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特集 北の富士勝昭が斬る「照ノ富士の優勝回数はまだまだ伸びる」大相撲秋場所を前に

相撲 2021年9月8日(水) 午後7:00

照ノ富士は文句なしの横綱昇進

優勝こそ逃したが、照ノ富士はよくやった。文句なしの横綱昇進だ。相撲内容的にも白鵬より数段上だった。あの両膝でよく低い体勢を保てたものだ。相手をしっかり見ているし目線もいい。危ない場面もほとんどなかったように思う。

 

横綱伝達式後  祝福を受ける照ノ富士

 

今の相撲を続けていれば、ケガの悪化もないだろうし、優勝回数はまだまだ伸びそうだ。周りが弱いから楽なものだ。膝に“爆弾”を抱えている身だけに本人は短命も覚悟しているかもしれないが、白鵬よりも先に辞めてはだめだ。

 

名古屋場所千秋楽  白鵬と攻め合う照ノ富士(左)

 

元気になったからといって不利な体勢から小手投げを打って無理に残そうなんて考えないことだ。大関以上に横綱は負けられない地位だが、その点だけはしっかり考えながら取ってほしい。

貴景勝は上を目指すのなら稽古を見直す必要がある

名古屋場所2日目  逸ノ城に敗れた貴景勝が車いすで退場

 

貴景勝の休場は非常に残念だった。首を痛めたとのことだが、力士は全体的に体の割には首が細いのではないか。ラグビーの代表選手なんかを見ているとみんな太い。力士は首を重点的に鍛えるということはまずない。

 

昔みたいにぶつかり稽古をガンガンやっていればまだいいが、今の力士はそこまでやってないだろう。あれをやっていたら自然と首は鍛えられるはずだ。

 

夏場所11日目  貴景勝(左)が髙安を送り出しで下す

 

貴景勝の場合当たる角度さえしっかりしていれば、怖さはないと思うがどうだろう。頭から当たる力士は首をしっかり鍛えておかないといけない。

 

それにしてもこの大関はけがが多いし、泥んこになるくらい稽古をしたという話も聞いたことがない。まだ若いし上を目指すのであれば、そのあたりを見直す必要があるのではないだろうか。

 

 

名古屋場所12日目  隠岐の海と攻め合う正代

 

正代は勝ち越すのがやっとという状況だ。彼のためにも大関と関脇の間に番付を一つ作ったほうがいい。大関というにはお粗末すぎる。

 

名古屋場所7日目  正代(右)が逸ノ城に寄り切りで敗れる

 

あれだけの体をしているのだから、もっとどっしりとした相撲が取れないものか。あれでは縁日やお祭りの射的ゲームの人形だ。落ちそうで落ちない。あの危なっかしい相撲でよく勝ち越せたものだ。

 

 

名古屋場所8日目  御嶽海を攻める髙安

 

髙安も腰痛があるのではこの先も厳しいと言わざるを得ない。持病があっては大関に上がったとしても不安はつきまとう。

 

秋場所前の合同稽古で相撲を取る髙安(左)

 

年齢的にも、この先そうそうチャンスは多くないと思うが頑張ってもらいたい。

豊昇龍は筋肉がつけばさらに楽しみ

左が敢闘賞の琴ノ若、右が技能賞の豊昇龍(名古屋場所千秋楽)

 

10勝した豊昇龍は相撲内容がよくなってきている。足技を得意とするが、前に出られるようになってきた。体重は131キロとそれほどあるわけではないが、これでもう少し筋肉がついてくればさらに楽しみだ。

 

琴ノ若はギラギラするものがあってもいい

琴ノ若もこれまでややくすぶっていた印象だが、先場所で一つの殻を破った感じだ。平幕下位とはいえ12番はなかなか勝てるものではない。親父さんよりも相撲が速い。

 

若手が活躍するのはうれしいことだが、もっとギラギラするものがあってもいい。全体的におとなしい。それは正代や朝乃山にも言えることだが、若いうちはもっと覇気を出して土俵の上では暴れ回ってほしい。

 

 

相撲専門雑誌「NHK G-Media 大相撲中継」から

 

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