ストーリー野球

阪神 佐藤輝明 失敗を糧に将来の4番へ

2021-06-03 午後 0:50

「自己採点ですか…。50点ですね」

 

1年目からリーグ屈指の長打力をみせている阪神の注目ルーキーの自己評価は意外にも厳しかった。

 

 

「場外ホームラン」「1試合3ホームラン」などでメディアを沸かし続けているが、その裏には、みずからの失敗を冷静に分析する地道な努力があった。(記録は5月31日現在)

長打力発揮も「毎日勉強」

 

阪神のドラフト1位ルーキー、佐藤輝明(22)。

 

「大学ナンバーワンスラッガー」と大きな注目を浴びて入団し、ここまでホームラン13本、打点38といずれもリーグ上位の成績をマーク。

 

5月28日 西武戦で3本目のホームランを打った佐藤選手

 

5月28日の交流戦の西武戦では、巨人の長嶋茂雄以来、新人では63年ぶりとなる1試合3本のホームランを打った。

 

ふだんは厳しい阪神ファンからも「すごい新人が現れた」と驚かれ、“将来の4番”と大きな期待をかけられるが、当の本人はいたって冷静だ。

 

佐藤 輝明 選手

今のところ、ホームランをしっかり打てているということには、自分の中で手応えを感じています。ただ、打ち損じや三振も多いし、まだまだ技術は足りていないので、毎日が勉強です。

厳しいインコース攻めに苦しむ

 

開幕当初、注目ルーキーを待っていたのは徹底したインコース攻めだった。執ように投げ込まれて、力んでボール球にも手を出してしまう。

 

さらに、インコースを意識しすぎるあまり、アウトコースの変化球にもタイミングが合わない悪循環。開幕から三振が続いて、打率は1割台に落ち込んだ。

 

佐藤 輝明 選手

シーズンの最初は、インコースをすべて打ちにいったことがだめだった。インコースを攻められるとわかったことで、より意識してしまって、そこに来たボールを全部振りにいってしまっていた。

ノートで“失敗”を分析

ここで役に立ったのが、プロに入って新しく始めた“習慣”だった。

 

佐藤は相手ピッチャーの配球や特徴に加えて、調子が落ちたときに、バッティングフォームで気づいたことなどを、試合中にベンチでノートに書き記している。

 

ノートを見返して失敗を分析することで、修正点を見つけることが狙いだ。

 

インコース攻めに苦しんでいたときは、打席で冷静さを失っていたことに気づいたという。

 

佐藤 輝明 選手

書かないと忘れてしまうんで、ノートに書くようにしています。ムキにインコースを狙っても打てないことがわかったので、しっかりした構えでリラックスした状態でボール球を見送るように変えました。

“しっかり見極める”

5月15日の巨人戦では1回に先制打

 

インコースのボールに無理に手を出さないことを意識してバッティングが変わった。

 

5月15日の巨人戦だった。1回ツーアウト三塁の場面、追い込まれてから巨人のサンチェスが投げたボールはインコース高めのストレート。

 

これまではスイングして三振するケースが多かったボールだ。しかし、ここはしっかりと見逃してボール。

 

 

続く5球目、アウトコース低めの変化球を、態勢を崩されずにうまく拾い、先制のタイムリーツーベースを打った。

 

インコースを見極めて、打ちやすいコースのボールに狙いを絞ることで、5月に入って三振は少しずつ減り、月間の打率は3割を超えた。

 

佐藤 輝明 選手

インコースをしっかり見極めることができれば、相手バッテリーもほかのコースに投げざるをえない。そこで来る甘い球を一発でしとめられるバッティングフォームを毎日意識してやっています。まだまだ足りないところもいっぱいあるので、しっかり練習を重ねたい。

 

 

5月には、けがで離脱した大山悠輔に代わって4番に入ることもあったが、監督の矢野燿大は「体験入部のようなもの」と笑う。

 

もちろん佐藤も現状に決して満足はしていない。

 

決してあぐらをかかない“注目ルーキー”が、失敗を糧に1歩1歩“将来の4番”へ成長を遂げていく。

この記事を書いた人

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足立 隆門 記者

平成25年NHK入局。大阪府出身。
甲府局、山形局を経て、大阪局スポーツ。オリックス担当を経て阪神を担当。趣味は剣道(二刀流)。

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