ストーリースキー

北京五輪へ! ジャンプ・ノルディック複合 前哨戦で見えたもの

2021-03-24 午後 07:50

来年の北京オリンピックまで、あと1年を切りました。

 

ノルディックスキーのジャンプや複合は、前回のピョンチャン大会でメダル2つ。オリンピックの前哨戦となった世界選手権では、北京大会へ期待が膨らむ結果が出た一方、課題も見えました。

エース髙梨が感じた自身の可能性

 

今月にかけてドイツで行われた世界選手権。ひときわ晴れやかな笑顔を見せたのがジャンプ女子のエース髙梨沙羅選手。

 

ピョンチャン大会で女子のレベル向上を目の当たりにし、このままではトップにとどまることができないと痛感。助走の姿勢など、さまざまな点でジャンプをゼロから見直してきました。

 

 

その取り組みが形となって現れたのが、世界選手権では初めて実施された女子個人のラージヒル。1回目で4位となり、トップを狙った2回目は134メートルの大ジャンプを見せました。金メダルにはわずかに届きませんでしたが、4大会ぶりの銀メダルを手にしました。

 

髙梨 沙羅 選手

自分の描いてきたものが、そのまま体現できた。試行錯誤して自分のジャンプを探してきて、やっと形になってきた。これだと実感しながら飛ぶことができた。そこが結果よりもうれしい。自分に可能性を感じる大会になった。

 

北京大会の前哨戦を、こう振り返った第一人者は、大きな手応えをつかんで大会を終えました。

“日の丸飛行隊”復活の鍵は

男子のジャンプ陣は23歳から25歳までの若手中心のメンバーで臨み、世界との差があった一方で成長も見られました。男子はかつて「日の丸飛行隊」と呼ばれ、オリンピックで数々の歴史を作ってきましたが、ピョンチャン大会では、3位と100ポイント以上の差をつけられて大敗しました。その差をどこまで詰めることが出来ているのかが、今大会の焦点でした。

 

 

最も大きな期待が寄せられていたのが、今シーズン、ワールドカップで2勝し、日本選手の最多勝利記録を更新したエースの小林陵侑選手です。

 

 

ところが個人ノーマルヒルでは12位に終わり、ラージヒルでは着地でバランスを崩して転倒し2回目に進むことができませんでした。

 

個人種目で惨敗した日本選手でしたが、最終種目の団体ではエースの小林選手だけでなく出場した4人全員が北京大会へ期待の出来るジャンプを見せました。若手で編成した日本は、25歳の佐藤幸椰選手が、1回目に最長不倒の141メートルの大ジャンプを見せ、ほかの選手も飛距離を伸ばしました。

 

前日に転倒した小林選手は、各国のエースがそろう最後の4人目を任され、1回目で3位との差を縮める大きなジャンプで珍しくこぶしを握って喜びを表現しました。

 

小林 陵侑 選手

前日にすごく悔しい思いをした。その影響もあって万全な状態ではなかったが、いいパフォーマンスができてうれしかった。

 

今大会、日本は合計ポイントでメダル獲得の1つの目安となる1000を超える 1017.5 で惜しくも4位。メダルには迫りましたが、チーム最年長の佐藤幸椰選手は冷静に現状を分析しています。

 

佐藤 幸椰 選手

いまの日本はメダル争いの候補に入っていない。(小林)陵侑選手に逆転してもらうのではなく、最後に飛ぶまで残りの3人が仕事をしないといけないとすごく感じた。陵侑選手以外の選手がワールドカップの個人順位を上げないと、メダル争いで劣っているという印象だ。

 

それでも長野大会の団体で金メダルを獲得した原田雅彦さんは、若手が少しずつ成長している点を評価した上で、北京大会へ期待を寄せています。

NHK解説者 原田 雅彦 さん

日本のジャンプ界のメンツも非常に変わった。子どものころからライバルだった人たちが顔を合わせて成長してきてそれがチーム力としていい。彼らが1つの結束をしたときに日本はものすごく強くなるし、期待ができる。

複合は長年の課題が浮き彫りに

 

複合競技ではエースの渡部暁斗選手が個人ラージヒルで銅メダルを獲得しました。これで3大会連続でのメダル獲得となったものの、長年の課題が浮き彫りになりました。その課題は「走力」で、銅メダルを獲得したこの種目でも、渡部選手は、得意のジャンプで2位につけ、後半のクロスカントリーをトップとは22秒差、3位とは15秒早くスタートしました。

 

リーベル選手と競り合う渡部選手(写真左)

 

3位でワールドカップ総合王者のヤールマグヌス・リーベル選手(ノルウェー)に折り返し地点までに追いつかれたあとは、ゴール直前まで渡部選手のすぐ後ろをリーベル選手が追う展開となりました。勝負は最後の上り坂でつきました。渡部選手はペースを上げたリーベル選手に抜かれ、さらに引き離されて、3位でフィニッシュ。

 

 

クロスカントリーは、相手との駆け引きも勝負の分かれ目となりますが、渡部選手は「皆さんが期待しているほど僕は走力はない。きょうのレースも見ている人からすると仕掛けたりした方がいいと思ったかもしれないが、いっぱいいっぱいで難しかった。単純に走りのベースを上げないと戦略面で僕にできることは何もない」と力の差があることを認めていました。

 

リーベル選手とラムパルター選手(左から)

 

この競技では、複合ノーマルヒルで2連覇を果たし、ワールドカップで圧倒的な強さを誇るこのリーベル選手に加えて、初出場ながら複合ラージヒルで優勝した19歳のヨハンネス・ラムパルター選手など渡部選手が「格上」だと話すライバル達に勝たなければ、金メダルをつかむことは出来ません。

 

残された期間でどこまで走力アップを図れるかが鍵となります。

この記事を書いた人

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沼田 悠里 記者

平成24年 NHK入局。金沢局、岡山局を経てスポーツニュース部。プロ野球・DeNAを2年間担当したあと、ウインタースポーツとソフトボールを取材。

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