ストーリー水泳

競泳 池江璃花子 日本選手権で“王座奪還”に挑む

2021-04-01 午後 06:15

白血病から競技に復帰した池江璃花子選手が3年ぶりに日本一を決める舞台に帰ってきます。

 

東京オリンピックの代表選考会でもある日本選手権を前にした3月中旬。

 

私たちの取材に、いまの気持ちを飾ることなく話してくれました。

プールに戻り1年、日本一の舞台へ

2020年3月17日 退院後初めてプールに入った池江選手

 

3月17日、新潟県長岡市の合宿先の宿舎での出来事でした。


いつも通り夕食を終えた池江選手に、チームメートやコーチがケーキを差し出しました。その上には「おめでとう」の文字が。

 

ちょうど1年前、池江選手が白血病の治療を乗り越えてプールに戻ってきたのが、この日だったことを覚えていた仲間たちからのプレゼントでした。

 

当時、治療の関係でまだ水に顔をつけることはできませんでしたが、プールが何物にも代えがたい大切な場所であることを確認した瞬間でした。

 

あれから1年、池江選手自身も驚く早さで日本一を決める舞台に帰ってきました。

 

もう日本一の王座決定戦に絡むことができるんだという、うれしさもあるし、ただ日本選手権に出るだけじゃ終わりたくない気持ちもあるので、王座奪還という目標を持ってレースに出る。やっとこの舞台に戻ってきたかという気持ちで、いくんじゃないかな。

”王座奪還” 狙う種目は?

 

池江選手が掲げたのは“王座奪還”というキーワード。今大会は、50メートル自由形、100メートル自由形、50メートルバタフライ、100メートルバタフライのあわせて4種目に出場する予定の池江選手。いずれも自身が日本記録を持つ種目です。

 

4つの中で、もっとも楽しみにしている種目を聞くと。

 

もちろん半バタです。

 

50メートルバタフライを迷わず選びました。

 

オリンピック種目ではありませんが、この種目で勝ちきることが今後を見据えて重要だと考えています。

みんなはオリンピックを目指して頑張っているけど、私はまだそこまでいってないと思っている。選考会というよりも、あくまで日本選手権として挑みたい。

再び世界へ、そのための一歩

東京都オープン女子50メートルバタフライ決勝の池江選手


ことし2月、競技復帰後では5大会目となった「東京都オープン」で池江選手は女子50メートルバタフライに出場しました。

 

学生が中心の大会でしたが、おととしの世界選手権の決勝進出に相当する好タイムをマーク、これが復帰後、初めての優勝でした。

 

レースに復帰して半年、いま、再び世界と戦えるという手応えをつかみつつあります。

 

復帰直後は、ぜんぜん世界なんて考えられなかったし、なんなら泳ぎ始めたころは小学生くらいのレベルだと思っていたので、まったく、考えていなかった。でも、こういうタイムを出せたときに“まだこれいけるな”と自分の中で何かがわいてきた。

王座奪還の鍵はスタート


世界で戦うステップとして、まずは”王座奪還”という目標を掲げた池江選手が、いま取り組んでいるのがスタートです。


一時は体重が15キロ以上落ちた池江選手は、合宿中、夕食を終えたその足で、コーチと一緒にラーメン屋に行くなど体を大きくするために“食トレ”に力を入れていますが、まだ十分ではなく筋力も戻り切ってはいません。

 

 

そのため、いまはスタートの遅れを、どうカバーするのかが課題となっています。


スタートの合図に対して0秒01でも速く反応できるタイミングや感覚を探り、スタート台から飛び出す練習を繰り返していました。

 

 

練習中、気持ちが先走って、わずかにフライングしてしまい、「今のは速かった」と笑顔で振り返る姿もみられました。

 

50メートル種目は、本当に0秒01が勝負を分ける世界。0秒01でもスタートが速ければ、その分、タッチが速くなる。そういう感覚で、とにかく素早い動きができるようにしている。フライングはしちゃいけないんだけど、ちょっとでも他人より速くいきたいという気持ちだけは持っている。本当に練習を積み上げていかないと、技術的な面は補えない。

体と心と向き合い、その先へ

池江選手ならば予想を超える泳ぎを見せてくれるのではないか。

 

そう期待してしまう私たちに池江選手はことばを選びながら静かに決意を語りました。

 

ここまで来るのは簡単なことじゃなかったのは、すごく分かってほしいところではある。でも本当に気持ちさえ強く持っていれば、ここまで戻ってこられるし、自分が本気でどうなりたいか、思うだけで自分の体っていいほうに動いてくれる。とにかく気持ちを強く持ってやっていくことが大事だと思う。日本選手権では勝ちも経験し、負けも、悔しさも経験することになると思う。来年の日本選手権では、その悔しさは絶対に経験したくない。日本選手権で負けるのは今回が最後だと思って泳ぎたい。

この記事を書いた人

画像alt入ります

安留 秀幸 記者

平成22年 NHK入局 北九州局からスポーツニュース部。競泳担当。メダルラッシュが期待される選手たちを追いかけて取材に邁進中。

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!