ストーリー野球

中日 根尾昂 試行錯誤を繰り返す勝負の3年目

2021-06-02 午後 07:30

大阪桐蔭高校時代、甲子園で名をはせた当時18歳の青年の顔は、面影を残しながら少し大人びた顔つきに変わった。

 

根尾昂選手(21)。プロの厳しい世界でもまれ、3年目。試行錯誤を繰り返して、ひと皮むけようとしている。

 

今シーズンは、長所であり、課題でもあったバッティングの向上で、レギュラーに定着できるか、理想の自分に近づけるのか、勝負の年だ。

待望のプロ初ホームラン

 

5月4日、本拠地「バンテリンドーム ナゴヤ」が大きく沸いた。根尾選手がライトスタンドへプロ初ホームランを打ったのだ。

 

 

それも満塁ホームランと、これ以上ない、1打になった。レギュラー定着を目指す中、ついに出た1本。普段はクールな根尾選手の笑顔がはじけた。

根尾 昂 選手

ファンの期待に初めて応えられたというか、ドームが盛り上がってくれたのが、よかったですね。

 

課題はバッティング

 

大阪桐蔭高校時代、通算32本のホームランと軽快な守備、投手としては最速150キロと、たぐいまれな才能で、チームを甲子園春夏連覇に導いた。

 

そして、4球団競合の末、ドラフト1位で中日に入団。

 

しかし、プロ入りから2年間で、ヒットわずか2本とプロの壁にぶつかっていた。3年目の今シーズンを「勝負の年」と並々ならぬ決意で2月の沖縄キャンプに向かった。

根尾 昂 選手

自分の経験とは計り知れない、天と地の差くらいのすごい方なのでたくさん聞いて勉強したい。

 

その1軍キャンプ初日、根尾選手が取材で口にしたことばだ。

 

その「すごい方」とは、通算2000本安打を達成し、中日一筋で22年間プレーした「ミスタードラゴンズ」こと立浪和義さんだ。

 

キャンプで臨時コーチとして招かれた。

 

 

同じ左打ちの内野手、甲子園春夏連覇を達成、高校卒業からドラフト1位での中日入団と根尾選手と重なる部分が多い立浪さんは、優勝から遠ざかるチームにとって、根尾選手の成長が欠かせないと考えている。

 

 

「真ん中からインコース寄りのボールを引っ張ることができれば、根尾選手はレギュラーになれる」

 

立浪さんは、根尾選手の課題と期待についてこう語った。

 

根尾選手はマンツーマンで指導を受け、キャンプの1か月間はとにかく打ち込んだ。

初の開幕1軍でスタメンも不調に

 

ついに、2021年のシーズンが始まった。開幕戦、マツダスタジアムの広島戦。

 

根尾選手は、開幕を初めて1軍で迎え、さらに8番・レフトでの先発出場を勝ち取った。

 

 

その第1打席でヒット。根尾選手にとって、上々の滑り出しとなった。

 

根尾 昂 選手

もっとできると思っている。やることをしっかりやった上で、結果が出るように、欲はもっと持ちながらやっていきたい。

 

しかし、気持ちとは裏腹に、結果はついてこなかった。その後は、打率1割台と調子を上げられず、4月22日からは、4試合連続でスタメン落ちを余儀なくされた。

スタメン外れ特訓

 

根尾選手はスタメンを外れた期間からある特訓を行った。栗原健太打撃コーチは、不調の要因のひとつに、キャンプから課題であった「真ん中からインコース」のボールに差し込まれていたことにあると指摘し、ある練習方法を提示した。

栗原 健太 打撃コーチ

とにかくライトに強い打球というのを意識させて、しばらく練習して打つポイントをしっかり覚える意味でも、極端にちょっとやらせた。

 

栗原コーチとの特訓は、センターからライト方向に引っ張り、打つポイントを前にする感覚を身につけようと意識すること。日頃のバッティング練習から、とにかく引っ張って矯正を続けた。

 

ポイント修正で成績上昇!

 

成果が表れるまでに時間はかからなかった。4月27日に先発メンバーに復帰すると、その後10試合で30打数11安打、打率3割6分7厘と調子を上げた。ライトへ引っ張ってプロ初のスリーベースを打つなど、徐々に特訓の成果が出始めていた。

特訓が結実のプロ初ホームラン!

そして、5月4日。3回の第2打席。

 

 

「自分のスイングで振り抜いた」と速球をとらえた打球は、ライトスタンドへ飛び込んだ。満塁の場面でプロ初ホームラン。特訓の成果が結果に結びついた瞬間だった。

 

根尾 昂 選手

試行錯誤して毎日、打つためにしっかり準備している結果が今のような感じになっているのかなと思う。

 

根尾選手はインコース寄りのボールをミートする際、ポイントが前になって打てるようになったことで、結果が出始めた。

根尾 昂 選手

自分のポイントで、しっかり振り切ることができるというのを、まず1番大事にして、打ち損じを減らすというか、強い打球を一発で飛ばすというようなところを、今、大事にしている。

 

まだまだ道のりの途中

 

少しずつ、結果が出始めている根尾選手に、理想とする選手像を聞いた。

根尾 昂 選手

打順は3番、ツーベース、打点が多いバッターになりたい。まだまだ物足りないとすごく思う。こうしたら、もう少し打てるようになるんじゃないかと。3打席に1本は打てるようにというのが、一流のバッター。いつも1本でも多く打ちたいという気持ちはありますね。

 

根尾選手は、現状に満足しない。目標がただ単にレギュラーになることではなく、さらに1つ、2つ上を見ているからだ。

 

野球センスに着目されがちだが、見るかぎり根尾選手は努力の人だ。

 

寮に隣接する室内練習場でバットを振り込み、試合前は、全体練習の1時間前には、球場に出て体を動かし始め、ティーバッティング、守備の基礎練習と、日々の努力も惜しまない。

 

3年目の今シーズン、外野での先発出場を生かし、今後レベルアップの糧にして、中日の未来を担う選手に成長するか楽しみだ。

コロナ禍の今だからこそ

最後に、こんなときだからこそ、「野球ファン」に気遣い、気持ちを込めて言った。

 

根尾 昂 選手

コロナ禍で日本全国で大変な時期に突入していると思うんですけど、こうして僕らが野球をできているということに感謝して、皆さんに少しでも楽しんで頂けるようなプレーをしたいと思っています。

 

 

 

 

この記事を書いた人

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竹内 啓貴 記者

平成27年NHK入局

横浜局ー沖縄局を経て、名古屋局で中日ドラゴンズを担当。小学校から大学まで野球を続けるも、社会人となって体重30キロ増で見る影もない。ちなみにポジションは投手でした・・・。

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