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特集 大相撲・照ノ富士 大関復帰を支えたもの

相撲 2021年4月1日(木) 午前8:00

大相撲春場所で三回目の優勝を果たし、21場所ぶりに大関復帰を決めた照ノ富士。一時は序二段まで番付を下げながら、見事な復活を果たした陰で彼を支えたものは…。千秋楽当日のサンデースポーツで語りました。

3大関を倒しての優勝

単独トップで春場所千秋楽を迎えた照ノ富士。大関・貴景勝との一番に勝てば照ノ富士の優勝、逆に敗れれば優勝決定ともえ戦にもつれ込むという状況でした。

 

 

迎えた一番。立ち合いで攻めたのは貴景勝。得意の押し相撲で押し込みますが、照ノ富士もその圧力を必死にこらえます。そして大関が引きを見せたところで攻めに転じ、一気に押し出しました。12勝3敗、正代、朝乃山、貴景勝の3大関を全て倒しての優勝でした。

 

 

その約4時間後、サンデースポーツに生出演。まずは率直な気持ちと、この日の取組を振り返ってもらいました。

 

「(優勝は)本当に嬉しかったです。今日の取組はまだ映像で見ていなかったので、(今見てみると)危なかったですね。立ち合いでちょっと失敗しちゃって。でもその後は良く体が動いてくれましたね。大関(貴景勝)は押しが徹底的に強いので、それに負けないようにと思ってとりました」

 

そして、大関復帰を確実にした心境を次のように語りました。

 

「もう1日1日必死にやってきただけです。こうやって結果に現れて、嬉しく思っていますし、ホッとしています」

支えてくれた人たちのために

照ノ富士の大関復帰は、大相撲の歴史に残る快挙と言われます。大相撲の歴史の中で、十両以下に落ちた力士が大関に戻るのは昭和以降初めてです。

 

 

照ノ富士の番付の推移を見てみると、3年4か月前にけがで大関から陥落。その後は病気も重なり2年前には序二段まで番付を落としました。しかしそこから勝ち越しを続ける快進撃で、去年7月、幕内に復帰した場所で優勝。その後も三役で好成績を続けて大関復帰を決めたのです。

 

「1日1日を必死にやってきた」と繰り返す照ノ富士。苦しかった時も、どうしてくじけずに復活することができたのか。照ノ富士はその問いに、自分を支えてくれた人たちへの思いを語りました。

 

 

「やっぱり何回もやめたいなという気持ちになりました。親方とも家族にもそのことを相談しましたけど、みんな(復活を)信じてくれました。そこでもう一度頑張るんだという気持ちを後押ししてくれたので、その思いを自分の肩に背負ってやらないといけないなという気持ちでした。自分のためというより、やっぱり周りのひとたちに、恩返ししたいという気持ちの方が強かったです」

 

照ノ富士の優勝を受けて番組に祝福のメッセージを送ってくれたのが、元関脇・安美錦の安治川親方です。伊勢ケ濱部屋の兄弟子として、引退後は部屋の親方として照ノ富士の復活までの日々を見守ってきました。

 

安治川親方

「照ノ富士関、優勝、また大関復帰おめでとう。よく頑張りました。膝が痛くてもただ休むんじゃなくて、その日その日の限界まで追い込んでいた。この結果は想像できたし何も驚く事はなかったですけど、本当苦しい時を見てきたからこそ、本当によかったなと思います。」

 

このメッセージを聞いてほほを緩めた照ノ富士。安治川親方への感謝を語りました。

 

「本当にありがたいです。親方も現役中はケガをされて同じ経験しているので、たくさんアドバイスを頂きましたし、いつも相談に乗ってくれました。腐らずやる事、その日その日の一番に集中して、全力を出す事を教えてもらいました」

もう一段「上」の番付へ

かねてから「目標」と公言していた大関復帰を果たし、期待されるのはやはり「綱とり」。最後に来場所以降の意気込みを、照ノ富士は力強く語りました。

 

 

「やっぱりここまで“来ちゃった”ので、最後まで全力を出し切って、もう一段「上」があるので、そこを目指して頑張りたいです。(横綱は)なりたいと思ってなれるものではないのでね。努力を重ねて、それが結果に現れて認めてもらう事ができたら最高の形です。だからこそ、より一層、今より倍以上の努力しないといけないなという気持ちです」

 

サタデースポーツ/サンデースポーツ

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