ストーリーサッカー

自由とひらめきで勝利へ! なでしこ長谷川 唯

2019-06-14 午後 0:00

ついに開幕したサッカー女子ワールドカップ。
平均年齢24歳という新世代のなでしこジャパンの司令塔として期待されるのが、ミッドフィルダーの長谷川唯選手。
世界一奪還の鍵を握る、注目の22歳に迫ります。

最大の武器は瞬時の判断力

 

長谷川選手が所属しているのは、なでしこリーグの「日テレ・ベレーザ」。代表でもチームでも司令塔の役割を担い、攻撃をけん引しています。

長谷川選手の持ち味は広い視野。試合中にボールが動く中、スペースを見つけて正確なロングパスを仲間につなげます。しかも利き足ではない左足からも正確なパスができ、チャンスを生み出すことができるのです。

 

長谷川選手

「スルーパス大好き!ディフェンスがやられた感を出してくれる方がいい!」


と話す笑顔が印象的です。

 

合宿中の一幕。明るい性格でチームではムードメーカー

 

さらにパスを出すだけではなく、自分がディフェンスの間に走り込んでボールを受けることもあります。

長谷川選手

「ボールをもらう前にこっちの状況がこうだったから、今の時点ではここにいるだろうと予測し、次はどうなっているだろうと考えてやっている。」

小学生から才能を開花 でも“悪ガキ”だった!?

長谷川選手は小学校6年生の時に「日テレ・ベレーザ」の育成チームに合格。当時の指導者もその視野の広さに驚いたといいます。

 

当時の指導者 寺谷真弓さん(現 東京ヴェルディアカデミーダイレクター)

寺谷さん

「試合に出してみると思わぬところにパスを出したり。たまたまかと思って本人に聞くと、“見えていてパスを狙いました”と」


その反面、チームワークの意識は…

寺谷さん

「本当に悪ガキで、負けると味方のせいにして文句を言ったり…。そういう側面が結構あったんで1回怒ったことがあります。中学一年生のときかな?」

澤穂希から受け継いだ「あきらめない不屈の精神」

2011年ワールドカップ 決勝

 

そんな長谷川選手の転機となったのが、なでしこジャパンが世界一になった2011年。中心にいた澤穂希選手がどんな時でもあきらめず、誰よりも泥臭くかけまわる姿を見て、意識が大きく変わったといいます。

それから8年。澤選手にあこがれた長谷川選手は、なでしこジャパンの司令塔としてゲームメークを担う存在に成長しました。

長谷川選手

「澤さんのような最後まで諦めない気持ちやプレーを出していければ、同じような感動を与えられると思いますし、サッカーを始めたい人も増えてくるかもしれない。そういう“なでしこらしさ”が本当に大事だと思います。」


チームを率いる高倉監督も。

高倉監督

「状況を読む力も非常にありますしサッカー理解も高い。いろんなアイデアを持ちながらグラウンドで仲間に伝えて表現していくことが大事。」


高倉監督は、細かいパスをつなぐ攻撃的なサッカーに「瞬時の判断力」をプラスし、さらに先を読んで先手をとるサッカーで世界に挑もうとしています。そのサッカーが世界に通じるのか?
長谷川選手にかかる期待は大きいのです。

長谷川選手

「攻撃の部分で違いを見せられるかどうかが求められていると思います。日本人は賢さを出していければ、相手の逆を取るプレーや、裏を取っていくプレーをワールドカップでも出せると思います。」

世界と戦うことの大変さ つい本音も…?

これまでも海外の選手と戦ってきた長谷川選手。やはり海外の選手の身体能力の高さについては、辛い思いも抱えているようです。
仲間と焼き肉を食べながら、出てきた言葉は…

 

長谷川選手

「男子の場合は、相手の方が身体能力が高かったとしても、後ろから走って追い抜かれたりはしないのに、なんで女子は走るだけでこんなに差が出ちゃうんだろう?って根本的に疑問に思うくらい、『速い』って感じる。
自分たちにもそんな速さがあったら、こんな苦労はしないのにって思う…。」

ワールドカップ前の海外遠征

そんな海外選手と戦うワールドカップに向けて、なでしこジャパンは2度の海外遠征、5チームとの強化試合を実施しました。なかでも注目されたのが次の3試合です。

2019年2月 アメリカ相手に手ごたえと課題

2019年2月27日 アメリカとの強化試合

 

これまで1勝27敗7引き分けと、日本はアメリカに大きく負け越しています。この試合では、長谷川選手の意表を突くパスが得点のチャンスを生みました。

長谷川選手

「とっさのひらめきは得意というか、特徴でもあるので、相手の逆を取るプレーだったり、裏を取るプレーはワールドカップでも通用するのかなと思います。」

 

攻撃面で手応えを感じた長谷川選手でしたが、守備では課題を感じていました。
圧倒的なスピードの差を見せつけられ、個人技で一気にやられてしまう場面がありました。

長谷川選手

「プレーの幅が広がった中で、海外の選手だと一気に取られてしまうということも感じられたので、自分の中ではまだまだだった。」

2019年4月 フランスに突きつけられた厳しい現実

2019年4月4日 フランスとの国際親善試合

 

ワールドカップ開催国でもあり、世界ランキング4位のフランス。若い選手が多く、成長著しい、強さと速さがあるチームです。

先手を取る攻撃的なサッカーを貫きたいところでしたが…
開始早々フランスに押し込まれる展開。わずか3分で先制点を奪われてしまいました。攻めたい思いはあってもフランスの速い寄せにボールが回せません。

消極的なパス回しをする日本。一方のフランスはボールを持つと一気に攻めへ。それについていけずに失点…。

最終的にシュート数はフランス24本に対して、日本はわずか6本。なでしこが目指す攻撃的なサッカーは完全に封じられ、長谷川選手も司令塔としての役割を果たせなかったといいます。

 

長谷川選手

「チームとしても負けていましたけど、個人としても本当にまだまだで、何もできなかったという印象しかない。本当にいいところが一個もなかったなという気持ち。」

 

フランス戦での完敗後、高倉監督は選手が自分たちで試合を反省し、修正していけるかを試すため、多くを語ることはありませんでした。

「攻撃は、しっかり守ってボールを奪ってこそできる」

守備の重要性を選手みんなで確認しました。

2019年4月 修正力をみせたドイツ戦

2019年4月9日ドイツとの国際親善試合

 

そして迎えたドイツ戦。フランスよりもさらに世界ランキングが高い2位の強豪です。フランス戦と同様、立ち上がりからドイツの攻勢が続きます。

しかし、ゴール前に攻め込まれても全員で防ぐ!もちろん長谷川選手も全力で守備に走ります。

そして迎えた前半35分。ゴールキーパーのパスミスに素早く反応した長谷川選手。ワンタッチのループシュートでゴールを決めました。

後半はフィジカルで勝る相手に次々と攻め込まれ、失点。その後互いに1点ずつを取り合い、2-2の引き分けに終わりました。

泥臭く守り、自分たちのサッカーにつなげる。試合に勝つことはできなかったものの、フランス戦で突きつけられた課題を修正することができました。

長谷川選手

「前回のフランス戦より自分たちがボールを持てる時間はあったので、少しは回せたかなと思います。
世界でトップのレベルをワールドカップ直前で経験できたことは自分たちにとってすごいプラスなので、その経験を無駄にしないよう本大会に向けてしっかり準備したいと思います。」

高倉監督

「選手たちがよく話をして、細かいところを修正していったというところは非常に良かったと思います。それを持って本大会に向かえることができるのは大きなことだと思います。」

世界の頂点へ挑め!

いよいよ始まったワールドカップ。長谷川選手のスパイクには「輝」「恩」の2つの文字が刻まれています。

長谷川選手

「家族や指導者、今までお世話になった人に対して恩返しをするっていう部分はずっと持ってやってきているので、それを見せられたらいいなと思う。」


8年前のあの不屈の魂を受け継いで、長谷川選手は世界の頂点へ挑みます!

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