特集 大相撲の力士をやめたらどうなるの?

年に6回開かれる大相撲の本場所が終わってから、幕下以下の力士の引退が発表されます。ことしの夏場所後には21人の引退が発表されました。
勢引退、春日山襲名のリモート会見、左は師匠の伊勢ノ海親方(6月25日)
コロナ禍のため関取の引退会見はすべてリモートになりますが、元関脇で人気力士の勢も会見を行い、春日山親方になりました。また横綱鶴竜は春場所中に引退を決めて、12日目に会見しました。力士の引退とは何なのか改めて見てみましょう。
力士は引退するとどうなるのか?
令和2年1月 記念撮影する八角理事長(前列左から2人目)、山響親方(同3人目)、伊勢ケ濱親方(同5人目)
十両以上の関取経験者なら、一定の資格があれば、「年寄名跡」を襲名して、親方になれます。親方になれる資格は、横綱、大関、三役は1場所以上、幕内は通算20場所以上、幕内と十両を合わせて通算30場所以上と規定で決まっています。襲名は書類審査を受けて、理事会が承認します。
親方は平年寄から始まり、主任、委員、役員待遇委員、副理事、理事と階級があり、役員である副理事と理事は年寄の選挙で選ばれます。
横綱と大関は、力士をやめてからも優遇される
令和元年9月29日 引退相撲で後援会長とあいさつする荒磯親方(元横綱 稀勢の里)
横綱と大関は、現役時代からほかの三役以下の関取とは別格の扱いですが、親方でも特別扱いです。「年寄名跡」がなくても、横綱は5年間、大関は3年間、現役時代の四股名(しこな)のまま年寄になれます。この期間は委員待遇です。
「年寄名跡」襲名を認められた力士は、その後どうするか
鶴竜引退、親方襲名のリモート会見、左は師匠の陸奥親方(春場所12日目)
リモートで行われる記者会見では質問に答えて現役時代の思い出に残る一番や、どんな力士を育てていきたいかなどを話します。
荒磯親方の断髪式でハサミを入れる横綱白鵬(令和元年9月29日)
コロナ禍のため、いまは行われていませんが、国技館で引退相撲と断髪式が行われ、後援会の関係者や関取衆にハサミを入れてもらい、最後に師匠がまげを切り離します。そして髪を整えた姿でファンにあいさつをします。
親方になれなかった場合はどうなるか?
親方になれなくても、引退した十両、幕下力士で認められれば、若者頭、世話人で日本相撲協会の仕事につくことができます。
表彰式で御嶽海から賜盃を受け取る若者頭の栃乃藤(令和元年秋場所千秋楽)
若者頭は本場所の表彰式の進行や幕下以下の若い力士の監督などをします。世話人は相撲用具の運搬や管理などを行います。若者頭は8名以内、世話人は13名以内という定員があります。
第2の人生をスタートする元幕内大喜鵬に花束が贈られる(令和元年秋場所千秋楽)
相撲部屋のマネージャーやコーチという肩書で相撲界に残る人もいますが、新たな仕事で第2の人生をスタートする人が多いです。
相撲専門雑誌「NHK G-Media大相撲中継」から