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特集 宇良 およそ4年ぶりに幕内復帰で新たな体に “業師”が大きくなって帰ってきた!

相撲 2021年7月2日(金) 午後8:00

先場所、十両優勝を果たした宇良が21場所ぶりに幕内の土俵に上がる。1年4か月ぶりに地方で開催される名古屋場所では新たな姿が見られそうだ。

けがしたことを感じさせないような元気な相撲を見てもらいたい。

 

ひざの大けがを乗り越えた宇良は、先月(6月)いつもどおり、応援してくれるファンを意識した発言をした。ただ、体はひとまわりもふたまわりも大きくなっていた。

 

 

それもそのはず、夏場所(5月)の体重は143キロ。「100キロ位だった」という6年前の入門時(平成27年)に比べて40キロ以上増えた。ケガをしてからでは15キロも増えたという。

“小さな業師” がリハビリの中で気づいたこと

 

“小さな業師”とも言われる宇良。平成29年初場所での「たすき反り」は、十両以上では初めての決まり手。全く予測できない素早い動きで、小柄ながら大きな力士を何度も技で倒し、あっという間にファンの心をつかんだ。

 

 

順調に進んでいた力士人生は、右ひざの大けがで暗転した。幕内から一時は序二段106枚目(令和元年九州場所)まで番付を落とした。ひざの手術を2回も受けた。

 

復帰に向けてリハビリを続ける中、あることに気づかされた。

 

この(小さな)体では関取は務められない。逃げ回って勝機をつかむのではなく、しっかり力で対抗できるようにしたい。

肉体改造の日々が続いた

 

肉体改造を決意し、日々のトレーニングに加えて食生活も見直した。量を増やすとともに質も重視。摂取が必要なタンパク質は、グラム単位で計算した。

 

 

「細かった」という胃袋も鍛え、パワーをつけた。力強さに技が加わり再び番付を上げていったのだ。

夏場所での収穫

押されにくくなったのが1番の収穫。

 

 

ことし夏場所、魁聖との白星を挙げた取組。自分よりおよそ50キロも重い体重190キロの巨漢力士の圧力に耐え続けたあと巧みな動きで足を取り、最後はすくい投げ。まさに力と技が融合した相撲だった。

 

自分がやらないといけないことを1日、1日、ずっとこなしてきた。結果がついてきてよかった。

“史上最大の復活劇”再び!?

 

角界では、照ノ富士がひざの大けがなどで序二段に番付を下げたが、そこからはい上がった。優勝と大関復帰の“史上最大”と言われる劇的な復活劇を成し遂げた。戦後では、最も下位から幕内復帰を果たした宇良。名古屋場所では、まず勝ち越しを目指すという。

 

小兵じゃないと思って見てもらえれば。

 

およそ4年ぶりの幕内の場所に向けて、こう力強く話した。“大きくなって”帰ってきた宇良の名古屋場所は“もうひとつの復活劇”の始まりとなるのか、取組から目が離せない。

この記事を書いた人

坂梨 宏和 記者

坂梨 宏和 記者

平成21年NHK入局 福岡県出身

長崎局、広島局などを経てスポーツニュース部。ヤクルト担当。

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