ストーリースキー

スキージャンプ・小林陵侑「新シーズンは大人の姿を」

2019-10-28 午後 0:00

小林陵侑選手は昨シーズン、ワールドカップで13勝を挙げ、日本の男子選手として初めて総合優勝。ジャンプの本場、ヨーロッパのファンからも認められる圧倒的な強さを見せました。まもなく本格化する新たなシーズンでは、世界王者として、大人として、さらに成長した姿を見せたいと意気込んでいます。

 

世界王者の貫禄

小林陵侑選手

また冬がやってくるのが楽しみですね。昨シーズンに入るときは、ワールドカップのポイントがゼロだった自分が1勝、2勝としてグランドスラムも達成して世界チャンピオンになった。大人の階段を上ったと思う。

 

小林選手は単独インタビューでゆっくり語り、新たなシーズンを前に自信を示しました。緊張しやすい性格から昨シーズンは多くを語ることがありませんでしたが、新たなシーズンを前に落ち着いて答える姿は『王者の貫禄』を感じさせました。

 

夏も好調を維持

名寄のサマージャンプ大会(7月28日)

 

助走や踏みきり、飛行姿勢などを確認する夏のシーズン。小林選手は、名寄市で行われた国内初戦で優勝。その後、世界各国で行われた国際大会「サマーグランプリ」でも、好成績を残し、総合ランキング4位。去年の7位を上回りました。

小林選手は「夏は出場する大会を制限して4試合にとどめ、追い込みすぎないように意識して臨んだ。その中で去年より好成績を残せた。自分のジャンプに対して、良いイメージとフィーリングを持つことができたので、冬のシーズンも調子よく飛べると思う」と手応えを語りました。

 

所属チームの監督、葛西紀明選手も期待しています。

 

葛西紀明選手

世界のレベルもどんどん上がっているなかで新シーズンでは、少しのミスも許されない厳しい戦いになると思うが、状況判断や頭の切り替えも少しずつできるようになってきている。

メンタル面の成長がジャンプに生きている。また、すごい小林陵侑が見られると思う。

自分も実感!精神面の成長

小林選手は、みずからの成長をどのように感じているのか聞くとこんな答えが返ってきました。

 

小林陵侑選手

去年の今の時期より、"5レベ"上がったくらいだと思います。

 

天才肌の小林選手。インタビューでは、いつも抽象的でおもしろい回答が返ってきます。質問を掘り下げて“5レベ”について聞くと技術面の成長が「1」、精神面の成長が「4」と話してくれました。小林選手が「精神面の成長に欠かせなかった」と語ったのがことし3月の世界選手権。ワールドカップの総合優勝争いで首位を独走し、優勝候補として臨んだ大会でした。

 

ジャンプ男子ノーマルヒル(3月2日)

 

ノーマルヒル、1回目は1位。しかし、2回目は通常なら競技が中断してもおかしくない風と雪のコンディションで行われ、大幅に飛距離を落として14位。この大会は、1回目のジャンプで上位につけた選手が、2回目では風と雪に加えて、スタートのゲートが下げられた、短い助走で飛んだため、ほとんどが下位に沈みました。海外のメディアやそれぞれの代表チームからは「上位つぶしではないか」と大会運営に対する批判が相次ぎました。

小林選手も2回のジャンプのあとに予定されていた報道陣のインタビューを受けずに控え室に戻り、不満をあらわにしていました。それでも、「どんな環境でも自分のジャンプをするしかない。難しい環境もすべてが経験、蓄積になる」とすぐに気持ちを切り替えたという小林選手。

 

W杯ジャンプ男子で日本選手初の総合優勝を達成(3月24日)

 

このあとは不満や悔しさを引きずることなく、ワールドカップでは表彰台に上がり続け、総合優勝を果たしました。こうした経験から「前を向いて戦い続ける大切さ」を学んだという小林選手。

小林陵侑選手

シーズンは長いので、ピンポイントではなく、腐らずに自分のジャンプをできればいいかなと思う。

まだ、パッと出のガキなので、厳しいことも経験することで、成長につなげようと思えるようになった。

W杯総合優勝へ体にも磨き

2シーズン連続のワールドカップ総合優勝へ。ことし5月からは、新たなコーチを迎え、緻密なデータ管理に基づく、下半身強化に取り組み技術面の向上にも余念がありません。

小林陵侑選手

新コーチは『世界の多くの選手が陵侑を倒すためだけにトレーニングしている。お前も同じように上がっていかなきゃ潰されるぞ』という感じで、プレッシャーをかけてくれる。

おかげで以前より負荷の上がったトレーニングにも前向きに取り組めています。

今季のテーマは、楽しむ

成長著しい22歳の若き世界チャンピオンが新たなシーズンを前に掲げたテーマは「楽しむ」。

 

小林陵侑選手

良いときも悪いときも大好きなジャンプを楽しみたい。たくさん色んな選手からのプレッシャー、色んな人からの応援、すごく楽しみというか、楽しむことができたらいいなと思う。 

 

昨シーズンの経験を踏まえて笑顔で語る姿からは“大人の余裕”を感じました。新たなシーズンではどんなジャンプを見せてくれるのか。そして、どんな言葉でみずからの成長を語ってくれるのか。今から楽しみでなりません。

細井 拓

平成24年入局 北見、釧路放送局を経て、平成29年から札幌局。プロ野球からサッカー、ウィンタースポーツまで幅広くスポーツ取材を担当。趣味は体を鍛えること。座った姿勢から倒立できます。

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