特集 羽生結弦「飽くなき向上心と 勝利への意欲」

フィギュアスケートの羽生結弦選手は、カナダで行われた今シーズン初戦で優勝したあと、これからの目標や今後の競技生活への思いを語りました。
オリンピックを2連覇してもなお胸に向上心を抱く羽生選手が語った言葉とは。
オリンピック2連覇後は「勝利への欲がなかった」
羽生結弦選手
あのとき負けた悔しさが根底にあり、今シーズンは特に頑張りたい。
羽生選手は、シーズン初戦のあと、報道陣にこう話しました。ピョンチャンオリンピック直後の昨シーズン、“夢”と公言し、世界で誰も成し遂げていない4回転アクセルに本格的に取り組みはじめるとともに、新しいプログラムとして自身が幼い頃に憧れたロシアの金メダリストエフゲニー・プルシェンコさんらが使用していた楽曲を用い、集大成への思いをにじませる構成とその達成への意欲を感じさせました。
しかし実際は、2連覇を達成したオリンピックの後は、「勝利への欲がなかった」と振り返ります。
ピョンチャンオリンピック
羽生結弦選手
ピョンチャンをとって辞めてプロになってしっかり稼いで、ということを小さい頃は思い描いていた。
ピョンチャンが終わって4回転アクセルをやるかという、なあなあな気持ちで始めてしまった。
これまで自らが持っていた競技生活への考えや昨シーズンの心境を明かしました。
世界選手権で敗れたことが原動力に
しかし、ことし3月の世界選手権でアメリカのネイサン・チェン選手に20点以上の差をつけられて敗れました。
世界選手権 (今年3月)
その悔しさが、いまの羽生選手の大きな原動力だと言います。「実力の差を見せられて、すごく勝ちたい」と強い勝利への思いを述べた上で、冒頭の言葉を口にしました。
その今シーズン、「まだ完璧な形ができていない」という憧れの選手の曲を用いたプログラムに難しいジャンプを構成に入れて完成させることと、4回転アクセルを成功させることを、最大の目標としてあらためて掲げました。
「3年、4年かかったとしてもこのプログラムを成し遂げたい。すごく胸を張って終われる演技をしたいというのが、一番のモチベーション」という羽生選手。
2022年の北京オリンピックについて笑顔を見せながら話しました。
羽生結弦選手
競技生活の延長線上にあるくらいで、猛烈に出たいという気持ちではない。
そのままやっていたら出るし、無様な姿は絶対に見せたくない。常に強い自分でありつつ、その先にそれがあったらうれしいかな。
オリンピックを2回も制しながら、飽くなき向上心と勝利への意欲を持つ羽生選手の今シーズンは始まったばかりです。

田谷 亮平
スポーツニュース部 記者 体操、フィギュアスケートなど担当。
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