ストーリーラグビー

ラグビー・日本選手権決勝 五郎丸歩が見た「異次元の80分」

2021-05-28 午後 05:00

「異次元の80分」。

五郎丸歩さんが試合前にそう評した、ラグビー日本選手権の決勝。サントリーとパナソニック、強豪同士の対決はパナソニックの優勝という結果で幕を閉じました。激闘の勝敗を分けたものは何だったのか。五郎丸さんが見たファイナルです。

互いの長所がぶつかった80分

この試合、先制したのはパナソニック。前半からリーグ最少失点の守備を発揮し、激しいタックルで主導権を握ります。松田力也選手の3本のペナルティゴール、この試合で引退となる福岡堅樹選手のトライなどで得点を重ね、16点リードで試合を折り返します。

 

この試合で引退となる福岡選手がトライ

 

リーグトップの得点力を誇るサントリーは、後半だけで3本のトライを奪う必死の追い上げ。対するパナソニックは相手の攻撃の中心、ボーデン・バレット選手に対して試合を通して徹底マークする戦略で、ゴールキックのみ6得点に抑えます。最後は5点差まで詰め寄られましたが、堅守で要所を守り切り31対26で試合終了。パナソニックが日本選手権6回目の優勝を果たしました。

 

まさに互いの長所がぶつかった好ゲーム。沢山の好プレーが出た中で、五郎丸さんは勝負を分けたひとつの場面に注目しました。

 

「後半20分過ぎ、サントリーさんがパナソニックさんのゴール前まで攻めた場面で、パナソニックさんが相手の反則(ノットリリースザボール)を誘った。そのシーンが試合を大きく分けましたね」

ゴール前“数十センチ”の攻防

五郎丸さんがピックアップしたシーンは、後半20分過ぎのサントリーの連続攻撃の場面。直前にパナソニックのトライで再び16点差に離されていたサントリー。それでもバレット選手のキックを皮切りにパスをつないで、ゴールライン目前に迫りました。フォワード陣のギリギリの攻防が続いた後半22分、サントリーはブレイクダウンからボールを出すことができず、痛恨のノットリリースザボール。トライを取り切れませんでした。

 

ここでトライをとっていたら「試合は大きく変わっていた」と語る五郎丸さん。攻め続けるサントリーの「トライを取りたい」という気持ちが仇(あだ)となったのではと語ります。

 

「あそこは本来セーフティーにボールを出す場面。トライまであと一歩というところで気持ちが前に行ってしまい、うまくサポートに入れなかったのだと思います。タックルされた選手は、本来そこで“寝ればいい”んです。寝てボールを出せばサポートの選手もうまく入ってこれますが、“あと一歩手を伸ばせばトライ”という場面で、本来のポイントより30センチ、ないし50センチ前に出てしまいました。サントリーにとっては勝負をかける場面でしたからすべてを否定はできませんが、一歩でも前に出たいと言う気持ちが出てしまったゆえに反則につながった勝負の“あや”、面白さがあの場面にはありました」

 

試合を通してパナソニックの堅守が光った

勝負を決めた「ディフェンスの文化」

サントリーがわずかに前のめりになった瞬間。パナソニックはボールが見えるとすかさず絡んで相手の反則を誘いました。ここでボールに絡んでいたのが、直前に交代で入ったスクラムハーフの小山大輝選手だったことに、パナソニックの守備の強さが現れていると五郎丸さんは言います。

 

「まず彼はポジション的に、ジャッカルに行く選手ではもちろんありません。交代直後でフレッシュな状態だった小山選手は、ピンチの場面でも状況判断をしっかりできていたので反則を誘いに仕掛けていった。サントリーのペースになるかと思ったところで、交代選手が相手の反則をとってピンチを防いだパナソニックは、リザーブを含めた23人で勝った印象を持ちましたね。サントリーもラストワンプレーまで攻め続けましたけど、守り切ったパナソニックの方が一枚上だった」

 

日本ラグビー 新たなスタートへ

今回の日本選手権は、18年続いたトップリーグ最後の王者を決める戦いでした。来シーズンからは新たなリーグがスタートする予定。1週間前に「異次元の80分」と称した通りの試合でトップリーグの締めくくりを見た五郎丸さんは、最後に激闘を見せた両チームを讃えました。

 

 

「パナソニックさん、サントリーさん互いの長所が随所で出た80分間。20年近くトップリーグを続けてこられましたけど、今日の試合は本当に“ファイナル”にふさわしい素晴らしい試合でしたね」

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