ストーリーパラスポーツ

パラリンピックの原点!誰もが同じ土俵で戦うパラアーチェリー

2020-02-06 午後 0:45

今回はオリンピックにもパラリンピックにもある競技・アーチェリー。その違いは立つか座るかの姿勢だけだと思ったら、大違いです!

実はパラリンピックの原点だった!

 

遠くにある的に矢を当てるスポーツ、アーチェリー。実は、パラスポーツの発展に深く関わる競技なんです。

というのも、1948年にイギリスの病院で行われた、戦争で脊髄に障害を負った軍人によるアーチェリー大会がパラリンピックのもとになったと言われているから。

そんな“パラリンピックの原点”というだけあって、パラアーチェリーはさまざまな人が参加できるように工夫がされています。

パラリンピックでしか見られない!ハイテクな弓

 

パラリンピックのアーチェリーは、体幹機能がある選手が出場するリカーブオープン・コンバウンドオープンと、体幹機能がない選手が出場するW1オープンの3つの種目にわかれます。使用する弓は選手が自由に決められるため、障害の重度なW1オープンをのぞいては、障害による種目わけではなく使用する弓によって種目がわかれるのです。

 

 

アーチェリーで使われる弓というと、美しいカーブを描いた上の画像の弓を想像する方が多いはず。

 

ですが中には…。

 

 

こんなメカっぽい形をした弓も!

この「コンパウンドボウ」といわれる弓は、パラアーチェリーのコンパウンドオープンという種目で使われる特殊な弓で、オリンピックでは使われません。

 

今回は、そんな「コンパウンド オープン」についてご紹介します。

誰もが同じ土俵に立てる!コンパウンドオープン

 

コンパウンドオープンでは、車椅子の選手や義足の選手も、腕に障害のある選手も、全員同じ一つのクラスで戦います。

 

「そんなことをしたら、障害の部位によって不利になってしまうのでは…?」と思った方も多いはず。実は、障害に関わらず同じクラスで戦うことができるのは、先ほど紹介した弓・コンパウンドボウの仕組みに理由がありました。

 

 

たくさんの工夫が施されているコンパウンドボウ。最大の特徴は、弓の両端についているこの滑車!

「カム」と呼ばれるこの滑車があることで、なんと普通の弓のおよそ2分の1の力で弓を弾くことができるのです!

 

 

この弓で、選手たちは50メートル先の的を狙います。得点は外側から内側にかけて、5点、6点、7点、8点、9点、10点と高くなり、最高得点の10点の部分は、直径8センチとみかんとほぼ同じ大きさ!

 

そんな小さな的をどうして選手たちは狙えるのでしょうか?それにもちゃんと理由がありました。

 

 

的を狙うとき、選手は弓に装着された「サイト」と呼ばれる窓をのぞいて標準を合わせます。

 

 

前方のサイトには、2倍〜4倍のレンズで的の拡大が可能になっており、2つのレンズを使うことでより正確に的を当てることができるのです!

 

 

さらに、力が集中するハンドル部分は航空機にも使用されるハイグレードなアルミ合金製。また、前後に突き出ている棒のようなものは、弓を安定させる「スタビライザー」といいますが、弓を射つ瞬間のブレを吸収させるため、液体や砂状の吸収剤が入っていたり…。

 

このように、パラアーチェリーの弓はよーく考えられた構造となっているのです!

 

ちなみに、コンパウンドオープンの個人戦では、3射5セットの計15射を交互に射ち合い、その合計得点で勝者を決定しますが、同点の場合は、両者がもう1本ずつ射ち合い得点の高い方が勝利となる「シュートオフ」を行います。

 

それに加えて、1本の弓に設けられる制限時間はたったの20秒間!集中力に加えて、先制点を取られても冷静に弓を放つメンタルの強さが肝心です。

口で!足で!多様な競技スタイルで挑むアスリートたち

上で紹介したように、工夫が施された弓によって多様な射ち方が可能なパラアーチェリーのコンパウンドオープン。選手たちの個性あふれるさまざまなスタイルが見られるのも魅力の一つなんです。

 

 

例えば、アテネオリンピック銀メダリスト、車椅子の平澤奈古(ひらさわ なこ)選手の場合、指の力が弱いため、弓を弾く時はこのリリーサーと呼ばれる器具に指をひっかけて矢を放ちます。

 

 

対して、何度も日本チャンピオンに輝いた、右腕に障害のある大塚忠胤(おおつか ただつぐ)選手は弓を腕では引きません。

 

 

代わりに、なんと弦についた道具を歯で噛んで弓を引いているんです!

 

落ち着いた表情に見えますが、このとき首にかかっている力はおよそ23キロ!

これは小学1年生の子供一人をくわえて持ち上げるのと同じくらい負担がかかります。

 

 

そしてリリースしたときの矢の速さは時速270キロに達することも!ざっくり言えば口から新幹線が飛んでいくようなもの。そんな衝撃に耐えられるよう、大塚選手の歯は金属コーティングされているそうです。

 

 

さらにアメリカのマット・スタッツマン選手は、両腕がないため足で弓を支えて矢を射っています。

 

かなり独特なスタイルに見えますが、ロンドンパラリンピックでは銀メダルを獲得するなど実力もすごいんです!

 

こんなふうに、パラアーチェリーでは、使用する弓によって種目が分かれているため、選手は自身の障害に合わせて、工夫した戦い方ができるのです。障害の程度によって分かれる競技が多い中、違うスタイルでも同じ土俵で戦えるのが一番の魅力ですね。

 

ぜひオリンピックでは見ることのできない熱い戦いをご覧ください!

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!