ストーリーラグビー

ラグビーの気になる話 (27)代表候補のホープが訪ねたのは?

2019-05-15 午後 0:00

 

ワールドカップ日本大会の開幕まで4か月あまり。日本代表候補は3月から強豪国のニュージーランドやオーストラリアへの遠征を重ねて、強化に取り組んでいます。

このうちニュージランド遠征では、24歳の姫野和樹選手が、コンディション調整などで参加を見送ったリーチ マイケル選手に代わって、キャプテンを務めました。代表候補のホープである姫野選手が訪ねた1人のアスリートがいます。

ラグビー姫野和樹×バスケットボール田中大貴

 

3月23日。姫野選手は、赤いカクテル光線がコートを照らし、大音量のBGMが流れるアリーナにいました。3年目のシーズンを迎えたバスケットボールBリーグの試合会場です。後に2連覇を果たすことになるアルバルク東京と名古屋ダイヤモンドドルフィンズの試合に、ワールドカップのPRを行うスペシャルゲストとして招待されたのです。

 

 

ラグビーのトップリーグの試合に比べて臨場感があり、選手とファンの一体感を生み出すように演出された進行に感心しながら観戦したと言います。

 

 

そして試合後、バスケットボール男子の日本代表の中心選手として活躍するアルバルク東京の27歳、田中大貴選手との対談の機会が設けられました。

田中選手は、正確なシュートと冷静なプレーの選択を強みに、来年の東京オリンピックで、日本男子44年ぶりとなる出場権獲得に貢献しました。さらに、7年前から日本代表でプレーを続け、姫野選手にとっては、言わば、世界と戦う「日本代表の先輩」です。

 

 

ワールドカップに向けて、何かを学べないかと考えていました。お互いに自己紹介をしたあと始まった対談で、まず話題となったのは、大柄な外国選手を相手に戦う際の心構えでした。

 

田中大貴選手

ラグビーも同じだと思うのですが、国内の試合と海外の試合では当たりが全く違います。初めて日本代表のユニフォームを着たのが、2012年、大学3年生のときだったんですが、海外の選手にぶつかられたときに、すごい衝撃を受けました。

これが海外との差なのかなと。自分たちは、まだファウルをとってもらえるからいいんですが、ラグビーは正面から海外の骨格のすごい選手とぶつかり合います。怖くないですか?

 

姫野和樹選手

正直、めっちゃ怖いですよ。

ですが、仲間意識が強いスポーツだと思っているので、やはり1人のタックルのミスが得点につながってしまったら、それが命取りになりますし、仲間がみんなが体を張っているのに、自分だけ怖がって、タックルに行かないというのは絶対にできません。ただ、試合前とかはぶるぶる震えます。

2人が考える日本人の強みとは

 

体の大きな海外の選手といかに戦うか。姫野選手は、日本人の強みがどんなものかを尋ねました。

 

姫野和樹選手

バスケットボールもラグビーと同じように、フィジカルが重要だと感じますが、どうですか?

 

田中大貴選手

バスケットボールも正直な話、背が高い選手が有利です。その壁はやはりあります。ゴール下に身長が高い選手がいて、自分たちが小さいと、もうそれだけで相手にアドバンテージがあります。だから人数を増やすというか。例えば1対1でとられてしまうのであれば、2人で挟みこんでボールを奪うとか、プラスアルファの動きが日本には必要だと思います。

日本人は素早いとか、俊敏性があるとか言われるのですが、海外の選手も十分俊敏な動きをします。だから常に厳しい戦いは強いられます。日本人の良さは、勤勉さなので、それを生かして戦っていくべきです。運動量は大事だと思うようになりました。

 

姫野和樹選手

海外の選手はめちゃめちゃでかくても、俊敏にステップを踏む。そこに関しては、持っているものというか、バネも違うと思うので、俊敏さだけでは勝負できない。ただ、国際試合で、そういった選手とぶつかってきて思うのは、日本人も全然弱くないということです。

自分自身もやってみて自信がつきましたし、全然負けていないので、日本人は弱いという前提に戦うのはやめた方が良い。日本人は体が小さいから低くタックル行くんだとか弱いからという前提で練習することが多くありますが、その間に、外国の選手たちが1つ上のスキルを身につけ、差をつけられてしまう。そこが間違っていると思っています。

 

田中大貴選手

そういう概念を捨てることが大事ですね。トレーニング方法も進化しています。

自分たちも当たりを逃げないというか、自分たちから当たりに行くぐらいのレベルが求められていると思います。

プロとして生きる覚悟とは

 

姫野選手は対談が進む中で、ある質問を田中選手に投げかけました。それは「プロとして生きる覚悟」です。姫野選手は、ワールドカップ後、プロとして活動していくことを見据えています。Bリーグ発足からプロとして戦っている田中選手に聞きたいと考えていたことでした。

姫野和樹選手

プロとして、バスケットボールをやる中で何を意識してますか。メンタル面でもいいですし、何か意識してることがあれば、教えてもらいたいなと思っています。

 

田中大貴選手

自分は高校時代から全く無名の選手だったんですけど、内に秘めたものを持ちながら、こつこつと努力してきたタイプの人間だと思っています。そのことを今も忘れずにというか、決してエリートだったわけではないので、今もやはり地道な努力を積み重ねることだけは忘れないようにしています。

ラグビーも日本人が一番不利なスポーツだと思っていたのですが、すごく勇気ある試合を見させてもらうと、競技は違うんですけど、バスケットボールでも、日本中の皆さんに勇気や感動を与えられるようなプレーをやりたいと励まされました。バスケットボール男子は、ワールドカップやオリンピックに出場できない時代がずっと続きましたが、今回、出場権を獲得できたので、お互い頑張れればと思います。

 

田中選手は、8月31日から中国で始まるワールドカップに臨み、来年の東京オリンピックを目指します。そして、姫野選手は9月から始まるワールドカップを目指して、戦いを続けます。世界に立ち向かうアスリートとして共鳴した2人がどんな成長を見せていくのか、目が離せません。

 

鈴木俊太郎

スポーツ番組部ディレクター 2007年入局。札幌局を経て、12年からスポーツ番組部。ラグビーは前回のワールドカップも現地取材。

 

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