ストーリーラグビー

【対談】中山雅史×五郎丸歩"サッカー経験がラグビーにいきている"前編・お互いの印象からオフの過ごし方まで!

2019-07-16 午後 0:00

サッカー界とラグビー界のトップアスリートどうしの夢の対談が初めて実現!サッカーワールドカップに2大会連続出場し、日本が初出場したフランス大会で日本人初ゴールを決めるなど日本サッカー界を引っ張ってきた中山雅史選手。


前回のラグビーワールドカップのイングランド大会で、強豪南アフリカを破るなど日本の躍進に大きく貢献し、大会のベストフィフティーンにも選ばれた五郎丸歩選手。世界の最高峰の舞台をよく知る2人が「ワールドカップでの一番の思い出」から「オフの過ごし方」まで熱く語り合いました!

お互いの印象は?

 
中山
初めてお会いして、テレビでは見ていたんですけれど、生で見ると、意外とスマートなんだなあと思いました。ラグビー選手というと、もっとがっちりしていて、デーンと構えている、そんな印象が僕の中にはあったんですけれども。遠くから見たら、大きいなあと思いましたけれど、近くにきて、意外と、スマートだなあっという印象がありましたね。

 

五郎丸
そうですね。ラグビーは、いろんなポジションがあるので、大きい人もいれば小さい人もいて。僕は比較的に普通のタイプです。
 
 
中山
あとラグビー選手の印象って、僕、大学のときに同級生とかもいましたから、一緒に飲んだりすると、すぐ、スクラムを組みたがりません?

 

五郎丸
そうですね(笑)。

 
 
中山
スクラム組んだときには、絶対僕のところにくるわけですよ(笑)。ラグビー選手と、サッカー選手が一緒に飲んだとき、絶対弱いところを狙ってくるじゃないですか(笑)。僕、結構つぶされていましたね。アスファルトに頭を、がんがんがんがん、すられてね(笑)。そういう思い出ありますけどね。

 

五郎丸
(笑)。

 

 
 

 
五郎丸
ジュビロに所属していたとき、ヤマハ発動機のラグビーの選手たちと、親交があったんですね。
 

 

中山
昔は、ラグビーとサッカーの選手たちはアマチュアで、それこそ職場があって、ヤマハ発動機で働いていたんです。

 

五郎丸
一緒だ(笑)。一緒の職場で働いてたんですね。
 
 

 

中山
そうなんですよ。僕人事部にいましたから(笑)。人事部の教育採用グループにいましたからね。まあ1年間ですけれどもね。で、他の部署とかにもラグビー部の選手がいたりして、そういう感じで、交流は多少ありましたけどね。
 
五郎丸
僕は小学4、5、6年生の時は、サッカー少年だったんですよ。だから。中山選手をずーっとテレビで見ていましたね。

 

中山
へー。そのときのサッカーの経験っていうのが、あのキックにいきているってことですか。

 

 

五郎丸
かなりいきてます。あとは、ゲームを上から俯瞰的に見るというか。サッカーはそういうのに優れてる、スペースを見つけたりとか。
 

 

中山
うん。


 

五郎丸
人の裏をかいたりとか。そういうのはやっぱり、サッカーから学んだ部分が大きいですね。

 

 

 

中山
ほかにも、五郎丸選手の印象といえば、キックの正確性ですね。バラエティー番組なんかで、すごい角度のないところからゴールを決めていましたね。

 

五郎丸
はい。

 

 

中山
すごいなあと思って。楕円のボールのどこを蹴ったらどう飛ぶか計算があるわけですよね。

 

 
五郎丸
そうですね。

 

 

中山
その計算力というか、まあ、当然、蹴り込んでいるから、その計算も成り立つんだろうなあと思いながらも。でも、あの角度を狙いうちするっていう、一度決めたらそこを決めきる力っていうか、技術っていうのはすごいなあっていう印象はありましたね。
 
五郎丸
いやあもうほんとサッカーのおかげですね。

 

 

五郎丸ポーズ誕生について

 
中山
五郎丸選手といえば、あのルーティーンはどこからきたんすか。

 

 

五郎丸
あれは元々イングランドの選手で、ジョニー・ウィルキンソンって人がいたんですけど。

 

 

 

ジョニー・ウィルキンソン選手

 
五郎丸
その方がワールドカップで、優勝されて。日本に大手スポーツ用品メーカーのプロモーションで来てくれたんですよ。僕当時、早稲田大学の1年生で、早稲田大学が、そのメーカーと提携していたので、早稲田大学に教えにきてくれたんです。

 

中山
はい。


 

五郎丸
世界のトップ中のトップだったんですけど。キックだけの練習に1時間半ぐらいやっていたんですよ。世界のトップがこれだけやるのならば、自分って全然、練習量が足りないなと思って。
 
中山
へー。

 

 

 

 
五郎丸
もっとやらなくちゃいけないって、こう突き詰めていけばいくほど、彼の、彼って言ったら失礼かもしれないですけど、彼のポーズに、非常に似てきて。

 

中山
あ、そうなんですね。

 

 

 
五郎丸
最初、下の方だったんですね。それが段々段々こう上に上がってきて、もうあのかっこうになりました。

 

中山
あのポーズがないとやっぱり蹴れないんですか。

 

 

五郎丸
うーん。蹴れないことはないですけれど。いつも、小学生とかに言うのは、同じ通学路を通っていたら、事故にあわないよねって言う。

 

中山
あー、はいはいはいはい。


 

五郎丸
そこで、遅刻しそうになって走ったりとか、ちょっと寄り道してしまったりして、アクシデントが起きるでしょっていう説明をよくするんですけど。ただ、あのポーズ自体にはそんなに意味はないんですけど、同じことをすることによって、ミスを少なくしたり、調子が悪くなったときにリカバリーできるようにしたり。そうやっていくっていうのが、あのポーズですね。

 

中山
自分の技術をそのまま出すうえでは、重要な役割を果たしていたってことですね。

 

 

五郎丸
重要です。あのときまでは。でも、実はもう今はやっていないんです。

 

 

中山
あ、そうなんですか。


 

五郎丸
あのとき、前回のワールドカップの大会期間中のキックの成功率を85%にしなさいって、ずーっと言われてたんです。じゃないと日本は勝てないとかって。

 

中山
うん。


 

五郎丸
ずーっとやってきたんですけど、結局、成功率は78%ぐらいだったんですよね。

 

 

中山
はい。

 

 
 

 
五郎丸
80%も超えられなかったんで。まあ、本気で4年間やってきて超えられなかったら、何か変えなくちゃいけないなあと思って。

 

中山
はいはい。


 

五郎丸
だから今は、よりシンプルにしたっていう感じですかね。

 

 

中山
それでも、相当勇気がいりません?


 

五郎丸
いりますね。

 

 

中山
覚悟と勇気が。


 

五郎丸
はい、はい。

 

 

 

中山
ちょっとしたこと、今までやってきたものを、崩して変化を加えて、次に行くって、下手したら、よりパーセンテージが落ちることにもつながるじゃないですか。

 
五郎丸
落ちます。

 

 

中山
それって怖いから、なかなか踏み込めないけれど、でもそれをしなければ、さらに上に行けないと思ったら。

 

五郎丸
はい。そうですね。

 

 

中山
行かないとだめですよね。

 

 

 
五郎丸
うーん。ちょうどその時期に海外に出たっていうところもあって。ここで大きく変えられるチャンスかなあと。日本にいたらやっぱりこう、キックの練習してても写真を撮られたりとか、何か変化を加えたりとか、ニュースになったりとか、いろいろある中で、海外にパッと出て、全く違う環境で。あまり注目されないような、自分がこう自由な時間が増えたので。それもよりよかったと思います。

中山
なるほどね。海外の方がより、競技に集中できたっていうところですよね。


 

五郎丸
そうですね。


 

中山
まあ、日本にいるといろんな雑音とかね。

 

 

 

五郎丸
あります。

 
 
中山
いろんなものが入ってきますからね。それも楽しみの一環として、とらえられればいいんだけど、なんかそれで、自分に雑念が入ってしまって。

 

 

五郎丸
そうですね。

 
 
中山
いろんなところで邪魔してしまう部分もあるのかもしれないですけれどね。まあ、試合のキックのときにはルーティーンはあったのかもしれないですけど。それ以外のところで、ルーティーンってありました?これしなきゃだめだとか。

 

五郎丸
いや、昔は思ってたんです。食べるものとか、サッカーしてましたんで。靴下を右から履くとか左から履くかとか。ありましたけども、全部なくしましたね。

 
中山
へー。
 
 

 

五郎丸
というのも、若いときとか小学校のときとかっていうのは、自分の想像の範囲内での生活なんですけど。それこそ代表なんか入れば海外に行ったりとかすれば、自分が食べたいものを食べられなかったりとか、いろんな環境が変わる中で、できないことって増えてくるなあと思って。それだったらもう、自分の行動で、できることだけにしよう。それもルーティーンですよね。食べるものとかはもう、全く何にも気にしないです。音楽を聴くとかもないし、ほんとに自分がそのとき思った行動をとっていくっていう。

 

中山
それがやっぱり、強い人なんだなあって思います。僕は、それこそ、ジュビロとかコンサドーレとかいろいろなチームをわたって、今、アスルクラロ沼津にいますけれども。ルーティーンっていうよりも、ゲン担ぎでがんじがらめでしたね。

 

五郎丸
いまだにですか。


 

中山
まあ今は、それでも、やっと、それから、多少解放されている部分はあるかもしれないですけれども。もうこうと決めたら、これをやらないとすまないっていうのがあったんですね。たとえば、試合のときに、そこでいいことが起きたとするじゃないすか。ゴールを決めたとなったら、それまでに何してたかっていうことを思い浮かべると、散歩してたな。散歩して、何かを見つけたと。そうなると、散歩してて、何かを見つけなきゃ帰れないなあってことになるんですよ(笑)。がんじがらめになっちゃうんですよ。

 

五郎丸
めちゃくちゃしんどくなる(笑)。


 

中山
そうそう、しんどくなるんですよ。でもそれをしたときに、あ、これ大丈夫だっていう、自分の自信になるっていう。それって、弱さなのかなあと思うわけですよ。それに頼ってしまう。そうじゃなくて、その日その日で、当然、環境違うし、状況が違うわけだから。そこの中から自分でベストなものをチョイスしてそれをやって、競技に臨むっていうのが一番強いんだろうなあっていう。そういうフラットでいたいなあっていう、気持ちにはなりましたね。

 
 
五郎丸
でもどうでしょうね。ゼロか100の人が強いだけであって、この中間にいる人たちが弱い人なんだと僕は思うんです。
 

 

中山
あー。


 

五郎丸
この日はやるけど、この日はやらない。


 

中山
はいはいはいはいはい。


 

五郎丸
それが一番のブレになるんで。やらないか、やるか、もうこの両極端にいる方々が、強い人なんじゃないでしょうかね。
 

 

中山
ああ。まあだから、やらないのも、結局はこだわりなのかもしれないですけど。

 

 

五郎丸
そうですね。はい。

 

 

 

中山
やらないってそれに、こだわらないっていうところのこだわりなのかもしれないですけれどね。

 

戦うモチベーション

 
 
五郎丸
プロに入りたてと、今とでは、変わってきましたか。

 

 

 

中山
あー。どうでしょうね。だって、モチベーションってあって当然だろって思うわけですよね。自分が好きなものをやって、プロとしてやってきた。今はアマチュアですけれど、プロとしてやってきたうえで、それで、自分の生活ができて、みんなも応援してくれる。それが自分の好きなこと。それで、モチベーションが上がらないってことの方がおかしくねえかなあって思うんですよね。

 
五郎丸
うーん。
 
 

 

中山
確かに、体調とかいろいろな部分で、ああ今日、ちょっと乗らないなあってのが、あるかもしれないですけれども。お客さんは、そのプレーを見にきてくれるわけで。そこで、1回1回真剣勝負をして、真剣な戦い。そういうものを出せなければ、失礼じゃないかなあと思うわけですよね。それを、出す上で、じゃあ、モチベーションって、動機ってことですよね。それだけで十分じゃないかって思うわけですよね。だから、もっと、熱い試合を、みんなに、やってもらいたいなあっていう気持ちはありますけどね。

五郎丸
まあモチベーションっていうのかわかんないですけど。昔は、昔というかまあ、入りたてですかね。勝つことが全てだと思って戦ってきたわけなんですよ、ずーっと。で、自分の目標を1つずつクリアしてですね。ヤマハに入ったのも、ヤマハがまだ優勝したことなかったので。一緒に戦って、優勝させたいっていう思いが強くてヤマハを選んで。

 

中山
あー、はいはい。

 

 

 

南アフリカに勝利した日本代表 (2015年)

 

 
五郎丸
そこで日本一とって。で、翌年に、ワールドカップでも結果残した。ってなったときに、モチベーションじゃなくて目標がなくなっちゃったんですよね。勝つっていうだけのモチベーションです。何を自分は目標にやっていけばいいんだろうなって考えて。なんかほんとに、先ほど言われたみたいに、自分が好きなラグビーをやって、応援してもらって。こんな最高な職業なかなか、やっぱないですよね。

 

中山
そうなの、そうなんですよ。はい。


 

五郎丸
そんな中で、何を自分の目標にしてこれからやっていけばいいのかなあと思ったときに。ラグビーという、スポーツを通じて、自分がどう成長していくかっていうほうが。実は大事なんじゃないかと。勝つっていうのが、もちろんプロ選手なので必要なんです。でもその先に、自分がその目標までを歩む過程の中で、自分がどう成長していくかっていう方を、目標にすれば、勝つっていうのは通過点になって。あ、これは面白い人生になるんじゃないかなっていう考えに。最近、よく思います。

 

中山
大人ですね。


 

五郎丸
いえいえ。

 

 

 

中山
いやもう勝ちたくてしょうがないすよ。僕は(笑)。


 

五郎丸
(笑)。いや、勝つのが絶対必要ですよ。

 

 

 

中山
もうね、何やるんでも勝ちたいんですよ(笑)。


 
五郎丸
あー。

 

 

 

中山
うん。だから、それがモチベーションっていえばモチベーションなんですけれどもね。確かに、成長という上では、それは、確かに一理あるなあとは思いますね。やり続けること、それで少しずつでも、自分が成長できるものが、自分を成長させてくれたものがサッカーだと思ってますから。その中で、もっとそれを突き詰めていくことが、自分の成長につながるだろうなあと思いますし。

五郎丸
うーん。

 

 

 

中山
今はやはり、フィジカル的には、年齢とともに落ちてくる。それを落ちないような努力をしなければいけない。じゃ、どこまでいけるんだっていうところの挑戦でもあるっていうのも、モチベーションにはなっているわけですよね。いろんなモチベーションがあるけれども、やはり、サッカーがあるから、自分の体が動くのかなあと、僕を高揚させてくれるのかなあって思いますからね。そういう上では、そういうものが全てモチベーションになってるのかなあとは思いますけどね。やっぱり勝ちたいすよ。そうはいっても。

五郎丸
それはもうそうですね。

 

 

 

中山
でしょ。


 

五郎丸
はい。

 

 

 

中山
ですよね。


 

五郎丸
勝たないともういやですね。

 

 

 

中山
絶対いやですよね。


 

五郎丸
絶対いやですね。

 

 

 

中山
やる以上ね。


 

五郎丸
はい。

 

 

 

中山
じゃんけんもそうですか。


 

五郎丸
じゃんけんはそこまでこだわりません(笑)。

 

 

 

中山
あ、そうですか。僕はじゃんけんも勝ちたい(笑)。

 

 

 

オフの過ごし方

 

 

中山
今、一人暮らしですか。

 

 

 

五郎丸
一人暮らしですね。


 

中山
僕も一人暮らしなんですよ。そうなると、オフ、することなくないですか。

 

 

 

五郎丸
そうですね。僕らは、いまだに朝練があってですね。


 

中山
あ、はいはい。うん。

 

 

 

五郎丸
だいたい、6時スタートぐらいなんで。オフの朝はちょっとゆっくり寝たいなっていう。


 

中山
あー、なるほど。

 

 

 

五郎丸
なので、アラームをせずに寝るっていうのが、オフの一番の喜びですね。


 

中山
でも、起きちゃいません?

 

 

 

五郎丸
起きちゃうんです。


 

中山
そうですよね。

 

 

 

五郎丸
絶対に起きてしまって。アラームしてても、してなくてもですね。でもそっからもう1回寝るのが気持ちよくて。


 

中山
あー、なるほど。二度寝というかね。

 

 

 

五郎丸
ああオフだなって実感できるのがそこですかね。


 

中山
わかりますね。それはね。掃除とかはどうするんですか。

 

 

 

五郎丸
掃除はやります自分で。

 

 

 

 

 
中山
掃除してるときに、それでも、掃除機を僕もかけるんですけれども、右足でずーっと、かけるじゃないですか。

 

 
五郎丸
そのこだわりですか(笑)。


 

中山
うーん、だから、最初右足でこうやってるけれども、それってレッグラインのシチュエーションじゃないですか。やっぱ左も入れなきゃいけないって。

 

 

五郎丸
あー、それはわかるかもしれないです。


 

中山
やります?

 

 

 

五郎丸
左右対称に。

 

 

 

 
 
中山
そうですよね。バランスよく、掃除機をかけないと、自分の体がおかしくなるんじゃねえかなあって。

 

 

五郎丸
ああ、それはわかります。


 

中山
どうしてもそこにいきついちゃうんですよね。いろんなことをやってても。だから、なんか、オフはリラックスしたいんだけど、リラックスしていない部分があったりして。でも、そこで多少の汗ばむ、あるいは汗をかくと、これも1つのトレーニングとして、アクティブレッスンだなあっていうところに、置きかえると、ちょっと落ち着くところもあるんすよね。

 

五郎丸
あー(笑)。


 

中山
だから、オフで、練習なくて、体を休めるのは非常にいいし、ああ、今日は自由だなって思えるところはいいんだけど、不安にもなるんですよ。

 

 

五郎丸
うーん。


 

中山
まあ五郎丸さんぐらいの年齢だとまだいいとは思うんすけど、年齢重ねていくと、やらないことも必要なんですけれども、やらないことが、すごく不安を生むんですよね。あ、これ、休んじゃっていいのかなあ、なんかやっとかなきゃいけないんじゃないかなあっていう。でもそこも、その経験の中で、自分で見つけていかなければいけないのかなあと思うんですけれども、見つからないままずっとここまできたんですよね(笑)。

 

五郎丸

でも汗かきたくなりますよね。


 

中山
ですよね。汗かかないと気が済まない。

 

 

 

五郎丸
気持ち悪いですよね。


 

中山
そうですよね。

 

 

 

五郎丸
もう半身浴しようか、サウナ行こうかって。


 

中山
そうですよね。

 

 

 

五郎丸
もう絶対1日に1回は汗かかないと気持ち悪い。


 

中山
そうですね。うん。

 

 

 

五郎丸
ですね。


 

中山
だから汗かくのにも、結構サウナとか行っても、サッカーの場合、45分ハーフだから、トータルで45分入りたいんですよ(笑)。

 

 

五郎丸
そこまでこだわりますか(笑)。


 

中山
ずーっと45分、入ってるのは、当然無理ですけれども。10分やって、何分、レストおいてっていうのを、何回かやって、45分ぐらいまでいきたいんですよね。いったところで、当然ロスタイムもあるわけです(笑)。

 

五郎丸
(笑)。


 

中山
そのロスタイムを計算したら、ここで、45分で終わったら負けだなあっていう(笑)。どっかでね、勝敗を自分で設定しちゃうところがね、なんか悲しくなるんですよね。でも、それをもう変えようと思っても、なかなか変えられないから。それでも多少、あの45分つっても、それは短くするようにしたり、風呂に入っていても、ちょっと短くするようにはしていますけどね。でもなんか汗をかかないと、損した気分になりますよね。

 

五郎丸
うーん。


 

中山
ちょっと、汗かき始めたなあ。だったらもっとかきたいなあって思います(笑)。そういうところがね、やっぱ、いけないのかなあとは思うんすけどね。でも、もうここまでやってきたら、変えられないかなあとは思いますけどね。

 

五郎丸
ま、でもそれって結局、頭と戦ってるじゃないですか。


 

中山
はい。

 

 

 

五郎丸
なんか、最近よく思うんですけど、フィジカルを鍛えるとか、トレーニングをするとかって、若い時は全然考えていなかったんですけれど。年齢を重ねれば重ねるほど、ウエイトするとか、トレーニングするっていうのも全部、頭から出てるわけじゃないですか。

中山
はいはい。

 

 

 

五郎丸
もう頭を鍛えない限りは、体も追い込めないし。


 

中山
うんうんうんうん。

 

 

 

五郎丸
体もでかくできないし。それこそ、じゃあオフで、寝とけばいいっていう、マインドだったら寝ておけるじゃないですか。でも、もう汗かきたいってマインドになってるから。もう、最近は、体との戦いっていうよりも、なんか頭との戦いだなって、よく思いますね。

 

 

 
 
中山
あー。

 

 

 

五郎丸
フィットネスですごいきつくて、一歩出ないとかいうても、出るんですよ、絶対に。


 

中山
うんうん、うんうんうん。

 

 

 

五郎丸
でも頭が止めちゃってるじゃなでいすか。


 

中山
はいはい。

 

 

 

五郎丸
ああ、頭と戦わなくちゃなあって。


 

中山
なるほどね。

 

 

 

五郎丸
最近よく思います。


 

中山
まあ、それっていうのは、自分への投げかけですよね。

 

 

 

五郎丸
はい。


 

中山
その命令したことに対して、思ったことに対して、自分がそれを受け入れる。そういうことを考えると、SMを同居させなきゃいけないんですよ。わかりますか。もっといけるだろ、もっといかなきゃだめだろっていうところですよね。それで終わりかお前。そこいかなきゃだめだ、いかなきゃいけない。一歩出せば、その次が、また拾える。もらえるんだったら、そこ一歩出すでしょっていう。攻撃的なものを持っていけないなきゃいけないし、それを、受け入れる自分もいなきゃいけませんよね。

 

五郎丸
なるほど(笑)。


 
中山
うん。だから、それができてるってことは、SM大王です(笑)。

 

 

 

五郎丸
(笑)。

 

 

 

 
中山
もうSとMを同居させなきゃだめなんですよ。攻撃的な自分もいなきゃいけないし、それを受ける自分もいて、それで成り立つんですよ。強いものをつくっていくとなると。まあ最近よく思うんですけど、いろんな人に、仕事柄インタビューもするんですけれど。やっぱりトップの人たちって、SMなんですよね。自分にも攻撃するというか、勝つし、それを自分がやり抜くという、それがあるから、だからそこにいれるんだなと。トップの人たちが、そこまでやるんだったら、もっとそこを目指す人、それを抜こうとする人たちはもっといかないと、それはこせないだろうなあと思いますよね。

 

五郎丸
うーん。


 

中山
トップの人たちも、そこからくる、追随してくる人たちに対して、抗わなければいけない。自分がもっとトップにいるためには、そこをしなければ、たてないからっていうことでやってるんだと思うんですけれども。そうなるときりないなあとか思うんです。

 

五郎丸
きりないですねえ。


 

中山
ほんとにだから、そういう話を聞いて帰ってきて、練習やると、ここで一歩出なきゃだめなんだなあっていう。自分に置き換えるから、それは、自分に大きな刺激にはなるんだなあと思いますね。

 

お互いに聞きたいこと

 
 
五郎丸
だいぶ前に、中村俊輔さんと対談させていただいたとき、同じ質問をしましたけど、自分の、サッカー選手としての、ゴール地点はどこなのかっていうのをちょっと。

 

 

中山
あー。なるほどね。見当たらないですね(笑)。


 

五郎丸
見当たらないですか。なるほど。

 

 

 

中山
もう、全然。だから、サッカー選手としてはやっぱり、どうなんだろうなあ、自分が満足できればとは思いましたけれども、満足できるってことがないですから。あとはもう、自分を冷静に見て、挑戦できるっていう意欲と、その環境が与えられてるんだったら、そこには行くのかもしれないですけれども。

五郎丸
うーん。

 

 

 

中山
まず自分の心が折れたら当然ダメだろうなあと思うし。あとは体も、そこについていけない。このぐらいかなあって、もうここが限界かなあって思えるようになってきたら、なかなか先には・・・。それこそさっきの話じゃないですけど、一歩出なくなってきてるし。それを一歩出そうとする、そこに突き詰めていけるかどうかっていうところも、勝負になるんで。それがいきつかなければ、そこには挑戦できない部分になるのかなあとは思いますけどね。ほんとに。五郎丸さんはどうなんすかそこは。

五郎丸
どこなんだろうって、ずっと考えてますね。特にワールドカップ終わってから、特に考えますね。

 

 

中山
そこは、判断基準っていうのは、何かあるんですか。


 

五郎丸
んー、自分のプレーに満足できるかできないかだと思います。もう満足できなかったら、他の方に迷惑かかるんで辞めようと思います、僕は。

 

 

中山
ああー。


 

五郎丸
次の選手が出て来なかったりとか、僕がチームから離れれば、また補強できるわけじゃないですか。

 

 

中山
はい、そうですね。


 

五郎丸
チームにすごいお世話になったんで、もう、チームに迷惑かけるぐらいなら、一線ひこうっていうふうになりますね。

 

 

中山
それでもチームは必要だっていう思いがあったらどうしますかね。


 

五郎丸
んー、そこはでも、自分の満足感とのギャップがあり過ぎれば、もう退きます。

 

 

 

中山
やっぱり気持ちですよね。気持ちがないと、たぶんプレーには打ち込めないだろうし、当然練習にも、そこは、練習がやはり基礎となって、試合に臨むっていうものになりますから。練習に対する意欲がなくなったら、それそこやっていけないですよね。

五郎丸
ひとつ面白い話が、あの柔道の世界ではですね、金メダルとろうが、銀メダルとろうが関係ない。あれは通過点だと。

 

 

中山
うんうん。


 

五郎丸
おじいちゃんになってしか、取れない段ってあるじゃないですか。

 

 

 

中山
はいはい。


 

五郎丸
だから、人生そのものがトレーニングじゃないですけれど、それを聞いた時に、ああなるほどなあと思って。だから自分がワールドカップに出たりとか、現役やってるとかいうけど、人生の中じゃ、全然通過点だなと。

 

中山
うーん。


 

五郎丸
これからいろんなスポーツでもそうですけど、鍛錬を続けて、自分の人生をどうやっていくかっていうのが大事なんじゃないかなっていうのは、柔道界を見ててすごい思いますね。

 

 

中山
でも怖くないですか?まあ柔道界で、柔道家としての鍛錬を続けていく、そういう道はあるとしても、サッカー家、あるいはラグビー家として、鍛錬を続けてく道っていうのはどっちかっていうとないわけじゃないですか。その時にじゃあ、現役を退く、その決断をしたあとの自分っていうのは、想像つかないじゃないですか、今の時点で。

五郎丸
つかないですねー。

 

 

 

中山
だから、その時が来るのが怖いんですよね。

 

 

 

 

 

五郎丸
なるほど。

 

 

 

中山
1回僕も、そういう状況にはなりましたけれども。そこからまた、まだいけるんじゃないか、なんかあるんじゃないかと思って。また、沼津にお世話になっているし、感謝もしているんですけれども。じゃあどこが線引きするところなんだろうっていうところが、すごくそれを決めるのが怖くてしょうがないですね。

五郎丸
んー。

 

 

 

中山
まあシーズンやって、当然シーズン毎にそれを考えなければいけないっていう状況にはあるっていうのは自覚しているんですれども。どこなんだろうなあ、まあだから、やりながら、ああこれかなりしんどいなあと思ってるところもあるんです。でも、しんどいけれども、ここもうちょっとやったら、いけるんじゃないかなあっていうところがあるから、まあズルズルきているのかもしれないですよね。リハビリしながらも。でもそれがやることによって、また、自分を成長させてくれるものだなあとも感じているんで、やり続けられるんですけれども。それを失くした時って、じゃあ自分は何すればいいんだろう?っていう。

五郎丸
確かにそれはありますね。スポーツ選手はみんなそうだと思いますけどね。

 

 

 

中山
はいはい。


 

五郎丸
スポーツ選手に限ったことじゃないかもしれないですけどね。でも、新たなところにチャレンジするっていうのも、面白いなあとは思いますね。自分が今まで生きてきた価値観ていうのは、基本的にはラグビーを中心に物事が進んできた。3歳からやっていますから、ずっとラグビーを中心にやってきましたけれども。それを一旦なくすっていう恐怖心もありながら、その反面、それがなくなった時にまた違う自分に出会えるんじゃないかっていう期待感もありますね。

 

中山
ああー。その先も見えてます?


 

五郎丸
いや、見られないですよ。

 

 

 

中山
一応、何かしたいなあっていう、候補はあるわけですか?


 

五郎丸
まあスポーツっていう枠は、あまり超えたくないなあとは思いますね。

 

 

 

中山
ああ。

 

 

 

 

 
五郎丸
でも、何かしらスポーツに関わりながら、ラグビーの五郎丸から、一皮剥けた姿ができたらいいなあって思っています。僕、あんまり先、考えないんです。目の前のことを1個ずつクリアして、やってきた人間なので。あんまりこう長期的な目標とかは全然なくてですね。

 

中山
あ、そうですか。じゃあそれとちょっと矛盾しちゃうかもしれないですけれども、その指導者っていうものはどうなんですか。

 

五郎丸
指導者、非常に面白いと思いますね。ただ、その難しさっていうのは、すごく感じています。年齢を重ねれば若い子がどんどん入って来てってなると、今まではプレーで伝えられていたっていうことが、どうしても言葉で伝えなくちゃいけない場面って絶対出てくるんですけど、それが本当に伝わっているかどうか分かんないじゃないですか。言葉の選び方だとか、タイミングだとか、その子の性格だとかっていうのも全部考えなくちゃいけないから、選手やっているほうが楽だよなあとか思ったりしますね。

 

中山
そうですよね。指導者って、それを自分がやれるから、それを教えられるとはまた別なんですよね。それをどう伝えるかって、伝える力がないと、そこにいかないから。

 

 
 

 
中山
ただ、体が動くうちに指導者になるのも、一つっていうのは、人と話してて感じたんですよね。自分が膝が悪い状態で退いて、じゃあ指導しようかっていう時に、デモンストレーションってすごい重要だなあと思うんですよ。それをやることによって、もう一目瞭然で。百聞は一見に如かずじゃないんですれども。言うことよりも、やることで納得させることができるとなると。やはり指導の道にいくにも、体がある程度動く状態でいくほうが、やはりそこは、いいのかなあと。

 

五郎丸
そうですね、葛藤はありますね。


 

中山
ただそこを、切り替えられるっていうのも、またそこの考え方だと思うし。その道にいくんだったらって、決めたんだったらそこにいくぞっていう、思いがあれば、それもできるのかなあとは思うんですけどね。まあ五郎丸選手は指導者、代表の監督とか、そろそろじゃないですか?

 

五郎丸
いやいや(笑)。


 

中山
今、日本代表はずっと外国人監督になってるじゃないですか。

 

 

 

五郎丸
あー、それはでも、ずっと思ってますね。サッカーのやっぱり監督とかね、見ていると、当時岡田さんが監督されていましたし。やはり日本代表の監督を日本人がやって、引っ張っていくっていうのは、ラグビー界にとっては、もう夢のような。

中山
そうですよね。

 

 

 

五郎丸
これから目指さなくちゃいけないビジョンだと思います。


 

中山
そうなると、まず第1候補は清宮監督ですか?薫田監督ですか?どっちになります?

 

 

 

五郎丸
どっちでしょう?どっちと言いにくいですけど、まあ。


 

中山
清宮さんは、五郎丸選手の先輩ですよね。で、薫田さんは僕の先輩なんですけど(笑)。

 

 

 

五郎丸
(笑)。


 

中山
スクラム組ましてもらったから(笑)。

 

 

 

五郎丸
(笑)。


 

中山
そういうところは気になりますけど。ま、日本人の監督が、そろそろ出てきてもおかしくないっていう流れではあるんですか?ラグビー界は。

 

 

五郎丸
んー、これから、どうでしょうねー。やっぱり世界を知るプレーヤーだとかが出てこないといけないなあっていうのは感じてますね。

 

 

 

 

 

中山
そこはやはり選手に対して説得力のある、ものに変わるからってことですよね。

 

 

 

五郎丸
特に、ラグビーの日本代表の場合は、国籍が違う選手も多数を占めるので、日本人だけを納得させればいいという問題ではないんですよね。


中山

ああー、なるほどね。

 

 

 

五郎丸
はい。だから外国選手たちにもしっかり理解させる、日本人の文化を持ってたりとか、日本人の指導もできるっていうこの2つが必要なので、ハードルは結構高いですよね。

 
中山
いや、複雑ですねー。それは。ああそうか、それありますね、うん。

 

 

 

後編につづく!

中山雅史

1967年静岡県出身。アスルクラロ沼津所属。ワールドカップには1998年と2002年の2大会連続で出場し、ワールドカップ日本代表の初ゴールをマーク。Jリーグではジュビロ磐田で長くプレーし、3回のリーグ優勝に貢献、J1通算157得点。

 

五郎丸歩

1986年福岡県出身。ヤマハ発動機ジュビロ所属。ラグビーが好きな父や兄の影響で幼い頃からラグビーを始め、早稲田大学では3回の日本一を経験。2015年ラグビーワールドカップではフルバックとして活躍し、強豪南アフリカを破るなど日本の躍進に貢献。

 

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