ストーリー相撲

琴ノ若 花開いて初の敢闘賞「先代の師匠に追いつくことが最終的な目標」大相撲秋場所を前に

2021-09-10 午前 10:30

初の三賞、敢闘賞を受賞(名古屋場所千秋楽)

 

幕内7場所目の琴ノ若は名古屋場所初日から順調に勝星を伸ばし、千秋楽に勝って12勝を挙げ初の三賞の敢闘賞を受賞しました。

 

祖父が元横綱・琴櫻、父が元関脇・琴ノ若の師匠佐渡ケ嶽親方という角界きってのサラブレッドがついに才能を開花させました。秋場所は西前頭三枚目に番付を上げて上位挑戦の場所となります。

 

刈屋富士雄元アナウンサーが秘めた闘志を聞きました。

 

刈屋 富士雄 元アナウンサー

前に出る相撲が取れた 四つ身にこだわらず自信に

Q 三賞おめでとうございます。三賞を獲得した思いはどうですか。

 

なかなかいただけるものではないのでうれしいです。

 

名古屋場所千秋楽  琴ノ若(左)が寄り切りで剣翔に勝って12勝目

 

Q 十一番勝っていたのに、千秋楽に「勝てば」という条件がつきました。それはないだろうと思いませんでしたか。

 

最後はしっかり勝っていかなければいけなかったので、気合いを入れてもらったと思ってプラスに考えていました。

 

Q 千秋楽に勝てば敢闘賞だった初場所のことは思い出しませんでしたか。

 

それは頭にありましたが、意識してもしょうがないと思っていました。

 

Q あのときも「勝てば」という条件でした。

 

あのときは考え込んでしまいました。一度経験して同じ条件だったのですが、難しく考えても仕方がないと割り切っていったのがよかったのかなと思います。

 

Q 名古屋場所、相撲内容はよかったですね。どのあたりがよかったと思っていますか。

 

それぞれの取組で前に出る相撲が取れたと思っています。

 

名古屋場所10日目  一山本と攻め合う琴ノ若(右)

 

Q 見ていて立ち合いの圧力、これがよくなったと思います。相手に重さがかかってくるのではないかと思います。

 

いっぺんに持っていかれたり、受け身になったりする相撲は少なかったと思います。

 

Q いい体勢になれなくても、出ながらいい体勢にすることが多かったと思いますが、どうですか。

 

四つ身にこだわらずに押していける自信になる取組が何番もあったので、それがうまく場所中には勝星につなげることができたと思います。

優勝争いに途中から組み込まれ十二番は自信になった

Q 名古屋場所は初日、栃ノ心関に勝ったのが大きかったですね。

 

組んだら力は強いですが、中に入って早く決着をつけられたのが、気持ちの上でもよかったです。

 

名古屋場所初日  琴ノ若(右)が寄り切りで栃ノ心を破る

 

Q もったいなかったのは8日目の千代ノ皇関戦ですね。手をついてしまいましたね。師匠に怒られなかったですか。師匠は現役時代、顔から落ちていましたよ。

 

言われました。一つ勉強になりました。私も手が出ているのに気づいて引こうと思ったのですが、俵の部分だったので手を引ききれませんでした。引く途中で落ちてしまいました。

 

名古屋場所千秋楽  12勝を挙げ敢闘賞を決める

 

Q 十二番という勝ち星は自分でどう思いますか。

 

一日一番しっかり取ることを考えて15日間取り切れました。最初十二番という実感が湧かなくて、これまで勝てても十番だったので感覚が分からなかったです。

 

Q 十二番は場所によっては優勝してもおかしくない成績ですよ。

 

優勝争いに途中から組み込まれたようなものだったので、自分でもしっかり最後まで気を抜かずにやらなければいけないと思いました。十二番は自信になりました。

 

名古屋場所9日目  琴ノ若(右)が千代の国を突き出しで破る

 

Q 秋場所は前頭三枚目まで番付が上がるので、上位との対戦になります。どこを磨いていきますか。

 

上位は立ち合いの圧力だったり、相撲の対応力だったりが違うと思うので、そこに自分が対応しないといけないと思います。しっかり稽古を積んでいきたいと思います。

 

Q ここ数場所見ていて突き押しもかなり力があると思っています。

 

まわしを取るための突きでもあるのですが、簡単にまわしは取らせてくれないです。もともと四つ相撲と相手も分かっているので離れて取ってきます。その中で対応するために突き押しを覚えたところはあります。琴勇輝関(現君ケ濱親方)が現役のときに稽古をつけていただき、自然とできるようになりました。

 

Q 琴勇輝関と稽古をしていて突き返すことを覚えたのですか。

 

はい。まわしを狙いにいくだけでは胸が開いてしまって相手の思うつぼなので、どう対応しようかと考えて、それでうまい具合に突き返すことができるようになりました。

先代とプロ入りを約束、埼玉栄高で基礎を学ぶ

Q 物心がついたころからお相撲さんになろうと決めていたのですか。

 

物心がついたころから土俵があったので、そういう環境でお相撲さんになると言っていました。途中で少しサッカーをやりたいと言ったこともありますが、相撲を続けて埼玉栄高校の山田道紀監督から誘われたのもきっかけになったと思います。地元の相撲チームに通って、部屋の稽古場でも相撲を取るつもりだったのですが、稽古相手がいないので、自分を厳しく置ける環境を選んで埼玉栄の中学校に行ったのが大きいと思います。

 

2014年 国体相撲に出場した高校時代の琴ノ若

 

Q プロに行こうと思ったのはいつごろからですか。

 

師匠が引退するころには先代(祖父の元横綱琴櫻)と約束していました。「厳しいぞ」と言われましたが、約束は守らないといけないと思っていました。小学校の2年か3年のころです。

 

埼玉栄高校相撲部の山田監督(左) 父の佐渡ヶ嶽親方(右)との入門会見

 

Q 埼玉栄高校に進んでキャプテンを務め、インターハイで団体優勝しました。世界ジュニア相撲選手権でも優勝しています。それでここからプロだと思ったのですね。

 

山田監督から中学、高校と6年計画だと言われて、6年でしっかり土台を作っていただきました。

自分のやり方で師匠や先代と異なる形を作る

Q 基礎の大切さを知ってプロに入って生きていますね。小さいときから師匠やおじいさんの現役の映像はよく見ていますか。

 

十両に上がるときには、結構部屋に残っている映像は見ました。「下がって投げたらケガをするんだぞ」と言われました。そうした映像を見ながら攻めの相撲やまわしの切り方を研究しました。徐々に稽古場でもできるようになってきました。

 

佐渡ヶ嶽親方と記念撮影する琴ノ若(左)

 

Q おじいさんの琴櫻は〝猛牛〟と言われたものすごい当たりから一気に持っていく相撲で、すごい迫力でしたね。

 

まねではなく、いいところを取り入れながら研究して、自分なりのやり方で師匠や先代とは異なる自分の形を作っていければいいと思っています。出足のスピードに、まわしを取ったときの腰の重さを生かしたいです。

 

1973年1月 土俵入りする琴櫻

NHKの朝ドラは毎日録画、稽古が終わって見る

名古屋場所8日目  宇良と照強に挟まれて幕内土俵入りする琴ノ若(中央)

 

Q ところで結婚についてはどうですか(笑)。

 

いやあ(笑)。うわさになるようなことは何もないです。もう少し先だと思います。

 

Q 好きな女優はいるのですか。

 

最近はNHKの朝ドラ「おかえりモネ」に出ている今田美桜さんです。朝ドラは毎日録画して、稽古が終わってから見ています。今田さんは気象予報士で、屋外で予報を伝える役です。

 

Q 朝ドラをエネルギーにしているわけですね。次の目標ですが、三賞は取りましたし、金星なのか三役なのか、どうですか。

 

もちろん三役は上に上がるために通らなければならない道ですし、金星も横綱を倒さないといただけないので欲しいです。まず師匠、先代に追いつくことが最終的な目標なので、そこをしっかり目指して、今度は上位に挑戦する気持ちではなく勝つという気持ちで当たっていきたいと思います。

 

相撲専門雑誌「NHK G-Media 大相撲中継」から

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