ストーリー野球

楽天 浅村栄斗 チームを背負う使命と模索の日々 東京オリンピックに向けた覚悟

2021-07-09 午後 07:20

東京オリンピックの代表に選ばれた、プロ野球・楽天の浅村栄斗(30)。みなさんはこの選手にどんなイメージを抱いているだろうか。

 

みずからの性格を「マイペースで、めんどくさがりで、わがままで、人見知り」と表現する。しかしバットを握ると、その姿は様変わりする。チームの勝利を一身に背負い、模索する日々に迫った。(記録は7月5日時点)

重圧との戦い

2008年8月 甲子園で優勝し盾を受け取る浅村選手

 

2008年の夏は、浅村にとって特別な夏だった。甲子園で大阪桐蔭高校の1番・ショートとして5割を超える打率を残し、全国制覇を成し遂げた。

 

同じころ、中国では北京オリンピックが開かれ、野球も競技として行われた。

 

2008年 北京オリンピック準決勝のG.G.佐藤選手

 

小さなころから見てきたオリンピックで最も印象に残っているのは、この大会に日本代表として出場し、のちに西武でチームメートとなった先輩、G.G.佐藤の落球だという。

 

浅村 栄斗 選手

あのプレーを見て、オリンピックでは、ふだんやらないようなミスも起きると思った。すごいプレッシャーなんだろうなと見ていて、すごく伝わってきた。(国際大会の)プレミア12も経験したが、オリンピックは、それ以上のプレッシャーや日の丸の重みもあると思う。

 

その北京以来、3大会ぶりに野球がオリンピック競技に復活。浅村は、平成生まれで初めてパ・リーグの打点王に輝くなど勝負強さが評価されて代表入りをつかんだ。

 

同時に大きなプレッシャーを背負う立場になったが、今は楽天で人一倍大きな重圧と戦い続けている。

 

 

それをよく表しているのが、移籍後から浅村が繰り返し口にしていることばだ。

 

「このチームは、自分が打たないと勝てない」

 

楽天のレギュラー陣には長距離バッターが少ないだけに、浅村の負荷は西武時代より大きいに違いない。とりわけ今シーズンは、思うようにチームを勝利に導けていないことにふがいなさを感じている。

 

80試合が終わった時点での成績は、打率こそ3年間で最も高い2割8分7厘をマークしているが、ホームランは、わずかに7本。一番こだわっている打点は、昨シーズンの半分にも満たない。

 

浅村 栄斗 選手

ホームランを狙うことはまったくないが、ビジョンに数字が出てしまうので気持ち悪いというのはある。チームの勝利にほとんど貢献できていないので申し訳ない。

“めんどくさがり”の努力

 

「何か変えなければいけない」

 

“めんどくさがり”という浅村が今、チームの練習が始まる30分以上前にグラウンドに姿を見せ、黙々とバットを振り込んでいる。「若手のころ以来」という連日の早出だ。その裏には、チームやファンへの強い責任感がある。

 

浅村 栄斗 選手

何かやらないと、いつかいい調子になるだろうと思っていると、やっぱりズルズルいっちゃうし、レギュラーとして出してもらっている以上は、1打席でも早く修正しないといけないという気持ちは当然ある。悪いときは原因があるわけだから、見つめ直しという意味で今は早出の練習を大事にしている。

 

復調への道につなげようと、客観的な評価も活用している。球団スタッフには、自分のミートポイントに関するデータを調べてもらった。その結果、昨シーズンまでの好調時と比べて、ポイントがわずかにずれていることが分かったという。

 

 

ボールを体の近くまで呼び込めていない時もあれば、タイミングが遅れてしまっている時もあるという。それを知ったあとは、自分の理想的なポイントを取り戻すためのさまざまな練習に取り組んでいる。

 

 

トスを真横から上げてもらったり、バットの重さを変えたり…。スタンスが広がりすぎないように、バットの長さを目安にすることもある。豪快なスイングが印象的な浅村だが、その陰には“めんどくさがり”とはほど遠い、地道な練習とこまやかな確認作業の積み重ねがある。こうした取り組みは、打席での平常心にもつながるという。

浅村 栄斗 選手

変なことを考えて遠くに飛ばそう、強い球を打ちたいと思ってしまうとスタンスが広がる原因になる。全部がつながっていて、スタンスが広くなっちゃうと、ポイントもずれる。バッティングは1球1打席でガラって変わったり、いきなり調子が悪くなったりするものだからあまり1日の結果でどうこうとは思わないようには今はしているという感じ。

重圧を力に チームのため

 

まもなく迎える東京オリンピックの開幕。大舞台が近づくにつれてホームランが出始めるなど、浅村は重圧をしっかり受け止め、本来のバッティングを取り戻しつつある印象だ。

 

新型コロナウイルスの影響で、オリンピックの開催についてさまざまな意見があることも分かっている。それでも重圧を力に変えて、強い使命を胸に金メダルを目指す覚悟だ。

 

浅村 栄斗 選手

経験できることが、これからの自分のいい財産になると思う。やるからには勝たないとダメだし、勝つことによって喜んでくれる人ってたくさんいると思うので、こういう状況でやる意味をしっかり考えて全力でやりたい。

この記事を書いた人

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並松 康弘 記者

平成26年NHK入局。新潟局を経て、仙台局で楽天担当3年目。野球は「中学から大リーグまで」幅広く愛する。

 

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