ストーリーサッカー

上田綺世 J1鹿島アントラーズで優勝に貢献 そして、東京オリンピック日本代表へ

2021-03-05 午後 04:00

2月26日に開幕したサッカーJ1。リーグを代表する強豪、鹿島アントラーズで開幕戦にフォワードとして先発したのが上田綺世選手です。

 

東京オリンピック世代の日本代表候補としても注目される22歳は、昨シーズン、苦難を乗り越えて主力として定着しました。

速さも兼ね備えた大型フォワード

上田選手は、おととし、大学在学中にサッカー部を退部し、アントラーズへの入団を決めました。

 

 

持ち味は相手の守備の裏を突く動き出しと1メートル82センチの高さと体のバネを生かしたヘディング。昨シーズンは10得点と2桁得点をマークしました。その“得点力”は日本代表の森保一監督からも注目されています。

 

長く苦しんだシーズン

それでも、上田選手の昨シーズンの自己評価は厳しいものでした。

 

「個人としては、いい終わり方ができたかなとは思いますけど、それまでが長く感じました。シーズンを通してチームに貢献できたかというとそうでもないと思います」

 

その理由は、なかなか先発出場ができなかったこと。昨シーズンは、序盤から途中出場が続きました。

 

 

2月の開幕からシーズンの3分の2ほどを消化した10月までに先発出場を果たしたのは、わずか3試合。チームに貢献するためには、まず先発メンバーの座を勝ち取ることが不可欠だと考えました。

「結局スタメンで使われるということは、自分という個性を買われて、それが必要だと認められてようやく先発で使いたいと思ってもらえるもの。まずはザーゴ監督にそう思ってもらわないといけない」

”うれしい誤算”を求めて

先発で起用してもらうためにザーゴ監督にどうアピールするのか。上田選手は考え抜いたと言います。

 

「もっと出場時間を得るために自分という存在を変えないといけない。ザーゴ監督は、たぶん僕の特長を知ってくれていると思います。でも特長を出すことが本当にスタメンを取る、活躍することに対して先決なのか、ということをもう1回考えました」

 

そして、意外なプレーを重ねて先発入りを訴え続けました。

 

「毎試合15分ずつ出られていたくらいだと思うんですが、次の試合から先発で使おうというインパクトを、その15分で与えないといけない。しかもザーゴ監督が僕の特長を知った上での出場なので、仮に僕が特長を生かしたとしても、そんなにインパクトを与えられないと思ったんです。だからザーゴ監督にとっては、嬉しい誤算になるようなイメージで、守備やポストプレーとか、もっとボールに絡んで、自分がその試合に残す爪痕を多くした。大きな爪痕を残すというよりは、いろいろな爪痕を残すというスタイルをちょっと試してみたんです」

飛躍の今シーズン さらなる持ち味の強化を

得意なことばかりに注力するのではなく、幅広いプレーを意識するようになったという上田選手。11月3日の横浜F・マリノス戦で3試合ぶりに先発出場を果たすと以降は最終節まで、すべて先発出場。チームの主力に定着しました。

 

 

プレーの幅を広げてきた上田選手。「大事な年」だと位置づける今シーズンに向けてキャンプで取り組んできたのは得意としている裏への動き出しとヘディングの強化でした。その持ち味については興味深い分析をしています。

 

「僕の武器は動き出しとヘディングなので他力の武器なんです。だから味方とコミュニケーションをとりながら、自分の動き出しをいかに選んでもらえるか、自分がどれだけパサーの目にうつるかというのがすごく重要。感覚的ですけど、僕の動き出しは結構わがままだと思っています。味方には無茶をさせるような判断をする動き出しをしているんです。だからボールが来たからには絶対にシュートまで持っていきたい」

 

そして、”他力”という自分の武器を磨くためにはパスの出し手となる選手との話し合いが何よりも欠かせないことを明かしてくれました。

「僕がどんなに動き出そうがパスが出て来なかったら僕は生きないんです。だから新しい動きをするならパサーにも伝えないといけないし、決めごとも決めなきゃいけない。それにパサーが違えば出してくる場所も出しやすいパスも変わってくる。だから細かく話し合っていかないと自分の武器も伸ばせない。そこをことし1年かけて作り上げていきたいと思います」

数字でなく勝利を

2月26日から始まった今シーズン。去年に続いて2桁得点をマークしたいかと聞いてみると・・・。

 

「結局、何点とろうが勝てなきゃ意味がないし、別に1点で勝てるなら1点でもいい。僕が10点取ったのが数字に出るから、すごいと見えるだけであって、ほかのポジションの選手とやっていることは一緒なんです。だから僕は数字にもこだわらないですし、チームが勝てればそれでいいと思います。あくまでチームの目標に自分が加わっているというか、1つの仕事をするポジションをもらっているだけという感覚でやっています」

 

チームの勝利を第一に考え、貢献したいと話す上田選手。地元、茨城県出身として幼いころから憧れてきたアントラーズはことしで創設30周年を迎えます。この節目の年に優勝に貢献する。

 

それが東京オリンピックにつながると考えています。

 

「あくまで選ぶ側の人たちに魅力的にうつるか、チームを勝たせられる存在か、日本代表だと思われないと意味がない。五輪に対して、どんなに熱いことを言おうが、自分のチームでの活躍がすべてなので。鹿島で燃え尽きて、それでようやく日本代表にも呼ばれると思います。まずは鹿島のこの大事な年をしっかり戦っていきたいです」

この記事を書いた人

画像alt入ります

鈴木 笑 記者

平成23年NHK入局。函館局 札幌局 報道局遊軍プロジェクトを経て、スポーツニュース部サッカー担当。

関連キーワード

関連トピックス

最新トピックス

RANKING人気のトピックス

アクセス数の多いコンテンツをランキング形式でお届け!