ストーリーサッカー

サッカー日本代表 権田修一 凡事徹底の先に

2021-06-07 午前 09:30

“周りの状況がどうであれ、目の前の自分のやるべきことに取り組むだけ”


2022年ワールドカップに向けて予選を戦っているサッカー日本代表、ゴールキーパーの権田修一選手(32)の言葉です。

 

ことし3月、自らが守った代表の試合での無失点記録を更新。現在も失点ゼロを続けています。(6月2日時点)

 

一時は心身の不調で引退を考えた時期もあったという権田選手。辛い時期をどう乗り越えてきたのか。そこには、コロナ禍を生きる私たちへのヒントがありました。

安定して日本のゴールを守る現在

 

J1の清水エスパルスに所属する日本代表ゴールキーパーの権田修一選手(32)。シュートコースを予測する力、ピンチの状況で研ぎ澄まされる集中力が持ち味です。

 

「派手なビッグセーブは“予測”や“準備”ができていない証拠」と、確実なプレーを大切にしています。

 

3月の韓国戦でセーブする権田選手

 

3月には、日本代表の試合を8試合連続無失点で守り、日本代表の先輩たちが成し遂げられなかった記録を更新。現在も失点ゼロを続けています。(6月2日時点では9試合連続)

順調なキャリアから一転…

そんな権田選手、ここまでの歩みは決して順調ではありませんでした。

 

2012年 ロンドン五輪 3位決定戦に臨む日本イレブン

 

中学生の頃から年代別の日本代表に選ばれ、主力として活躍。23歳で迎えたロンドン五輪では44年ぶりとなる日本のベスト4に貢献し、将来を嘱望される存在でした。

 

 

しかし、その後、代表でのしれつなポジション争いの結果、過剰なまでの練習をし、極度の疲労からくる心身の不調“オーバートレーニング症候群”を発症します。

 

グラウンドに行きたくない、休日に幼い息子とサッカーをするのもつらい、そうした状態に追い込まれた当時をこう振り返ります。

 

権田 修一 選手

ただ不安だからと練習しすぎて休めなくなった結果、どこかで頑張れなくなって、体も心もどんどん落ちていってしまった。食事もサッカーのため、睡眠もサッカーのため、プライベートもサッカーのため、すべてサッカーのためってなっていた、そのサッカーっていうものに向き合えなくなった時間だったので、あのときは本当につらかったという言葉でいいのかっていうくらいどうしようもなかった。

 

療養し、およそ半年でサッカーをできる状態にまで復帰。しかし、代表からは遠ざかり、ヨーロッパでのプレーにも挑戦したものの思うような結果を残せませんでした。

暗闇の中で大切にしたのは、“基本に立ち返ること”

 

耐え忍ぶような時間が続く中、権田選手が大切にしていたことがあります。

 

それは、基本を重視すること。シュートを防ぐのに派手なことは必要ない、との信念を持ち、練習では、一つ一つの動作を入念に確認します。

権田 修一 選手

1歩1歩にこだわるところはやり続けていますね。例えば、自分の右側に来るボールをキャッチするときには、しっかり力をのせて地面を蹴ることができるか、蹴るためにちゃんとステップを踏めているか…など。基礎の部分っていうのは、やっぱり立ち返るところ。普段から1個1個の動きを、確実に、正確に、なおかつ、力強くやり続ける。

 

練習後には、練習中の動きを撮ったビデオを見ながら「この動きのときにまだムラがある」など確認にも余念がありません。

 

 

また、ほかの選手が帰っても、キャッチから、攻撃につながるキックまで、もう一度、基礎の練習を黙々と続けています。こうした積み重ねが、自分自身を信じる力になったといいます。

権田 修一 選手

しんどい時を乗り越えてた時っていうのは、シンプルに自分のできる仕事に集中して、自分のできることの精度をあげたりそこのスケールを大きくしていく。乗り越えたときにはそれがもっと強い武器になっているんじゃないかな。自分が求められた役割をとにかくやること、全力でっていうことは昔の経験からやろうかなと思っています。

 

自分と向き合い続けたことで、30歳手前で日本代表へ返り咲き、32歳のいま新記録を打ち立てています。

コロナ禍の今だからこそ伝えたい権田選手の言葉

私が権田選手の取材を始めたのは2017年。当時、一度目の海外挑戦から帰国してJ1サガン鳥栖に所属していました。

 

2017年 サガン鳥栖に所属していた権田選手

 

そのときも、一番に練習に来て、居残り練習をして入念に体のケアをして最後に帰っていた権田選手。取材の中で聞いた、「周りの状況がどうであれ、目の前の自分のやるべきことに取り組むだけ」という言葉がずっと心に残っていました。

 

コロナ禍で我慢を強いられる人が多い今だからこそ、困難を乗り越えた権田選手の言葉を届けたい、その思いから、今回、過去の話をじっくり伺いました。

 

 

最後に、コロナ禍でいろいろな思いを抱えて我慢している人たちへ伝えたいことを聞くと「我慢している人、僕は、見ている人は見ていると思っている。サッカーでも、普段頑張っている人には、ミスをしても『大丈夫、普段頑張っているんだから、自信持て』って言いたくなっちゃうんですよ。僕は、我慢している人が報われるときがこの先に間違いなくくると信じている、明けない夜はないと思うので、そこは信じて、みんなで乗り越えればいいかなと思います」と答えてくれました。


目の前に集中して、基礎に立ち返り、努力を積み重ねる、4年前も今も変わらない権田選手の姿勢を目の当たりにして、代表に返り咲いた権田選手の“強さ”の秘密が垣間見えた気がしました。

この記事を書いた人

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堀 菜保子 アナウンサー

おはよう日本スポーツ担当。

平成29年NHK入局。これまで佐賀局、札幌局で、サッカーやパラスポーツを中心に取材。

 

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