ストーリー陸上

アメリカの陸上選手にはアルコールやデザート禁止?スポーツ強豪大学には栄養士が常駐し食育も

2018-06-26 午後 0:00

アメリカというと食事はステーキにハンバーガー、フライドポテト、コーラをイメージする方も多いと思います。

ですが、1秒、1センチを争う陸上選手たちの食事はそういったものとかけ離れています。トップ選手の食事事情は以前と大きく変わり、栄養素やカロリーに気をつける選手がほとんどです。

今回はプロ選手、学生選手の食事管理や食生活、それを支える人たちを紹介します。

プロ選手の多くが食事管理を徹底

プロの陸上選手の多くが、トップパフォーマンスのために栄養管理、食事管理を行っています。たとえば陸上選手の多くは、シーズン中はアルコールやデザートの摂取を制限しています。

 

マイケル・ノーマン選手(2018年オレゴン州ユージーン屋外陸上競技選手権)

 

全米学生陸上の400メートルで43秒61の学生新、世界歴代6位を出したマイケル・ノーマン選手は「アイスが好きだけど、まだシーズン中なので食べていない。ピザやアイスはシーズンオフのお楽しみ。高校時代からシーズン中は節制していて、野菜を多く食べるようにしている」と話します。

ノーマン選手はアメリカ人の父、学生時代にスプリンターだった日本人の母を持ち、室内の試合では400mで世界新記録を立てており、東京五輪ではメダル候補の期待の選手です。

 

エイリス・メリット選手(2018年アイオワ州デモイン屋外選手権)

 

男子110mハードル、ロンドン五輪の金メダリストのエイリス・メリット選手は「自分は太りやすい体質」と自覚していて、メディアとの食事会の場でデザートを勧められると、「シーズン中は甘いものは食べないようにしているのでいいです。ほんの少しと思っても、それを続けてしまうと脂肪がついてしまうので」と断っていました。

しかし、「デザートまで食べて食事が完結する」とフランス人記者が大きなケーキを食べるのを、とてもうらやましそうに見ていました。

 

選手がデザートを食べない場合はメディアも普通は気を使うのではと思うのですが、ヨーロッパの記者はそのあたりはお構いなしで、メリットや他の選手から「そのケーキ、すごくカロリー高いから太るよ」とからかわれていました。

オレゴンプロジェクトもデザートは禁止

日本の大迫傑選手が所属するアメリカの長距離グループ「オレゴンプロジェクト」では、女子選手もメリットと同様のことを口にしていました。

「コーチから言われているのはワインは適量はOK、ビールはダメ。デザートはシーズン中は絶対に禁止。チームの規則なの」と話していました。

中長距離選手は練習量も多く、甘いものを体が欲すると思うのですが、世界トップチームで世界でメダルを狙うチームはさすがに厳しいですね。

 

ちなみにヨーロッパで行われる大会の選手食堂には、前菜からデザートまで用意されていますが、デザートを食べるのはコーチや代理人が多く、選手は試合前に必要な栄養素のみを摂取しています。

 

脂肪が多いという理由で牛肉は避けて鶏肉をメインに食べる選手が多かったり、体重を気にしている女子選手は炭水化物を控えめにする、いわゆる「ローカーボダイエット」で管理する姿なども見られます。

大学ではスポーツ奨学生のために栄養士が常駐

日本では小中学校で家庭科の授業があり、調理実習で簡単な料理を作ったり、必要な栄養素を学ぶ経験がありますが、アメリカではそのような授業はほとんどなく、大学生でも料理ができない子が多くいます。

そのためアメリカの多くの大学はスポーツ奨学生用の食堂で朝食、夕食を準備しているほか、昼食も授業の合間に食べられるような軽食を用意しています。

 

ケンタッキー大学の朝食用のカフェには調理台も設置されており、学生が朝練の後に立ち寄り、卵料理やスムージーなどを自分で料理するシステムになっています。

同校の栄養士さんは

「アメリカは様々な環境の子がいます。料理をしない家庭も多いので基礎的な知識も分からない学生が多いんです。競技によって必要な栄養素も摂取量も違うので、そういったことを教えるほか、基本的な調理の流れ(材料や調理器具の準備、調理、後片付け)も教えます。最初は手間取っていた学生も、数ヶ月たつと楽しそうに料理しますよ」

と話します。

 

1996年アトランタ五輪 コリ・カーター選手(左)  2017年ロンドン世界陸上選手権 ケニー・ハリソン選手

 

同校で練習する世界陸上ロンドン大会で400mハードル金メダルのコリ・カーター選手や100mハードルの世界記録保持者、ケニー・ハリソン選手も朝練習の後に学生たちと楽しそうに料理をしていました。

 

サニブラウン選手 (2017年 第101回日本選手権大会)

 

陸上のサニブラウン・アブデルハキーム選手が所属するフロリダ大学では、スポーツ奨学生用の学習ホールに栄養士が常駐し、学生選手の食に関する悩みの相談に乗っています。

体重を落としたい、増やしたい、疲れが取れない。そんな時に何を食べたらいいのか、食生活の改善のアドバイスをしてくれたり、常設してある調理台で簡単な料理の作り方を見せてくれるなど、まさに至れり尽くせり。

好きなものだけを食べていては勝てない、食べるものがパフォーマンスに影響する。日本では当たり前のように知られていることですが、アメリカではまだまだ勉強中の選手がほとんど。

こういった考えの変化がパフォーマンスにどう影響するのか注目ですね!

及川彩子

スポーツライター。NY在住10年。
陸上、サッカー、ゴルフなどをメインにオリンピック・パラリンピックスポーツを幅広く取材。

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