ストーリー相撲

力士の「しこ名」っていったい何なの?

2021-03-12 午後 06:00

大相撲の力士たちは必ず「しこ名」をつけて土俵に上がって勝敗を競います。平たく言うと、格闘技での「リングネーム」に似た「しこ名」の由来や珍しい名前を紹介しましょう。

力士の「しこ名」ってどんなもの?

「しこ名」は日本相撲協会に所属する力士の名前のことです。もともとは「醜名(しこな)」と書いたそうですが、「醜」は「みにくい」という意味ではなくて「たくましい」という意味で、いつからか「四股」の漢字が当てられるようになったのです。

 

初場所で新序出世披露に臨む(左から)村山、永田、富士泉

 

新弟子検査を受けて「前相撲」という力士の見習いとして相撲を取るときには本名ですが、新序出世披露と言って土俵の上でお客さんに紹介されるときに、しこ名がつくことが多いようです。師匠や部屋の後援会の関係者が、しこ名を考えている場合が多いです。

いつごろから使われ始めたのか?

江戸時代から使われたと言われています。お客に相撲を見せて神社やお寺の建設費を集める勧進相撲(かんじんずもう)のころは本名で取っていたそうです。出身地の「山」や「川」の名前をつけた、しこ名が多かったときもありました。しかし時代を反映して、川が排水などで汚染されるようになると、しこ名から「川」がだんだん姿を消していきました。

昔から受け継がれているのは?

 

化粧まわし姿の4代目朝潮太郎

 

相撲部屋によっては代々ゆかりのある、しこ名があります。名門と言われる高砂部屋では「朝潮太郎」や「小錦八十吉」のしこ名が受け継がれています。先代の高砂親方は元大関で4代目朝潮太郎でした。

 

「琴」のしこ名が並ぶ番付

 

部屋でしこ名に共通の文字を使うところもあります。佐渡ケ嶽部屋の力士は全員しこ名の最初に「琴」をつけています。先代師匠の元横綱 琴櫻の「琴」を受け継いでいるのです。

 

現役時代に土俵入りを披露する千代の富士(1985年1月)

 

また九重部屋の力士は、ほとんどが「千代」から始まっています。先代師匠の元横綱 千代の富士の「千代」から名付けられたのです。

珍しい「しこ名」はあるのか?

寒玉子為治郎(大相撲力士名鑑・共同通信社刊から)

 

明治時代からいろいろと珍名力士はいました。「寒玉子為治郎(かんたまごためじろう)」というお相撲さんらしからぬ、しこ名の幕内力士もいました。師匠が「寒の玉子のように、ジッと辛抱すれば必ず出世する」と言って命名したのです。

 

このほか明治時代の幕下には「電気燈光之介(でんきとうこうのすけ)」と文明開化を思わせるしこ名の力士もいました。しかし、珍しい名前で覚えてもらうのではなく、いい相撲を取って覚えてもらいたいですね。

この記事を書いた人

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北出 幸一

相撲雑誌「NHK G-Media大相撲中継」編集長。元NHK記者。昭和の時代に横綱千代の富士、北勝海、大乃国らを取材し、NHKを定年退職後に相撲雑誌編集長となる。

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