ストーリーラグビー

ラグビーの気になる話(14)いよいよW杯イヤー!キャプテンの決意

2019-01-01 午後 0:00

ラグビーワールドカップ日本大会が開催される2019年になりました。これまで8回のワールドカップは、いずれも、ラグビー伝統国で開かれています。

日本での開催は、大きな試みであり、ラグビーの未来を占うと言っても過言ではありません。この大会で、ベストエイトを目指す日本代表は、前回大会に続いて、リーチ マイケル選手がキャプテンを務めます。並々ならぬ決意で臨もうとしています。

リーチ選手の日本代表への誇り

 

この年末年始、リーチ選手は、長い休暇を取ることにしました。母親の母国のフィジーと、自らの母国のニュージーランドで過ごすためです。

休暇はおよそ1か月。15歳で札幌市の高校に留学し、日本での競技生活をスタートさせてから初めてのことです。

リーチ マイケル選手

新年をニュージーランドで迎えるのは14年ぶりです。ずっと東京か札幌でした。ワールドカップを前に『原点』に戻ろうかなと思いました。

 

リーチ選手が日本国籍を取得したのは2013年。フィジーやニュージーランドの代表を選ぶ道もある中で、日本を選択しました。

「自分自身が代表になって、チームを強くし、みんなからリスペクトしてもらえるようにしたい」という思いからでした。

 

ラグビーW杯 日本代表 会見 (2015年)

 

その思いが実ったのが、2015年のワールドカップイングランド大会でした。

リーチ選手は、当時のエディー・ジョーンズヘッドコーチからキャプテンに指名されました。

 

強豪南アフリカに勝利 (2015年)

 

重責を背負って迎えた1次リーグ初戦で、強豪の南アフリカに34対32で勝利し、「世紀の番狂わせ」を起こしました。

リーチ マイケル選手

2015年に得たものは、勝つための準備です。それは、今の代表にも受け継がれています。

何を大事にしないといけないか。そして、コーチから言われたことをディテールまで積み上げていって試合に出る大切さ。

キャプテンというプレッシャーも好きだし、今回もキャプテンを務めていることに違和感はないです。

"1次リーグは『戦いやすい相手』"

今年のワールドカップ、日本は、1次リーグで、4チームと対戦します。

 

  • ・9月20日(金)対ロシア(世界19位)
  • ・9月28日(土)対アイルランド(2位)
  • ・10月5日(土)対サモア(16位)
  • ・10月13日(日)対スコットランド(7位)
 

アイルランド代表

 

日本が目標に掲げている初めてのベストエイトを果たすには、強豪のアイルランドやスコットランドから少なくとも1勝をあげることが求められます。

こうしたなか、リーチ選手は、対戦する4チームについて、「特徴が似ていて、速いテンポに持ち込む日本にとって、戦いやすい相手」と分析しました。

 

リーチ マイケル選手

戦い方はどんな相手でも全部同じです。アイルランドはもちろん世界一に近いチームでミスをしない。大きなフォワードと素晴らしいスタンドオフ。本当に優勝を狙えるイメージがあります。

スコットランドもアイルランドと同じでミスをしない。そして、大きなフォワードと大きなバックス。サモアも毎年同じ。大きくてパワーがある。一発でトライを取る能力がある。そんな感じです。

ロシアを含め、4チームとも似ています。僕らにとっては有利な相手です。でかいフォワード、重いフォワードは有利です。

課題も冷静に見極めて

ただ、日本もさらなる進化が求められています。

 

テストマッチ 日本対イングランド (2018年)

 

去年11月、世界1位のニュージーランドや、エディー・ジョーンズ前ヘッドコーチが率いる世界4位のイングランドとテストマッチを行いましたが、特に密集の攻防での対応が遅れ、失点する場面が目立ちました。

強豪との対戦で見えてきた課題を、残り9か月でいかに改善できるかが重要で、リーチ選手もチームの現状を冷静に見ています。

 

リーチ マイケル選手

トランジション(移行)の速さがまだ足りません。それができていないチームは弱いと思います。

ニュージーランドと試合をしたとき、1つ1つのミスのところで、相手の動きが速く、日本は2、3歩遅れました。動き出しの速さはトレーニングでは出せない。フィットネスをやっても出せない。そこを世界一にしないといけない。

予測して、ボールが落ちるんだろうなというときに、もう動かないといけない。目で見てしまうと終わりで、次を考えて行動に移すことが大事です。

 

さらに、リーチ選手は、代表の選手たちにメンタル面の成長も求めています。

 

リーチ マイケル選手

チームの課題は、お互いどれだけ厳しくできるかだと思います。

お互いにフィードバックして、ダメなプレーを言うとか、できていないところを言い合うようなチームにしないといけない。

今は、どっちかというとコーチに言われている。言われないように僕たちが指摘し合う。そうすれば、もう1つチームのレベルが上がると思います。

主将の覚悟とは

「世紀の番狂わせ」から4年。あのとき、ラグビーを知らない人までも熱狂させたのは、体格で世界の強豪に劣る、小さな日本代表のひたむきな奮闘でした。

あの勝利に関わったキャプテンは、今大会でも「たくさんの人にいい影響を与えたい」と語気を強めました。

 

リーチ マイケル選手

日本代表は小さい。小さいものが大きなものに勝つ。それを一番見て欲しい。その勇気あるプレーや覚悟を見て、いろいろ学んで欲しい。

僕の一番の仕事は、強いチームを作って勝つことです。チームの中には、外国選手もいて、カルチャーが混ざっているグローバルなチームワークを見て、いろいろ感じて欲しい。ワールドカップを勝つためにやっぱりキャプテンが一番強くならないといけない。キャプテンが一番勉強して、強くなりたい。

今、ベストエイトって言っていますけど、正直僕はベストエイトということばが好きじゃない。毎回、毎試合勝って、ベストエイト超えるくらいのチームを作っていきたいと思います。

 

誰よりも日本の伝統を重んじ、誰よりも強くあろうとするリーチ選手。大会を前に原点に立ち返り、自身と向き合いながら、さらなる進化を目指す。

キャプテンとして、今度は、どんな熱狂を引き起こし、ラグビーの新たな歴史を刻むのか、その決意に大きな可能性を感じます。

鈴木彩里

スポーツニュース部 記者
平成21年入局。金沢局、名古屋局を経て、平成28年からスポーツニュース部勤務。名古屋局時代を含めプロ野球の取材を4年経験してこの夏からラグビー担当。自らも大学時代は地域のクラブチームに入って楕円球を追った。

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