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特集 フィギュアスケート"世界ランキング"に注目!

フィギュアスケート 2019年8月6日(火) 午後0:00

季節は夏。フィギュアスケートの本格的なシーズンインはまだ先ですが、スポーツストーリーでは夏にあえてフィギュアスケートに注目してみました。テーマは“世界ランキング”。今回は、その決め方について紹介します。

現在の世界ランキング

早速ですが最新の世界ランキングを見てみましょう。

男子

 

1位 ネイサン・チェン/アメリカ   4,290pt
2位 宇野 昌磨/日本         4,045pt
3位 ミハイル・コリヤダ/ロシア   3,670pt
4位 羽生 結弦/日本         3,461pt
5位 ジェイソン・ブラウン/アメリカ  2,913pt

女子

1位 アリーナ・ザギトワ/ロシア     4,510pt
2位 宮原 知子/日本           3,459pt
3位 エフゲニア・メドベージェワ/ロシア 3,384pt
4位 坂本 花織/日本           3,305pt
5位 紀平 梨花/日本           3,128pt

 

このランキングを見て、「あれ?」と思った人もいるのではないですか?

去年のピョンチャンオリンピックで連覇した羽生選手が1位にはなっておらず、去年のグランプリファイナルで優勝した紀平選手も5位。ランキングを見てみると不思議な感じがしますね…

 

そこで、最初に世界ランキングがどのように決められているのかを解説しましょう。

フィギュアスケート世界ランキングの決め方

フィギュアスケートの世界ランキングは、出場した大会とその結果によるポイント制で決められます。

さらに、直近の2018-2019シーズンのポイントだけで決めるのではなく、その前シーズンのポイントと、さらに一昨年シーズンのポイントの7割の通算で決まります。

 

そのうえ、大会の規模によって、同じ順位でも獲得できるポイントが違います。世界選手権やオリンピック、四大陸は最も獲得ポイントが高く、グランプリシリーズやその他の大会はそれらの大会よりも低くなります。

 

とはいえ、大会に参加しなければ、もちろんポイントが増えることがありません。

試合数を重ねることでポイント数は上がっていくということになります。

また、国際スケート連盟の認定の試合でない、全日本選手権などの国内大会の結果は一切影響を与えません。

最新の世界ランキングから見る上位選手たち

世界ランキングがどのように決まるかが分かったところで、世界ランキング上位の選手は、どの大会に出場し、どんな成績を収めたのかを見てみましょう。

<男子>

・1位 ネイサン・チェン/アメリカ

 

2018-2019シーズンを締めくくる世界選手権で、シーズン世界最高点で優勝し、2連覇を飾ったネイサン・チェン選手。

 

 

2018年2月のピョンチャンオリンピックのフリーでは、4回転ジャンプを5回も成功させるという驚異の構成でショートの17位から挽回して5位まで順位をあげました。

 

 

また、グランプリファイナルでも2連覇したネイサン・チェン選手は、主要な大会でしっかり結果を出しました。

 

・2位 宇野 昌磨/日本

 

日本を発つ2日前に足首をねんざした状態で挑んだ四大陸選手権では、得意の4回転ジャンプを減らす構成で臨みましたが、ショートでは伸び悩みます。しかし、フリーでは連続ジャンプや最高レベルのステップ・スピンで逆転し、初優勝を飾りました。

 

 

グランプリシリーズでは確実な演技で優勝し、グランプリファイナルに進みましたが、フリーで得点伸ばせず2位となり、初優勝は飾れませんでした。

 

 

これまであまり順位や勝ちに言及してこなかった宇野選手ですが、世界選手権の前は「1位にこだわりたい」という明確な目標を掲げるなど新しい一面を見せています。

 

 

新シーズンではさらに成長した宇野選手と、ライバルたちの戦いが楽しめそうです。

 

 

・3位 ミハイル・コリヤダ/ロシア

 

ピョンチャンオリンピックでは団体で銀メダルを獲得したミハイル選手。

 

2018-2019シーズンは世界選手権6位、ヨーロッパ選手権では5位と表彰台に上がることはできませんでしたが、それまでの成績によって世界ランキングは3位となりました。

 

ミハイル選手が、元の調子を取り戻して新シーズンを迎えられるかに注目です。

・4位 羽生 結弦/日本

 

ピョンチャンオリンピックで66年ぶりの連覇を達成した羽生結弦選手。ケガからの王者の復活に、日本のみならず世界中が称賛を送りました。

 

2018-2019シーズンでは、ルール改正に伴う調整の中、グランプリシリーズのフィンランド大会でシーズン世界最高得点を塗り替えて優勝。

しかし、グランプリシリーズ第2戦の練習で、転倒によりじん帯を損傷してしまい、グランプリファイナルを欠場してしまいます。

 

欠場が相次ぎ、世界ランキングにつながるポイントが稼げなかった羽生選手。ケガに苦しめられるシーズンとなりましたが、復帰戦となる2019年3月の世界選手権ではこだわりの4回転ループを成功させて2位。来シーズンはジャンプを向上させたいと意欲を見せています。

・5位 ジェイソン・ブラウン/アメリカ

 

親日家として知られ、SNSではよく日本選手との写真や日本語の投稿をしているジェイソン・ブラウン選手。

 

2018年1月の四大陸選手権で銅メダルを獲得後、コーチを変えて挑んだ2018-2019シーズン。世界選手権のショートプログラムで自己ベストを更新し2位発進したものの、フリーで大きく順位を落とし、9位に終わっています。

<女子>

・1位 アリーナ・ザギトワ/ロシア

 

ピョンチャンオリンピックの金メダリスト、ザギトワ選手。

秋田犬のマサルを飼っていることでも、たびたびメディアを賑わせていますよね。

 

2018-2019のグランプリファイナルでは日本の紀平梨花選手に敗れて2位だったものの、3月の世界選手権では見事、初優勝を飾りました。

 

まだ、17歳のザギトワ選手のこれからに目が離せません!

・2位 宮原 知子/日本

 

2017年に左股関節を疲労骨折し、翌年に控えたピョンチャンオリンピックへの出場が危ぶまれていた宮原選手。

それでも焦らず地道に復帰に備え、見事オリンピックでは4位。

 

2018-2019シーズンのグランプリファイナル、世界選手権ではともに6位と表彰台争いに加わることができませんでしたが、新シーズンでの活躍が期待されます。

・3位 エフゲニア・メドベージェワ/ロシア

 

ピョンチャンオリンピックでは同じロシアの新星・ザギトワ選手にわずか1.31点差で金メダルを譲る結果となってしまったメドベージェワ選手。

 

2018-2019シーズンは「新しい可能性をさぐるため」と、羽生結弦選手と同じコーチに変更して挑みました。グランプリファイナルの出場は逃しましたが、世界選手権では3位に入りました。

・4位 坂本 花織/日本

 

国内大会なので、世界ランキングには影響がないものの、全日本選手権で初優勝を飾った2018-2019シーズン。

日本選手のハイレベルの争いのなか、ジュニア時代から定評のある高さと幅のあるジャンプと、磨きをかけてきた表現力が実を結びました。

 

オリンピック初出場・四大陸選手権での初優勝と勢いに乗っていた坂本選手は、グランプリファイナル出場を決めるなど、確実な成長が見えます。

 

新シーズンではさらに成長した姿で世界と戦っていく姿が期待できそうです。

・5位 紀平 梨花/日本

 

2018-2019シーズンはシニア1年目として挑んだ紀平選手。

世界選手権まで国際大会6連勝するなど、素晴らしい活躍を見せてくれました。

 

初めてのグランプリシリーズとなったNHK杯では冒頭のトリプルアクセルで転倒し、出遅れたものの翌日のフリーではトリプルアクセルを2本成功させて逆転優勝!

 

修正能力の高さが、強さの原動力となっています。

 

今後はさらに世界ランキングが上がっていくことが期待されます。

 

フィギュアスケートの新シーズンまであと少し。新シーズンはそれぞれの選手がどんな演技を見せてくれるのか今から楽しみですね。

 

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