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パラ競泳 アフガニスタン出身選手が難民選手団で初入賞 「難民選手にチャンスを」

2021-08-31 午後 04:25

25日から始まったパラリンピック競泳。50mバタフライS5(運動機能)に出場したアッバス・カリミ選手(24)は、難民選手として初めての入賞を果たしました。故郷アフガニスタンを離れて8年。メダル獲得には至りませんでしたが、難民選手への関心を高め、活躍への道を切り開く一歩となりそうです。

難民選手団初のメダルを目指して アッバス・カリミ選手

競泳S5(運動機能)クラスに出場したカリミ選手。2017年の世界パラ水泳選手権で銀メダルを獲った実力派で、パラリンピック難民選手団初のメダリストを目指してきました。今大会ではバタフライ50mの予選を3位で突破するも、決勝では8位に。メダル獲得は叶いませんでしたが、入賞を果たしました。

 

14歳のカリミ選手 アフガニスタンの学校で

 

カリミ選手はアフガニスタンの出身です。生まれたときから両腕がありませんでした。障害を理由に差別やいじめにあい、苦しみましたが、14歳で始めた水泳が心を癒やし、人生を救ってくれたといいます。

その後、タリバンなどの武装勢力から逃れるため、16歳のときにトルコに亡命しました。

 

 

トルコの国内大会で活躍したものの、国際大会に出ることは認められませんでした。そんななか、18歳のときに転機が訪れます。難民となっても練習を続ける姿や「パラリンピックに出たい」という思いをSNSで発信したところ、難民支援を行うアメリカの元アスリートの目に留まったのです。現在は、支援を受けてオレゴン州に移住し、トレーニングを続けています。

カリミ選手

「何度もネガティブになったり希望を失ったりしたことがあります。
 でも、一度理想や目標を持てば、腕がないとか足がないとか関係ありません。
 重要なのは、人生においてどうありたいかで、自分が幸せでいることです」

リオ大会で誕生した難民選手団

東京パラリンピックの開会式での難民選手団 カリミ選手は旗手を務めた

 

カリミ選手が所属する難民選手団は、紛争などで母国を離れた選手たちで構成されています。東京パラリンピックには、シリア、アフガニスタン、ブルンジ、イラン出身の6人の難民選手が出場しています。紛争で足を失った人や、難民として避難生活を送るなかでケガをした人など、さまざまな困難を乗り越えてきた選手たちです。

難民による選手団の結成は、2016年リオパラリンピック大会に続いて2回目です。人数が増えたほか、女性選手も誕生しました。

 

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、世界にはおよそ8200万人の難民や国内避難民がいて、このうち1200万人に何らかの障がいがあると推計されています。

難民に希望とチャンスを

8月27日 バタフライS5決勝に臨むカリミ選手

 

カリミ選手は、難民の代表として表彰台に上がることで、世界中にいる同じ境遇におかれた人たちに希望をもたらしたいと願い、練習を重ねてきました。大会への参加さえままならない難民選手の現状が変わることも望んでいます。

カリミ選手

「スポーツをやっている難民にとって一番の問題は、ほとんどの国が大会に参加させてくれないこと。世界中の国がスポーツをやっている難民に注目すべきです。大会に参加できるよう難民の選手にチャンスを与えてほしい」

 

表彰台に登ることはできませんでしたが、困難な状況のなか決勝まで駒を進めたカリミ選手の姿は、故郷を追われた多くの人々の希望となったのではないでしょうか。また、厳しい状況の中で競技を続けている難民選手たちの現状に一石を投じることになりそうです。

 

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