特集 照ノ富士 大関を電車道で圧倒「あと2日間、気を引き締めて頑張るだけ」
相撲
2021年3月27日(土) 午前11:20

優勝争いの上位陣が敗れた春場所13日目。
豪快な相撲で結びの一番を締めたのが大関復帰を目指す関脇・照ノ富士だった。
前日に9勝目を挙げて直近3場所の勝ち星の合計で大関昇進の目安の33勝に到達した照ノ富士は、大関・正代と対戦した一番で、立ち合いから鋭く踏み込んだ。
さらに左の前みつをつかんで電車道で大関を圧倒した。
これで、この日に敗れた髙安と3敗で並んだ。
八角理事長(元横綱・北勝海)も「最高だ。今場所1番の相撲だった」と太鼓判を押した。
藤島審判長(元大関・武双山)は「強い。集中力がある」と絶賛。
大事な場所で白星を2桁に乗せた照ノ富士は淡々としていた。
「全力を出そうと思っていたのでよかった。(10勝で)とりあえずは場所前の目標を達成できた」
その照ノ富士が最近、口癖のように話すことばがある。
「出来ることをやっている」
「精いっぱい取り組む」
どれだけ豪快な相撲を取ろうが、どんな相手に勝とうがだ。
春場所は佳境を迎えた。
照ノ富士は14日目に朝乃山との取組が決まり、千秋楽は貴景勝との対戦が予想される。
大関陣との取組にも自分自身に目を向けているかぎり対戦相手や優勝争いのライバルにも振り回されることはないだろう。
「あと2日間、気を引き締めて頑張るだけ」
この男のことばに“慢心”という文字はない。
この記事を書いた人

小野 慎吾 記者
平成28年NHK入局。岐阜局を経て、2019年8月からスポーツニュース部で格闘技(大相撲、ボクシングなど)を担当。前職はスポーツ紙記者。