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特集 髙安 元横綱・稀勢の里へ感謝の土俵 大相撲名古屋場所

相撲 2021年7月9日(金) 午前11:40

2人が稽古で胸を合わせてきた数は“1万回を超える”という。関脇・髙安は2場所続けて10勝を挙げ、名古屋場所で13勝以上すれば大関昇進への「3場所連続で三役を務め、合わせて33勝以上」の目安に到達する。

 

名古屋場所に向けて稽古する髙安(2021年6月4日撮影)

 

しかし、大事な場所を3日後に控えた7月1日、悩まされてきた腰の痛みが突然に出た。病院での診察の結果、「急性腰痛症」で10日間の安静と治療が必要と診断され、初日からの出場を断念せざるを得なかった。

 

「一時は歩けない状態だった。寝たきりで3日間、安静にしていた」と治療に専念。相撲を取れる状態ではないにもかかわらず何とか3日目から出場を果たした。

 

名古屋場所に向けトレーニングする髙安(2021年6月4日撮影)

 

腰の状態が非常に厳しい中でも本場所の土俵に上がった理由がある。荒磯親方(元横綱・稀勢の里)の存在だ。15歳で角界に入門した髙安が、およそ17年にわたって稽古をともにし、相撲に必要な心技体のすべてを学び、ひたすら背中を追ってきた偉大な兄弟子だ。

 

2017年6月27日撮影

 

その兄弟子が8月1日に今の部屋から独立。今後、ふるさとの茨城県内に新たに「荒磯部屋」を設けることになった。

 

名古屋場所が初日を迎える3日前、高安は荒磯親方と最後の稽古をして、ひたすら相撲を取り続けた。

 

 

「多くを語らないが、相撲に対する姿勢を見せていただいて、とても影響を受けた。それをモチベーションに自分の相撲道として今まで精いっぱいやってきた」

 

精いっぱい相撲を取る姿を尊敬する兄弟子に見せたかったはずだ。出場した3日目から連勝し、2勝2休で迎えた5日目の相手は新小結・明生。

 

 

立ち合い強く当たって前に出て、腰痛の影響を感じさせない動きを見せたが、肩すかしに敗れた。

 

 

残り10日、大関昇進の目安をクリアすることは現実的には不可能となった。ただ、寝たきりの状態から諦めずに本場所の出場を果たした髙安。

 

 

兄弟子への長年の感謝の思いを胸に千秋楽まで相撲を取り続け、ふた桁勝利を目指してくれるはずだ。髙安の奮起に期待したい。

この記事を書いた人

坂梨 宏和 記者

坂梨 宏和 記者

平成21年NHK入局 福岡県出身

長崎局、広島局などを経てスポーツニュース部。プロ野球を担当した後、現在はサッカー担当。

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