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特集 炎鵬と宇良 “業師”の2人が初顔合わせを終えて語ったのは

相撲 2021年3月22日(月) 午前9:45

横綱土俵入りがない春場所の中日8日目。中入り前、十両の一番で沸いた館内の拍手は幕内の取組をしのぐほどだった。

 

身長1メートル68センチの炎鵬(東十両4枚目)と身長1メートル76センチの宇良(東十両7枚目)。

 

今場所の十両で最も注目を集めていると言っても過言ではない。力士の大型化が著しい角界で“業師”と呼ばれる両者が初めて顔を合わせた。

 

 

炎鵬は平成29年春場所で初土俵を踏んだ。その頃、すでに宇良は、幕内で多彩な技を見せ人気力士。対戦を待ちわびていたのだ。

 

「入門したときに幕内ですごい相撲を取っているのを見て、この世界に入ったので。自分は技が無いので前に出て思いきりやるだけ。楽しみでしかないですね」

 

 

 

一方の宇良。右ひざの大けがで2度に渡る手術を受けたあとも諦めずに懸命なリハビリを続け、序二段まで落とした番付をようやく十両まで戻してきた。この間、炎鵬は幕内上位まで躍進し相撲ファンの心をつかんだ。

 

ライバル心を問われ「周りがそう言っているだけで。自分は思ったことがない。むしろ僕は、炎鵬さんを本当にすごいと思って見ているので教わりたいことがたくさんありますね」と答えている。

 

2人の対戦については「勝っても負けても勉強になると思います」

 

 

十両の土俵でようやく実現したファン待望の2人の対戦。決着はわずか10秒あまりでついたが、両者の攻防が詰まった実に見応えのある一番だった。下から攻めたい2人は土俵中央で頭を下げながら押し合う。

 

 

先に土俵際まで追い込んだのは炎鵬だった。耐えた宇良が炎鵬の引きに乗じて土俵際まで押し込む。それでも炎鵬は胸を反って両足でこらえながら必死の突き落としを見せた。

 

 

行司軍配は押し倒した宇良に上がったが・・・。

 

 

物言いがついた。審判団が協議している最中の館内のざわめきは、「取り直し」を期待しているようだった。結果は軍配通り、宇良の勝ちとなった。

 

 

炎鵬は敗れはしたが充実感を漂わせた。「ちょっと足がガクガクだった。緊張しましたね。宇良関にしかない雰囲気、すごいものがあった。負けはしましたけど、楽しかったですね」

 

 

一方の宇良。「あれだけ小さい体で正面に立つと、違った意味で怖い雰囲気があった。自分もそういうオーラを出していけるようにしたい」

 

対戦を終え、互いをたたえた両者は中日を終えて6勝2敗の好成績で並んだ。ともに目指しているのは、当然、幕内への復帰。ファンを沸かせる“業師”どうしの対戦を近い将来、幕内での土俵で見てみたい。

この記事を書いた人

鎌田 崇央 記者

鎌田 崇央 記者

平成14年NHK入局

さいたま局を経て、スポーツ部に。プロ野球、水泳などを担当し、格闘技担当は通算5年目

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