:そうですね。もちろん決定戦で勝つためにもやっていますけど、その先の世界最終予選、オリンピックで勝つためには、やっぱり個々の技術力の向上はもう間違いなく必要なので、そこは重点的にかなり取り組んできました。

 

2人ともスイーパー…だけどなんでも平均的に高いレベルでできる強み

 

Q:ペアの中でのお互いの役割を教えて下さい。

 

松村:私たちの投げ順としては、2、3、4番目を谷田くんが投げてくれているんですけど、コンサドーレのチームの中でもスイーパーとしてやってきていますし、ドロー系のタップ(押し下げるショット)のウエイトとかドローのウエイトとかがすごく長けているなと思っているので、ダブルスに向いている選手だなってすごく思いますし、私もすごく頼っている部分があるので、作戦の部分でもすごく助けられています。

 

谷田:千秋さんも中電では今サードを投げていますけど、以前はスキップっていうポジションをやっていました。1投目ももちろん大事なんですけど、やはりラストロック(最後の1投)を投げていた経験が彼女にあります。そこは本当に僕も信頼を置いておいている部分です。あと今はサードでスイーパーもやっているので、女子でも掃けるっていうのはやっぱり僕らの強みかなと思います。

 

Q:どちらもスイープできるのは、やはりアドバンテージがあるのでしょうか?

 

谷田:そうですね。完全に僕の考えなんですけど、ダブルスで活躍できる選手っていうのは、最近の世界選手権を見ているとどんなショットでも投げられる、ドローも上手だし速いウエイトでも投げられる。かつスイープもできるし、ハウスに立ってラインも見られる。どのプレーもレベル高くできる選手が活躍している印象を受けます。その中で僕ら2人ともスイーパーですし、お互いにバックエンド(サード・スキップ)を投げていた経験もある。本当に何でも割と平均的に高くできるっていうところが強みなのかなと考えています。

 

Q:お二人が考えている自分自身の武器は?

 

松村:私は1番目と5番目で言えば、1番目はもうほぼドローのショットしかないんですけど、最終ショットは本当に何が回ってくるかわからないっていうところがありますが、基本何を投げる時でも決まるイメージを持って投げられるのがありますし、速いウエイトも持っているので、ピンチの時でもなんとかしのぐことができる力を持っているかなと思っています。

 

谷田:僕は今スイーパーなんで、スイープにはもちろん自信は持っていますけど、自分で投げた石を自分でジャッジして掃くっていうところは、結構自分では得意なんじゃないかなと思っているので、自分のストロングポイントにしています。

 

ペアの愛称には「しっくりきていない」

 

Q:ミックスダブルスのペアには愛称(藤澤・山口=フジヤマペア など吉田・松村(=チームゆりた)がついていることが多いですが、2人には何か愛称はありますか?

 

松村:うーん…毎回聞かれるんですけど、自分たちでは何も思いつかなくて、誰かつけてくれないかなって発信し続けているんですけど、あまり上がってこないというか。ちょっとつけづらい名前なのかなって思っています。

 

谷田:去年ミックスダブルス(日本選手権)で優勝した時は新聞に「松・谷ペア」って書いてくれたりはしていましたけど、特にしっくりはきてないっていう感じで…ちょっとね。

 

Q:お互い気が合うなぁと思う瞬間はありますか?

 

松村:お互いスポーツ好きでいろいろなスポーツを見るので、そこは合うのかなと思います。

 

谷田:そうですね。何度か合宿してきて、暇な時間というか空き時間があるときの過ごし方で、何したい?っていうときに、ちょっとお茶でも飲みたいみたいなとか、アクティビティ何かやりたい、他のスポーツで体を動かしたいっていう考えも結構あうので、そういうところは似ているっていうか。

 

Q:2人で何のスポーツをご覧になるんですか。

 

谷田:オリンピック期間はオリンピック見ましたし、一緒にではないけど、二人共見ているものが一緒だったので。あ、でも札幌の合宿の時ちょっとかぶっていたから。

松村:そうだね。

谷田:一緒に見た時もあったね。

松村:柔道とか。

谷田:柔道とか一緒に見ていました。

 

松村「兄には負けたくない」 谷田「夕梨花ちゃんには負けたくない」

 

Q:ライバルチームについても教えて下さい。竹田・竹田は、どんなチームだと考えていますか?

 

谷田:ことし2月の日本選手権の予選で戦ったんですけど、そんなに僕らも戦った経験がなかったんで未知数ではあったんですけど、やっぱり毎回予選を勝ち抜いて日本選手権に出てきている、ミックスダブルス歴も長いペアなので、ミックスダブルス特有のドローだったり、曲げながら置いてくるようなショットというのは、やっぱり2人の呼吸も合っているなって感じをすごく受けました。本当にミックスダブルスに長けたペアだなっていう印象です。

 

Q:谷田選手にとってはチームメイトで、松村選手にとってはお兄さん(雄太選手)がいる、吉田・松村についてはいかがですか?

 

松村:ゆりた(=吉田・松村ペア)は、去年と今年の日本選手権で何度か、予選でも対戦していると思うんですけど、(吉田)夕梨花選手はそもそもロコ・ソラーレで不動のリードですし、兄はやはりコンサドーレという日本一のチームで最後投げている人なので、やっぱり技術は本当にうまいと思いますし、2人の呼吸もすごく合っているので、試合を重ねるごとにうまくなっているように感じました。やはり自分は兄に負けたくない気持ちはすごくあるので、毎回戦うときは緊張とはちょっと違うんですけど結構元気が出るというか、親族には負けたくないっていうのは結構あります。

 

Q:吉田・松村とはやりづらいところはありますか?

 

谷田:こんなこと言っていいのかわかんないんですけど、正直僕としてはやりやすいですね。というのもミックスダブルスとしては去年の日本選手権、今年の日本選手権、強化チームの合宿でも何度も対戦しているんですけど、負けたのは今年の決勝で戦ったときだけなので。僕は結構いいイメージがあるので、やりづらさみたいのはあまりないです。

 

松村:私ですか?やりづらさは感じていないと思います。兄だからといってもないですし、夕梨花選手も女子の試合では結構当たりますし、うーん、そんなに嫌だなって思うこともなければ平常心でというか、割と楽しみな気持ちの方が大きいかなと思います。

 

Q:吉田・松村は、雄太選手が最後の一投を投げてくるパターンも結構ありますが、怖さはありますか?

 

谷田:うーん。正直あんまりないです。ただ僕もやっぱりチームで(雄太選手が)ラストロック投げている姿は見てますんで、ラストロックの精度に関しては、夕梨花ちゃんがラスト投げる時よりできるショットの幅も広い。普段からドローとか結構精度高いので、本人も自信を持っていると思いますし、僕もスイープをしていて決まる感覚っていうのを知ってますんで、そこは必ずいい場面でいいショットを決めてくれるだろうなとは思っています。かといって今の順番で戦うのがやりづらいかって言われたら、逆に僕としては4人制の時もそうなんですけど、同じポジションの相手には投げ負けないっていつも思ってプレーしているんです。僕の相手は夕梨花ちゃんになるので、僕はスイープは自分の方が強いと思っているんで、そこで逆にアドバンテージ取れるんじゃないかなというか。そこで取ることができれば、ラストロック、雄太くんに簡単なショットは投げさせずにいい形で迎えられるんじゃないかなと思っているんで、僕は夕梨花ちゃんに負けないように頑張りたいなって思っています。

 

松村:プレッシャーは兄だからといって他のチームの人と変わるかといったら、そんなことはないですね。ただ兄には負けたくない気持ちはありますね。

 

オリンピックへの欲は強い

 

Q:オリンピックへつながる代表決定戦。お二人のオリンピックへの思いを教えて下さい。

 

谷田:ミックスダブルスで日本のチームがオリンピックに出た実績っていうのはないので、そこで初めて出るチームが僕らでありたいなっていう気持ちは非常に強く持っています。今回代表決定戦を戦いますけれどもその先最終予選でも勝たなきゃいけないので、そこまで見据えて1日1日を過ごしていこうという思いでいます。

 

松村:私自身、4人制も入れたらオリンピックへは3回目のチャレンジになるんですけど、オリンピックへの意欲は強いんじゃないかなって思っています。ただ、ソチの時とピョンチャンの時のような、変な追い込まれ方というか、気持ちに余裕がなかったりというのはないです。むしろいい緊張感というか、リラックスしている感じなので。前回のオリンピックの時って今の時期になっていたら「あれやらなきゃこれやらなきゃ」って結構思っていたんですけど、今はリラックスしているので、いい感じで臨めると思いますし、今回はやっぱり通過点になっていくと思うので、しっかり12月も自分で取ってオリンピックに行きたいなと思っています。

 

Q:代表決定戦への意気込みをお願いします。

 

谷田:まずはこれまで準備してきたことを、氷の上で自分たちがしっかり出していく。3チームで戦いますので、1試合1試合、本当に大事。初戦から大事な戦いになってくるので、チャレンジャーの気持ちを持って、相手に当たっていきたいなと思いますし、本当に最後まで諦めず、一投集中が積み上がって結果に結びつくと思っているので、1試合1試合集中して戦っていきたいと思います。

 

 

 

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