ストーリーパラスポーツ

義足に記した東京へのメッセージ

2021-09-01 午後 02:02

女子走り幅跳び(T64)の競技終了後、10位だったスペインのサラ・アンドレス バリオ選手が、僕らカメラマン達のいる場所に近づいてきて、「これ見て!」と、義足のソケットを指差しました。

 

よーく見るとそこには左足のソケットに「ありがとう東京」。右足のソケットには「東京への夢」と記されていました。

 

 

その後、アンドレス バリオ選手は、自らマスクを外し、ポーズをとってくれました。ソケットには、自身で日本語を調べて文字を入れたそうです。

 

どうしても伝えたいメッセージだったようで、選手から近づいてきてくれて「写真を撮って欲しい」とお願いされたのは、僕の中でもほとんど記憶にない出来事です。

 

 

ちなみに、こちらがアンドレス バリオ選手の競技シーンです。競技用義足を履いています。義足の形が動物のチーターの足の形に似ていることから“チーター義足”とも言われています。

 

 

 

 

続いての写真は、男子走り幅跳び・運動機能(ひざ上切断のクラス・T63)に出場した両足義足のヌタンド・マラング選手(南アフリカ)。最終跳躍の6本目に7メートル17センチの驚異的な世界新記録を打ち立てました。

 

 

マラング選手のソケットにも、日本風?にデザイン化された「ありがとう」の文字がありました。

 

この意味を後日、確認すると「日本はパラリンピックを実現するためにすべてを提供してくださいました。 素晴らしい文化とその人々を尊重する方法で、私たちから日本の人たちに感謝を申したかったのです。皆様の温かいご支援を賜り、誠にありがとうございました」とのことでした。

 

 

競技場から競技場への移動は、主に公共交通機関を利用するのですが、駅構内アナウンスやポスターなどでは、「移動自粛」「マスク」「コロナ感染拡大防止」など、新型コロナに関する情報があふれかえっています。

 

ルールを守らなくてはならないということに、心が少し固くなってしまうのですが、選手たちからのメッセージと気持ちは、素直にそのまま受け取ろうと感じました。

 

 

 

写真家 越智貴雄(おち・たかお)

2000年のシドニーパラリンピックから国内外のパラスポーツの撮影取材活動を続けている。2012年、パラ陸上アスリートの競技資金集めの為、セミヌードカレンダーを1万部出版し国内外で話題となる。2013年9月のブエノスアイレスでの2020東京オリンピック・パラリンピック招致最終プレゼンテーションで映し出された「跳躍の写真」が話題になる。2014年、義足を美しくかっこよく履きこなす女性たちを撮影した写真集「切断ヴィーナス」を出版。2017年、寝たきりのお笑い芸人“あそどっぐ”さんの写真集「あそどっぐの寝た集」を出版。取材活動の他にも写真展開催や義足女性によるファッションショーなど、多数開催している。
 
 

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