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特集 山本草太 "挫折を乗り越え 初のNHK杯へ"

フィギュアスケート 2018年11月8日(木) 午後0:00

山本草太選手は中京大学の1年生。世界のトップ選手が集まるグランプリシリーズの1つ、NHK杯に初めて出場します。

ある挫折を乗り越えてきた山本選手の大舞台にかける意気込みを聞きました。

ユース五輪で優勝 期待の星に

山本選手の魅力は高いスケート技術が生み出す、豊かな表現力と、スピードに乗った演技です。

 

山本選手

一つ一つの試合を大切に、よい演技をシンプルですけど、良い演技をしなきゃいけないなと思っています。

 

冬季ユースオリンピック フィギュア男子 (2016年)

 

山本選手はおととし、高校1年生でユースオリンピックに出場。

難易度の高いジャンプを次々と成功させ、見事に優勝しました。日本の将来を担う選手として大きく期待されていました。

右足首を骨折 リンクに上がれない苦悩の日々

 

ところがその直後。練習でトリプルアクセルに失敗し右足首を骨折。

 

 

 

足首にボルトを入れる手術を行ったものの、思うように回復しませんでした。3回も手術を繰り返し、リンクに上がれない日々が続いたのです。

山本選手

先が見えないというか、これ本当に治るのかなぁという状態で。リハビリもなかなか取り組めず、絶対治らないなと考え込んでいた時期はありました。

初めてそういう挫折というものを味わったと思います。

観客の声援が大きな支えに

 

リハビリを繰り返し、ようやく復帰したのは、およそ1年半後。そこで厳しい現実に直面します。

 

 

復帰戦の、中部選手権の公式記録。かつて4回転ジャンプを跳んでいた山本選手。初心者レベルの1回転を跳ぶのが精一杯でした。

そんな中で、応援してくれるお客さんたちが大きな支えになったといいます。

山本選手

応援してくれたお客さんの声援とか拍手、本当に全部嬉しく思えたので。今も本当に力に変えれますし、本当にありがたいことだなと思っています。

 

前向きにスケートに取り組めるようになったという山本選手。今も足首に3本のボルトが入ったままです。

 

 

足に負担をかけないよう、ジャンプの練習量をこれまでの半分以下に抑える一方で、1本1本に集中。質で練習量を補っています。

 

川梅みほコーチ

今のなら(トリプルアクセル)いけると思うよ。もうちょっと振り切った方がたぶん楽だけど。今のペースのままいけば、いけるでしょ。

 

この日は、1回だけと決めてトリプルアクセルに挑戦。

トリプルアクセルの練習動画

 

抜群の集中力で、見事に決めました。ジャンプ練習を抑える一方、力を注いでいるのが表現力の強化。

 

 

体をしなやかに見せられるよう、指先や腕の動きを磨いています。ステップは音楽のテンポにあわせて緩急をつけることで、よりなめらかな滑りに。

いまの自分をすべて“出しきる”

フィンランディアトロフィー 男子フリー

 

さらに、軸を意識してきたスピンは10月に出場した大会で、高い評価を得ました。ようやくたどりついた大舞台。

いまの自分のすべてを、出しきるつもりです。

 

山本選手

NHK杯という1つの試合を、本当に楽しんで。自分が演じたいこと、自分がしたいことを観客の方々だったり、今まで支えて下さった方に見せるというか、伝えていけたらなという思いで、演じていきたいと思います。

澤田 彩香 アナウンサー

名古屋放送局 
滋賀県大津市出身。スポーツアナウンサーを目指して日々、取材に奮闘中!

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