ストーリーパラスポーツ

パラリンピック最終日に感じたあれこれ

2021-09-09 午前 11:00

東京パラリンピック閉会式が終わり、帰宅しようと歩いていたら、ちょうど参加していた選手たちがスタジアムから出てくるところでした。

 

 

ロシアパラリンピック委員会として出場した選手とスタッフが、ボランティアさんたちに向かって、何度も何度も深々とおじぎを繰り返しながら、「さよなら」「ありがとうございました」と丁寧な日本語でお礼のメッセージを伝えていました。

 

 

 

最終日に行われた、男子マラソン。フェロー諸島代表のハーバード・バートゥンハマル選手が沿道にいるボランティアやスタッフなどに向かって手を振りながら走っているその様子も印象的でした。

 

 

時には帽子を手に取り会釈しながら、銀座の中央通りを走り抜けていきました。タイムが遅れることはわかっていても、感謝の気持ちを伝えたかったとのことです。

 

 

 

こちらは、閉会式が終わった直後の日本人選手たち(バドミントン)の様子です。

 

 

この写真を撮りながら、率直な感情として、解放されたような気持ちになりました。選手たちの柔らかい表情からそう感じたのかもしれません。

 

コロナ禍での開催に、選手たち、関係者、ボランティアの方々は、世間の目や意見に不安と緊張の中で過ごした1年半だったと思います。僕も、そうでした。知り合いなどから、「今、パラリンピックを開催することは間違っているし、あなたが撮影しようとしていることも間違っている。撮影することで、コロナ感染拡大を助長するのでは?」など、いろいろなご意見を頂く中、心が苦しくなった時期もありました。

 

 

そんなこともあり、この時期の開催が良いのか悪いのか、ずっと頭の中にありました。しかし大会中、選手たちの表情やパフォーマンスを間近で見ていて、パラリンピックの価値―多くのアスリートにとっては夢の舞台。見る側にとっては、人間の可能性を知る機会、興奮できる機会だということ―を感じていただき、未来に“引き継がれた”ことは確かだと思います。

 

多くの躍動するパラリンピアンの姿が生中継で放送されたことで、それを見た未来のアスリートが刺激を受けて、土から芽を出した瞬間であったことも違いありません。

 

3年後のパリ、7年後のロサンゼルス大会などで彼ら彼女たちが躍動する姿を見ることができるはずです。(写真は、ヘルメットの形状から「銀の弾丸」と他のアスリートから恐れられる、スイスのマルセル・フグ選手。トラック3種目とマラソンを制し、出場した種目すべてで驚異の4冠を達成しました)

 

 

この1枚が最後に撮影した、東京パラリンピックの写真です。

 

選手、スタッフ、関係者、ボランティアの皆様、ありがとうございました。ボランティアの人たちの選手への思いがなければ、この大会は成り立っていません。

 

そして、コラムを読んでくださった皆様、ありがとうございました。

 

「完遂です!」

 

 

 

写真家 越智貴雄(おち・たかお)

2000年のシドニーパラリンピックから国内外のパラスポーツの撮影取材活動を続けている。2012年、パラ陸上アスリートの競技資金集めの為、セミヌードカレンダーを1万部出版し国内外で話題となる。2013年9月のブエノスアイレスでの2020東京オリンピック・パラリンピック招致最終プレゼンテーションで映し出された「跳躍の写真」が話題になる。2014年、義足を美しくかっこよく履きこなす女性たちを撮影した写真集「切断ヴィーナス」を出版。2017年、寝たきりのお笑い芸人“あそどっぐ”さんの写真集「あそどっぐの寝た集」を出版。取材活動の他にも写真展開催や義足女性によるファッションショーなど、多数開催している。

 

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