特集 ランナー必見!中野ジェームズ流 疲労回復メソッド

走った後になかなか疲れが抜けない…というランナーの方に朗報!
疲労回復のコツを教えてくれるのは、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さん。
テニス・伊達公子選手の現役復帰のサポートや卓球・福原愛選手のオリンピック挑戦を支えた経験を持ち、2014年からは青山学院大学・駅伝チームのフィジカル強化指導を行っているプロ中のプロといえる方なんです!
中野さんが実際に青山学院大学で行っている体幹トレーニングを軸にしたメニュー、通称「青トレ」は市民ランナーの間でも話題になっていて、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし中野さんは、体幹を鍛えること以上に疲労回復が重要だといいます。走るだけでも疲れるのに、さらに体幹を鍛えるとなると、からだへの負担は増す一方。しっかり疲労を回復しないと、速くなるどころかパフォーマンスが落ちてしまいます。
それでは早速、実践!
疲れをためこまない“準備運動”
疲労回復を考える前に、そもそも疲労をためにくくする方が合理的。そのためには、活動前の準備運動が大切なんです!中野ジェームズ流の「動的ストレッチ」で疲労のたまりにくいからだを作りましょう。
動的ストレッチにおけるポイントは2つ。
・関節をしっかり動かして滑りをよくする
・筋肉をたくさん大きく動かして筋肉の温度を上げる
動的ストレッチによって、可動域が広がり、自然と体が軽やかに動くようになります。
特にランニングをされる方なら、肩と腰の関節と筋肉を重点的に、最低でも10分は動かしましょう!
では10分間、どのような動的ストレッチをすればよいのでしょうか。
今回は厳選して8つをご紹介します!
肩関節まわり
1、 ひじまわし
肩に手をつけてひじを曲げ、ひじの先を前→上→横→下(斜め後ろ)にしっかりと向けながら、大きな軌道で肩を前後20回まわします。
2、 肩甲骨まわし
今度は腕全体で円を描くように大きく肩を20回まわします。
ポイントは腕がてっぺんに来たとき!手のひらを外側に向けると、肩甲骨回りの筋肉がより大きく動きます。
3、 腕ふりの練習
次は、ランナーには欠かせない腕振りの練習です。前に伸ばした手をひじから後ろに引いていきます。
このとき、後ろに引くと自然と肩は上がり、前に振り戻すと、すとんと肩が落ちますよね。じつはこの脱力も、走るときの推進力になっているのです。これを意識しながら、前後に腕を20回振りましょう。
4、 肩甲骨と首まわりほぐし
ひじを軽くまげ、地面と平行になるように腕を上げます。肩甲骨から開くことを意識して前後に腕を20回開閉しましょう。このとき、腕を開きながら顔を上げて首まわりも一緒にほぐすのがポイントです!
この動作をすることで、長時間のランニングの腕ふりでも肩が凝らなくなるのだそう。
じっくり肩まわりをほぐしたら、次は股関節まわりに取り掛かりましょう!
股関節まわり
5、 ニーアップ
脚を軽く前後に開き、走るようなイメージで後ろ側の脚を大きく振り上げます。左右20回ずつ。振り上げるといっても、反動を使うくらいで速くなくてかまいません。
6、 ニーアップ+上半身
さらに、ニーアップの動きに上半身をあわせていきます。脚を前後に開いたら、さらに後ろの脚を深く曲げます。
そして、後ろに引いている脚側の腕を上げ、体幹の一部であるわきをのばしましょう。
そして腕をおろす勢いで、先ほどと同じようにひざを振り上げます。こちらも左右20回ずつ。
7、 サイドリフト
足を肩幅に開き、つま先を外側に向け、かかとを持ち上げます。そして腰を反らせて落とします。
そこから片方の脚を内側に向かって、ボールを蹴るイメージで振り上げます。
腰を落とすときには腰を反る、足を振り上げるときには腰を曲げる、を意識して左右20回ずつ行いましょう。
8、 股関節まわし
最後は股関節を左右20回ずつ、大きく回しましょう。
入念に準備運動を行えば、体が温まり可動域が広がることで無駄なエネルギーを使わずに済み、疲労をためにくい体に。
伸ばす!冷やす!ゆるめる!疲労回復メソッド
スポーツをする前の準備運動を覚えたら、次はスポーツ後のケア方法も覚えましょう! ポイントは3つ。伸ばす・冷やす・ゆるめる、です。
伸ばして疲労回復
スポーツをしたあと、翌朝になっても疲れが取れない…そんな方は筋肉がちゃんと休まっていない可能性あり!
というのも、使いすぎた筋肉は縮もうとして、からだが休んでいる間も縮む力としてエネルギーを使い続けている状態になっています。
それを伸ばすことで、元の柔軟性が戻り筋肉を休めることができます。
まずは上半身と下半身をつなぐ腸腰筋と、太ももの前の筋肉(大たい四頭筋)をのばしましょう。
後ろ脚のつま先をつかんでしっかりひざを折り、前の脚を軽く曲げておきます。
前に出している脚の方の手を付き、その手の方向へ軽く体をひねることで、脚の前側を伸ばすことができます。筋肉が伸びるのをイメージしながらその状態で左右30秒ずつキープしましょう。
次に、太ももの裏側、ハムストリングスを伸ばすストレッチ。
片脚をもう片方の膝の下に曲げ、坐骨(ざこつ)で座っているのをしっかり確認してから、腰から体を折るように上体を前に倒します。
さらにつま先を上に向けると、しっかり伸ばすことができます!
筋肉量が少ない女性は特に疲れやすい内転筋(太ももの内側)を伸ばしましょう。
脚を開いてから片脚を曲げ、伸ばしている方の内転筋を意識し、息を吐きながら胸を前に倒しましょう。
背中が丸まらないようにするのがポイントです。効かせたいところに効いているか確認しながらストレッチしましょう!
冷やして疲労回復
フルマラソンのあとや、筋肉痛が起こるくらい筋肉疲労を感じている場合は、ストレッチは控えて冷やすことが優先です。
アイシングの方法は、砕いた氷を食品保存用の袋に入れて空気を抜き、患部に当てます。
さらにアイシング専用のラップを使うと、より患部と氷の密着度が高まり効果的に冷やすことができます。
ちなみに、練習量が増えたランナーは、アイシングとストレッチをセットで行うといいとのこと。
ゆるめて疲労回復
伸ばして冷やした筋肉はしっかりゆるめて休ませましょう。
じつは疲労回復の“かなめ”は、睡眠の質を上げること。深く眠るためにも筋肉の緊張をゆるめる、寝る前のストレッチがおすすめ。
股関節まわり
まずは股関節まわりをゆるめます。からだの力を抜いて座り、後ろに手をついて足を少し開きます。そしてつま先を内側、外側と交互にむけましょう。
目安は5〜10分。テレビを見ながらなど、リラックスした状態でやってみてくださいね!
腰まわり
続いては腰まわり。そのままひざを曲げ、パタンパタンと左右に倒していきます。目安は10往復で、このときお腹にも力を入れず、重力に任せるのがポイント!
上半身
ラストは上半身。
仰向けに寝て、腕を軽く開き、手を6割の力で握り、肩をぎゅっとすくめます。
10秒間経ったら一気に力を抜いて、そのまま20秒間完全に脱力します。
以上、これで上半身、下半身ともにゆるめて疲労を回復できるからだとなりました!
からだの疲れを感じたら、動的ストレッチや、疲労回復メソッドを試してみてくださいね!