特集 髙安 大関経験者の意地を春場所千秋楽で見せられるか!?

優勝争いを引っ張ってきた小結・髙安が3敗となり、迎えた14日目。
関脇・照ノ富士に並ばれ、仕切り直しを狙う取組は翔猿との対戦だった。前回は足首を蹴られて体勢を崩す「蹴返し」で敗れ、何を仕掛けてくるか分からない。
そんなことが頭にあったのか。髙安はいつになく慎重な攻めであった。得意の左四つになったが動かない。
春場所14日目 翔猿に首ひねりで敗れた髙安(右)
最後は寄って出たものの土俵際で首をつかまれ、体をひねられ俵の外に落ちた。決まり手は珍しい「首ひねり」。痛すぎる黒星を喫した。
髙安の兄弟子、元横綱・稀勢の里の荒磯親方は、こう分析した。
荒磯親方(元横綱・稀勢の里)
がっぷり組んだときに勝機が2回ほどあった。なぜ出られなかったのか、自分にはわからないが・・・。嫌だなという気持ちが相手に伝わっている。相手が嫌なことを逆にやらないといけない。
これが初優勝へのプレッシャーなのだろうか。
荒磯親方はこうも話した。
荒磯親方(元横綱・稀勢の里)
2月の合同稽古で番数も多かったし、朝乃山を圧倒していた。3週間前から体が仕上がってきていた。よく考えてしっかり調整していた。
合同稽古にて 髙安が朝乃山に13勝1敗
引退後も稽古場で胸を出してきた荒磯親方は、髙安の状態や成長を肌で感じている。
そんな元横綱が太鼓判を押す調整ぶりに今場所の躍進は当然だったのだろう。
一時は星2つの差をつけながら終盤戦の4日間で3敗と急ブレーキ。
ただ優勝の可能性がゼロになったわけではない。
初土俵から95場所目、15年を超える土俵人生で悲願の初優勝へ最も近づいた場所の最後の取組で大関経験者の意地をぶつけてもらいたい。
この記事を書いた人

小野 慎吾 記者
平成28年NHK入局。岐阜局を経て、2019年8月からスポーツニュース部で格闘技(大相撲、ボクシングなど)を担当。前職はスポーツ紙記者。