ストーリーサッカー

サッカー天皇杯、どうすれば出られるの?協会の人に聞いてみた

2019-07-01 午後 0:00

全国のおよそ5000チームが日本一を目指して毎年競い合うサッカーの天皇杯。プロ・アマ問わず参加できるのであれば、僕らも決勝の舞台である国立競技場のピッチに立つチャンスはつかめるハズ!?そんな壮大な夢と妄想を抱いて、どうすれば天皇杯に出られるのか、2019年度の大会を例に、日本サッカー協会に参加方法を聞いてみました。

 

どうすれば天皇杯に出場できるの?

第98回大会優勝の浦和レッズ。Jリーグ所属チームの天皇杯参加は92年度から。以来、優勝はJリーグ勢の独占が続く

 

 

――早速ですが、例えば僕たちが「SPORTS STORY編集部」として、渋谷を本拠地とするチームを作って天皇杯に出場しようとしたら、どのような手続きが必要になりますか?

 

「まずはチームの加盟登録手続きをして、日本サッカー協会(JFA)の加盟チームになっていただく必要があります。天皇杯の開催規程には『第1種加盟登録チームが日本サッカー界最高の覇者になる栄誉を競うとともに競技を通じ体力と人格の向上を期し、サッカーの普及発展に寄与することを目的とする』とあります。第1種というのは、19歳以上の年齢制限がないカテゴリーです。所管は各都道府県のサッカー協会になりますので、SPORTS STORY編集部さんなら東京都サッカー協会(TFA)に登録してもらうことになります」

 

プロ、社会人、学生――さまざまなチームがこの天皇杯を目指して戦う

 

――なるほど、19歳以上のメンバーを集めてTFAに登録するのですね。せっかちで申し訳ないのですが、登録したらすぐに天皇杯に出られますか?東京都の代表を決める今回のトーナメント(第24回東京都サッカートーナメント)には326チームが参加したそうですが、そこでガンガン勝ち上がって東京都代表になって……。

 

「そう単純なことではないんです。東京都代表を決める決定戦は、『社会人系の部』と『学生系の部』の両トーナメントを勝ち上がったそれぞれ2チーム、計4チームによる準決勝からの試合になるんです」

 

――そうなると僕らは社会人なので、早速『社会人系の部』にエントリーを……。

 

「それもまた、そう簡単にはいかないんです(笑)。今大会で『社会人系の部』の代表2枠のうち1枠は、日本フットボールリーグ(JFL)という国内アマチュア最高峰のリーグを戦う東京武蔵野シティFCにシード権が与えられていました。

 

――なるほど。では、もう1枠をつかむにはどうすればいいですか?

 

「東京都社会人サッカーチャンピオンシップ(通称・東京カップ)を勝ち抜く必要があります。東京カップは、東京都社会人サッカー連盟の都リーグ1-4部の上位や区市町協会・自治体の代表チームで争います。このカップ戦は昨年12月9日に始まり、今年3月17日に代表チームが決まりました。『学生系の部』も同様です。関東大学サッカー連盟と東京都大学サッカー連盟、東京都専門学校サッカー連盟の各代表が昨年12月に予備予選を、今年3月に2校を選ぶ予選を行いました」

 

――昨年末から始まっていたとは驚きです!では、東京カップに参加して勝ち抜き、『社会人系の部』の1枠を勝ち取ればいいのですね。

 

第46回天皇杯は早稲田大学が3度目の優勝。これ以降、天皇杯で学生チームの優勝はない

 

「その前に、東京カップへの出場権も得る必要があります。出場できるのは、東京都社会人サッカー連盟の各リーグ上位チームや代表決定大会での優勝チームです。例えば、東京都社会人サッカー連盟に加盟した場合、最初に都リーグ4部に所属することになりますが、そのブロックでのリーグ戦に優勝すれば東京カップに出場することができます。また、区市町サッカー協会の代表チームとして東京カップに出場できる場合もあります。例えば渋谷区サッカー協会の代表チームに出場権がある場合には、基本的には春から始まっている渋谷区のリーグ戦やカップ戦で優勝するなどの決まりがあるはずです。ですので、東京カップが始まるのは、リーグ戦の順位やカップ戦の優勝チームが決まった後の12月になります」

 

――つまり、僕たち「SPORTS STORY編集部」が天皇杯に出場するには、まず19歳以上のメンバーを集めて東京都社会人サッカー連盟に加盟して、都リーグの4部に所属する。その4部の各ブロックリーグ(2019年度は全7ブロック。1ブロックあたり11チーム。)で優勝し、東京カップへの出場権を得る。東京カップで優勝すると『社会人系の部』代表の1枠を獲得でき、社会人代表2チームと学生代表2チームでトーナメント戦を行う。その準決勝からの2試合を勝ち抜いて優勝すれば、晴れて東京都代表として天皇杯の本戦に出場できるというわけですね。思ったよりも長い道のりでした……。

 

東京都代表として天皇杯に出るまでの流れ(2019年度)

 

――他の都道府県でも同じような選び方なのですか?

 

「実は各都道府県協会がそれぞれの代表チームを選出することになっていて、決定方法はお任せしています。都道府県ごとに事情が違いますから。例えば、雪が降る期間の長い北海道では、10月から翌年の4月くらいまで屋外でサッカーの試合をするのは難しいので、その時期を避けるように長いスパンで大会運営をされていますね。他の都道府県でもいろいろと工夫されています」

 

今年度の天皇杯1回戦、法政大 – ブリオベッカ浦安 勝った法政大は2回戦でJ2/の東京ヴェルディと対戦

参加するのにお金はかかる?大会規定は一緒?

――参加料などはありますか?

 

「例えば、東京都代表を決める決勝トーナメントは、TFAにより1チーム3万円と定められていますが、お話ししたとおり、代表チーム選出方法や大会の運営については、各都道府県協会にお任せしています」

 

――さすがにルールなどは全国統一ですよね。

 

「ルールはそうですが、大会の形式には違いがあるかもしれません。例えばTFAでは、90分を終えて決着がついていない場合、天皇杯本大会なら前後半15分間ごと計30分間の延長戦を行うところを、計20分間で終えることにしています。試合会場の都合によって、各都道府県協会で調整することも多いですから……」

 

――なるほど、会場の確保も大変でしょうしね。

 

「そうですね。まずは優先的に会場を使わせてもらえるか、自治体の認可を受けている地元のスポーツ団体などと交渉しなければなりません。そうした準備を経て借りられたグラウンドですから、1日に複数の試合を行うなど、有効活用したいわけです。ただし終了時間もありますから、1試合最長で何分間になるか、チーム入れ替えにどのくらい時間がかかるか、など考えないといけないわけです」

 

――それほど苦労されているのに申し訳ないのですが、試合会場は芝生でしょうか?芝生でサッカーをすることに憧れがありまして。

 

「最近では人工芝のグラウンドも増えていて、今回の東京カップでは使用する7会場のうち6つが人工芝でした。そこを勝ち進んだ決勝トーナメントでは、やはり上質の人工芝を備える味の素フィールド西が丘で試合をすることができます。なでしこリーグやユース年代などの本大会決勝などが行なわれる競技場です。さらに勝ち抜けば、天皇杯本戦の素晴らしいピッチが待っています」

 

1968年度から決勝戦が行われていた国立競技場の憧れのピッチ。2013年度の横浜F・マリノスーサンフレッチェ広島の試合を最後に建て替えが決まった

 

――またしても気持ちと妄想ばかりが先走るのですが、もしも天皇杯に出られたら、旅費などを補助していただけるのでしょうか。全国各地で試合が行われて、勝ち進めばどこに行くか分からず、遠隔地ではさすがに当日に現地入りするのはきつそうです。

 

「全国大会である本大会に出場すると、遠征に関する旅費や宿泊費は、規定によりJFAが支払います。ただし上限がありますので、新幹線のグリーン車やグレードの高いホテルを希望される場合は、負担をお願いしなければなりません」

 

――もしも安易な理由で、天皇杯を棄権したらどうなってしまいますか?

 

「罰金が科されることはありません。ただし、翌年の天皇杯には出られない、というペナルティを受けることになります」

 

――またお金の話で恐縮なのですが、よくプロ選手の試合で耳にする「賞金」は、天皇杯でもあるのでしょうか?

 

「よく知られているところでは、優勝チームの1億5000万円、準優勝5000万円、3位の2000万円です。正しくは『チーム強化費』という名前で支払われます。加えて、本大会では試合に勝つごとに強化費が支払われます。1回戦なら50万円、2回戦なら100万円、3回戦なら200万円です。4回戦から準決勝までは300万円となっていますね」

 

優勝すると賞金のほかに数々のトロフィーが授与される

 

――アマチュアチームにとってはすごい金額ですね!とはいえ、やはりプロチームと本気の勝負ができるのは魅力ですし、たとえアマチュアでも日本一を目指すというのはロマンがあります。

 

「各都道府県協会や学生、社会人などそれぞれの連盟に加盟したチームにとって、年間を通したシーズンを戦うというのは、ある種の義務とも言えます。サッカーの試合というのは相手チームや審判がいないと成り立ちませんから。しかし、そうやって一緒につくり上げていくという楽しみもあると思います。

都道府県代表決定戦に出場するチャンスを争うという勝ち負けの楽しみもありますし、最近では将来的なJリーグ入りを目指して、アピールのチャンスだと意気込むクラブもあります。また、学生チームにおいては、年末の予備予選で頑張った最終学年の選手たちが、年をまたいだ3月末の予備予選や新年度の5月に行われる代表決定戦といった試合を、後輩たちに託していくことになります。

アマチュアやプロ、さらにその試合の場を用意する人々など、たくさんの人のたくさんの思いが詰まっているのが天皇杯なんです」

 

サッカー天皇杯への道のりは想像したよりも長く、そして、そこにはたくさんの選手や運営関係者達の思いが込められていました。だからこそ熱い戦いが繰り広げられるのですね!

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!