ストーリースキー

髙梨沙羅 “北京へ自身の可能性を感じて” 

2021-03-24 午後 08:00

来年の北京オリンピック前哨戦、ノルディックスキー世界選手権で個人種目2つのメダルを獲得した髙梨沙羅選手。

 

3年間かけて作り上げてきた“自分のジャンプの形”が完成しつつあり念願のオリンピック金メダルに向けてへ確かな手応えを感じている。

ゼロから作り直したジャンプ

2012年ドイツW杯 日本女子初の表彰台に立つ髙梨選手(左)

 

2012年1月、15歳の髙梨選手がドイツで行われたワールドカップで日本の女子選手として初めて表彰台に立ってから9年あまり。ワールドカップの最多勝利記録、総合優勝4回、さらに最多表彰台記録に並ぶという偉業を達成し続けている。

 

2018年 ピョンチャンオリンピックで銅メダルを獲得

 

誰もが認める実績と実力、“世界のエース”だがオリンピックでの金メダルは、手にしていない。銅メダルを獲得した3年前のピョンチャン大会のあと髙梨選手は記録をうち立ててきたジャンプをゼロから作り直す大きな決断をした。

 

髙梨 沙羅 選手

何かを変えないと勝てない。女子ジャンプのレベルが年々上がっていると思うので、自分の何かを変えないとそこにはついていけなくて。ゼロから作り直すというのは自分の中で大きな決断だった。その決断ができたからこそ今の自分がいる。

 

北京大会まで残された期間から逆算し、次の3つの点など抜本的な改善に取り組んだ。

 

 

① ゲートから踏み切りの先(カンテ)までの助走路での姿勢、②「テイクオフ」と呼ばれる踏み切りの瞬間、③空中での姿勢だ。特に力を入れたのが「テイクオフ」で、空中での姿勢に影響し踏み切りの際の角度につながる体の力の入れ具合だ。

 

W杯ジャンプ女子個人第8戦で2位に入った髙梨選手

 

ピョンチャン大会では上半身に余計な力が入って力が分散してしまい、角度にばらつきがあった。このため、踏み切りの瞬間に“足だけで体を持ち上げる感覚”を養うことを目指した。その感覚を身につけるため、練習では何度も何度も試行錯誤をして理想の角度を追い求めた結果、今は下半身の主導で飛べるようになり、理想の角度で飛べているという。

 

「踏み切りも安定して同じ角度で飛び出すことができている」

 

W杯第9戦を制し今季3勝目を挙げた髙梨選手

 

その言葉どおり、今シーズンはワールドカップでここまで3勝。2シーズン続けてわずか1勝にとどまっていたここ数年に比べ格段に結果が出てきたのだ。

世界選手権で確かな自信

世界選手権 個人ラージヒルで髙梨選手が銀メダル

 

髙梨選手が確かな自信をつかんだのは北京大会前哨戦の世界選手権、ジャンプ女子の最終種目、個人ラージヒルだった。トップと5.8ポイント差の4位で臨んだ2回目、直前に飛んだ選手よりゲートが1段下がったものの力強い踏み切りで飛距離を伸ばし134メートルをマーク。みずからの決断を信じて作り直したジャンプに大きな手応えを感じた瞬間だった。この大ジャンプが4大会ぶりの銀メダルを手繰り寄せた。

 

髙梨 沙羅 選手

試行錯誤して自分のジャンプを探してきて、やっと形になってきたというか目に見えて、そこが自分のジャンプだと実感しながら飛ぶことができて、もちろん銀メダルもうれしいんですけど、自分のジャンプが形になってきたということがうれしい。

あの原田さんも大きな期待

長野オリンピックラージヒル団体で金メダルを獲得した原田雅彦さんは、ジャンプ競技で新しいフォームを作る難しさを克服した髙梨選手に大きな期待を寄せる。

 

世界選手権 個人ノーマルヒルで3位に入った髙梨選手

 

「例えば、フォームで上半身を起こさない選手に起こせと言っても無理。髙梨選手は、そのバランスを一度崩して理想の方向に(上半身の)角度を持っていっているのですごく進化していっている」

見据えるのは・・・・

世界のトップに立ち続けて10年近く。ことしで25歳になる髙梨選手は来年に迫った北京大会での悲願の金メダルへ着実に歩みを進めている。

 

歴代最多となる通算108度目のW杯表彰台に立つ髙梨選手

髙梨 沙羅 選手

ここまで来るのにいろいろオリンピックやワールドカップがあってレベルの上がる中で自分が争える年があったりなかったり、いま振り返ると必死にくらいついてきた。この大会で自分の可能性も感じることができたし、自信にもなった。オリンピックの金メダルは一番の目標。たくさんの人に支えてもらって、今、この場所に立てていると思う。金メダルを取ってやっと恩返しができるのかな。

この記事を書いた人

画像alt入ります

沼田 悠里 記者

平成24年 NHK入局。金沢局、岡山局を経てスポーツニュース部。プロ野球・DeNAを2年間担当したあと、ウインタースポーツとソフトボールを取材。

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!