ストーリー野球

楽天 松井裕樹 史上最年少で150セーブ達成 若き“守護神”に宿る まっすぐな心

2021-06-02 午後 07:25

5月9日。プロ野球史上最年少、25歳で通算150セーブを達成した楽天の抑え、松井裕樹。

 

高校時代からのバッターを力で圧倒するピッチングをプロの世界でも実現し三振の山を築く“守護神”には、力強いストレートに負けない、まっすぐで素直な心が宿る。(記録は5月31日現在)

バロメーターは奪三振

5月9日の日本ハム戦で9回に登板 通算150セーブを達成した松井投手

 

プロ8年目の今シーズン、先発から抑えに復帰した松井は、5月までにパ・リーグトップの14セーブをマーク。奪った三振は34個と、12球団のリリーフピッチャーで2番目に多い。

 

「自分らしいピッチング」をプロに入ってからも貫けるピッチャーは数えるほどだが、高校時代に夏の甲子園で1試合22個の最多奪三振記録を作った松井は、三振が自分の持ち味だと自負している。

松井 裕樹 投手

三振を取らなくてもアウトを取る方法はいくらでもあるとは思っていますが、投げた後に何も起こらないというのは三振しかないので、リスクを下げることができると思います。

 

素直でまっすぐな心

通算150セーブを達成 記念のボードを掲げる松井投手

 

150キロを超えるストレートと鋭く曲がるスライダー、フォークボールで、25歳で通算150セーブを達成。

 

対戦するバッターにとっては脅威の存在だが、そんな松井が最近ハマっているのは、人気シンガー・ソングライターの「あいみょん」。

 

マウンドに上がる時の登場曲に採用し、自分好みのライブのセットリスト(演奏する曲順)を妄想することもあるほどの入れ込みよう。喜々として曲のよさを語ってくれる松井の素顔は、無邪気で素直。

 

言い換えれば、力強いストレートに負けないほど、まっすぐな心を宿している。たとえば、抑えという役の醍醐味を尋ねると、こんな答えが返ってくる。

 

松井 裕樹 投手

勝った時に、仲間とマウンドで集まる瞬間やウイニングボールを勝ち投手や監督に渡す瞬間、裏方さんに出迎えてもらえる瞬間が一番好きです。

 

リリーフの絆

 

ともに試合終盤を支えるチームメートへの思いも深い。今シーズン、楽天のリリーフ陣の防御率はリーグ2位と安定。首位を争う原動力となっている。抑えたときも打たれたときも助け合い、励まし合う“仲間”だという。

 

松井 裕樹 投手

リリーフピッチャーは、自分がピンチを作れば、誰かがカバーにいく準備をするというのがあるので仲間意識は当然、強いです。誰が抑えとして投げてもいいようなメンバーなので、その代表として最後を投げているので、失敗はできないなという気持ちですね。

 

福山 博之 投手

 

中でも特別な存在が、11年目の福山博之だ。演歌界の大御所、北島三郎さんに似ているとして“サブちゃん”の愛称で親しまれる。

 

6年前、松井が抑えに転向した当時、福山はリリーフの柱として毎年60試合以上に登板していた。その福山から松井は、プロとしての振るまい、しきたりを教わったという。

 

福山はその後、肩とひじを故障したが、手術を乗り越えて去年復帰。今シーズンは開幕から13試合連続無失点とリリーフ陣を引っ張った。5月下旬に失点が続き、現在は2軍での調整となっているが、かつて薫陶を受けた先輩の活躍を松井は素直に喜んでいる。

松井 裕樹 投手

当時の自分は、まだ周りが見えていなくて、サブさんから、いろんなことを注意してもらったり、教わったりしました。いろんなことばをかけてもらって、一緒に過ごしてきたので、また、こうして一緒に戦えているというのは自分のなかで、すごくうれしい。

 

長女と成長を競い合う

 

そんな松井が今、成長を競い合っているのがこの春、1歳になった長女だ。シーズン中は、週1日の休みを一緒に過ごすのが何より最高の時間だという。

 

そのひとときの充実ぶりを、彼らしい表現で語ってくれた。

松井 裕樹 投手

言葉っぽいものが出てくるようになりましたし、人見知りもなくなってきました。まだ生まれてきて1年くらいなのに、いろんな刺激を受けて成長してくれていて、尊敬できることがたくさんあります。自分も“現状維持”ではいけないと、常に思わせてくれますね。

 

誰かのために

 

素直でまっすぐな心はそのままに、父親の顔をのぞかせる松井。昨シーズン先発に挑戦し、4勝にとどまった経験もプラスに受け止め、1週間かけて準備する先発の大変さを知ったからこそ、リリーフとしていっそう踏ん張れるという。

 

順調にキャリアを積み重ね、今、目指すのは、これまでの7年間に達成していないリーグ優勝と日本一。まだ見ぬ頂を目指して、ファンのため、仲間のため、そして家族のために腕を振り続ける覚悟だ。

松井 裕樹 投手

(元監督の)星野仙一さんが生前、『誰かのために頑張れる人は強い』と言っていました。自分自身のためにというより、みんなのためというふうに思った方が僕も頑張れる。みんなに喜んでもらえるように勝利のマウンドを守っていければと思います。

 

 

 

 

この記事を書いた人

画像alt入ります

並松 康弘 記者

平成26年NHK入局。新潟局を経て、仙台局で楽天担当3年目。野球は「中学から大リーグまで」幅広く愛する。

 

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!