ストーリー相撲

平幕の若隆景 春場所で大関から初白星! 「素直にうれしい。もう体調は万全です」

2021-03-17 午後 01:10

大関に押されても、突かれても、いなされても、がむしゃらに前に出続けた。

 

 

春場所3日目の結びの土俵で勝ち名乗りを受けたのは前頭2枚目・若隆景、不戦勝を除くと大関戦初白星という特別な1勝だった。

 

 

「本場所の土俵に上がれるありがたさを感じる」

 

取組直後にそう語った若隆景。2か月前の初場所は病院のベッドの上で取組を見ていた。去年12月に40度近い高熱に襲われ、味覚や嗅覚の障害が2週間以上続いた。新型コロナウイルスに感染したのだ。怖いという思いと土俵に自分がいない違和感が交錯した日々だった。

 

 

若隆景は福島県出身の大学卒業後の平成29年春場所で初土俵を踏み順調に番付を上げ、おととし九州場所で新入幕を果たした。

 

 

十両・若元春、幕下・若隆元の2人の兄とともに荒汐部屋に所属し相撲ファンのあいだでは3兄弟力士として知られる。26歳の若隆景が出世頭だ。

 

去年は躍進の1年だった。返り入幕から2場所連続でふた桁勝利をあげ自信をつかんだ、その矢先、まさかの新型コロナ感染だった。その時の心境を「もどかしかった」と率直に振り返る。

 

2月23日 合同稽古で相撲を取る若隆景(代表撮影)

 

2月にようやく稽古を再開したが、信じられないくらい早く息切れを覚えた。

 

「やっぱりちょっとおかしい。入院した人はほかにもいたが、そこまでひどい人はいなかった」

 

部屋に戻った若隆景は自分の体力を元に戻すことからスタートした。部屋のみんな、支援者の方々。そして地元福島の人たち、周りに支えられ1歩1歩階段を上った。ようやく間に合った春場所、上位との対戦で活躍するところを応援してくれた人たちに見せたいと強い思いで土俵に上がった。

 

 

迎えた3日目。相手は貴景勝、今場所初めての大関戦だった。強烈な突き押しで押し込まれたが、足を動かして自分からは下がらない。がむしゃらに前に出て、相手がひるんだ一瞬を見逃さず一気に寄り切った。この日一番大きな拍手が別室で作業する報道関係者の部屋にも聞こえた。

若隆景

素直にうれしかった。もう体調は万全です。一番一番集中して思い切りやって、いい流れに持っていきたい。

 

明るい表情でこう語った若隆景。相撲ができない悔しさやもどかしさを乗り越えて大関からの初白星を手にした26歳が横綱不在の土俵を盛り上げることができるか。この力士に注目してほしい。

この記事を書いた人

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坂梨 宏和 記者

平成21年NHK入局 福岡県出身

長崎局、広島局などを経てスポーツニュース部で大相撲を担当。早くコロナが収束し、通常の取材環境になることを願っています。

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