ストーリーサッカー

サッカー佐々木翔「大ケガを乗り越え再び頂点へ」

2018-10-26 午前 0:00

サッカーJ1で優勝争いをしているサンフレッチェ広島。今シーズン注目の選手は、ディフェンダーの佐々木翔選手(29)です。

今年、首位争いをするチームでの活躍が評価され、30歳を目前にして初めて日本代表にも選ばれました。

その飛躍の裏側には、2度の大きなケガを乗り越えた過去がありました。

フェレット大好き

10月上旬。広島県安芸高田市にあるサンフレッチェの練習グラウンドの一角には、見慣れない動物とわわむれる佐々木選手の姿がありました。その動物は「フェレット」。

 

 

佐々木選手はサポーターの連れてきたフェレットの頭をなでたり、顔を近づけてにおいをかいだり・・・。

あまりに夢中なので「動物好きなんですか」と聞くと、「動物っていうかフェレットが好きっすね。だいぶ好きです」と佐々木選手。

ピッチで見せる闘志あふれる姿とは違う“かわいい”一面を発見した瞬間でした。

『強さ』と『高さ』

サンフレッチェは残留争いをした昨シーズンと一転、今シーズンは優勝争いを繰り広げています。

そのチームで佐々木選手は主に左サイドバックとして全試合に先発出場。

持ち味は、体の強さを生かしたディフェンス。それに攻守で威力を発揮する打点の高いヘディングです。

 

 

身長1メートル76センチと決して大柄ではありませんが、パワフルなプレースタイルでリーグ屈指の守備陣を支えてきました。この『強さ』と『高さ』はどこから来ているのか。

サンフレッチェ広島のフィジカルコーチに聞くと、「骨太だし、足の腱や体幹の筋力がとにかく強い。ヘディングするときのジャンプのタイミングもうまい。外国人選手と高い位置で競ることができる貴重な日本選手」と評価していました。

佐々木選手

空中戦だったり、人に対する強さっていうところは、自分の強みとして自信持ってやっていいところだと思う。

守備陣が失点を少なくできているところが、今のチームのベースになっているところだと思うので、ディフェンダーとしては力になれているのかなとは思います。

栄光から一転 "ケガとの戦い"

ヴァンフォーレ甲府時代 (2012年)

 

佐々木選手は、神奈川大学を卒業後、ヴァンフォーレ甲府でプロ生活をスタート。

3年間プレーしたあと、2015年のシーズンからサンフレッチェ広島に加入しました。

 

Jリーグチャンピオンシップ決勝 第1戦 (2015年)

 

そしてその年、年間優勝を争うチャンピオンシップ決勝の第1戦で同点ゴールを決めるなど、J1制覇に大きく貢献しました。

 

大宮アルディージャ対サンフレッチェ広島 (2016年)

 

しかし、その翌年(2016年)の3月、試合中に、右ひざの前十字じん帯断裂の大けがを負います。

 

手術は避けられず全治8か月。佐々木選手にとって、初めての長期離脱を伴うケガだったといいます。しかし、ケガとの戦いはここで終わりません。

 

復帰を目指して調整を続けていた翌2017年1月のキャンプ。

 

練習中に再び前十字じん帯を断裂したのです。2回目の手術に踏み切り、合わせておよそ2年間の長期離脱を余儀なくされました。

 

佐々木選手

実は2回目の断裂のときは、3か月くらい前に右ひざが損傷していることがわかっていた。しかし、ここで開幕から試合に出られないと苦しいシーズンになるとわかっていたので、手術をせず保存療法で勝負を賭けた。

でも耐えきれなかった。長くサッカーができないというのは、しんどいというか、きつかったですね。

 

当時のことについて佐々木選手は、言葉を選びながら淡々と語っていました。

リハビリ乗り越え復活へ

2年間のリハビリ生活を佐々木選手は、どう乗り越えたのか。その質問に佐々木選手は、自身の前向きな性格と、周りの支えのおかげだったと話します。

佐々木選手は自他ともに認める「ポジティブ」な性格。

当時は「荒れることもあった」と振り返りながらも、「ネガティブな言葉ではリハビリにも身が入らない。少しでも自分のプラスにできるかどうか」と自らに言い聞かせて、地道なトレーニングを積み重ねたということです。

そしてもう1つが家族や同僚の支えです。

 

佐々木選手

妻はもう一度ピッチに立つのを信じて気遣ってくれたし、先輩やトレーナーも見捨てずに話しかけてくれた。

 

周囲への感謝の言葉には特に力を入れていました。

 

そして、迎えた今年の開幕戦。佐々木選手は、およそ2年ぶりに公式戦のピッチに戻ってきました。

 

ケガ明けだと感じさせない激しいプレーを攻守で見せ、90分間フル出場。無失点に抑え勝利に貢献しました。

 

 

この開幕戦、佐々木選手にとっては「もう1回やり直せる自信が深まった」と、シーズンを戦い抜ける手応えを得た重要な試合となりました。

初めての日本代表

 

序盤から首位を走るチームの中心として活躍し続け、30歳手前にして日本代表に初招集。

 

キリンチャレンジカップ 日本対コスタリカ (2018年)

 

代表初戦となった9月のコスタリカ戦では、得意のヘディングで先制点に絡む活躍を見せ、「サンフレッチェでやってきたことが負けていない」とさらに自信を深めました。

ただ、佐々木選手に日本代表のことについて質問しても、あまり多くを語らないという印象があります。

代表のユニフォームを初めて着ても「一切高ぶらなかった」。

今後も代表に呼ばれたいかと聞くと「呼ばれたらうれしいですけど、あまり考えていないですかね」とつれない返事。

 

サンフレッチェ広島 佐々木選手 (前列 左から3番目)

 

それはなぜか、佐々木選手は常にサンフレッチェ広島でのことを最優先に考えているからです。

それは「チームがタイトルを取るためにずっとやってきている。まずチームで結果を出す、そのついでに日本代表に選ばれれば」という言葉にも表れています。

3年ぶりJ1の頂点を

 

佐々木選手にとっての最大の目標はJ1優勝。

しかし、チームは9月下旬の第28節終了時点で、およそ半年間守り続けていた首位から2位に陥落しました。

首位の川崎フロンターレとの優勝争いは、正念場を迎えています。佐々木選手は、プレーでチームを引っ張っていく覚悟です。

 

佐々木選手

シーズンの前半でうまく行きすぎていた中で、いつか試練は来るんじゃないかとみんな思ってたと思うので、こういう苦しいときにいかに崩れないかが大事だと思う。自分の役割としては、わかりやすいところでいうと得点だったりアシスト。

ディフェンスでは目の前の相手にやらせない、目の前でゴールを決めさせないというところ。終盤まで良い順位にいて目の前に大きなチャンスがあるので、是が非でも優勝したいと思うし、それをつかむために必死でやりたい。

 

くしくも佐々木選手がケガをして以降、サンフレッチェ広島は、J1制覇から遠ざかっています。

大ケガを乗り越え再びJ1の頂点へ。佐々木選手の攻守にわたる活躍に注目です。

松山 翔平 記者

平成22年入局
大分局・千葉局を経て今年7月から広島局
サッカーを中心にスポーツを担当
元高校球児 ストレス解消法はジム通いとカラオケ

 

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