特集 体型が「あんこ型」?「ちゃんこ」は鍋だけじゃない?おもしろ相撲用語

相撲と聞いてみなさんは何を思い浮かべますか?スポーツという側面だけではなく、伝統的かつ独特な文化も相撲の大きな魅力ですよね!そこで今回は、力士たちが使う相撲界独特の言葉「相撲用語」を紹介します。あなたは、「ちゃんこ」の本当の意味まで答えられますか?
「あんこ」
あんこ型の力士とは、お腹が丸く太った力士のことを指します。お腹がぷくぷくしているアンコウに由来して、この言葉が生まれたのだとか。55代横綱の北の湖や高安などは、あんこ型力士の代表格とも言えるでしょう。
高安(左)や千代丸(右)は代表的なあんこ型の力士
「そっぷ」
そっぷ型力士というと、細身の力士のことを指します。「そっぷ」とはスープのことであり、スープの出汁を取るために使われる鶏ガラのように痩せているのが語源。しかし、千代の富士や琴欧洲などそっぷ型力士は、筋肉質な力士が多く器用な技で見応えのある取組を見せてくれるのです!
58代横綱・千代の富士(左)やブルガリア出身の琴欧洲(右)は、そっぷ型力士の代表格と言える
かつてはこんな細身のそっぷ型力士も。チェコ出身の隆の山(2014年に引退)
「えびすこ」
「えびすこ」とは、大食いの力士を指します。恵比寿講(えびす様のお祭り)の集まりでお腹いっぱいご馳走を食べる習慣があったことや、丸いお腹がえびす様のようであることが語源。確かに力をつけるためにたくさん食べるのも稽古のうちと言いますが、少食の力士たちもいるそうです。
「なかぞり」
あまり知られていませんが、毛の量が多い力士はまげを結いやすくするために、頭髪の中心部を剃る「中剃り(なかぞり)」をしていることが多いです。しかし、頭のてっぺんに丸い穴が空いている様子はなかなかショッキングという声も…。
「ちゃんこ」
力士が食べているものといえば、ちゃんこ鍋をイメージしますよね。確かに、ちゃんこ鍋は栄養たっぷりで部屋ごとにオリジナルの鍋もあります。しかし、「ちゃんこ」というのは力士の食事全般を指す言葉なのです。なので、アイスやカレーでも力士が食べていれば全て「ちゃんこ」と呼んでOK!
語源は「ちゃん」は父ちゃん母ちゃんの「ちゃん」、「こ」は子どもを指していて、部屋の親方と弟子が一緒に食べる料理だという説もあります。
「馬力」
馬力とは、お酒のこと。お酒を飲むことを、「馬力をかける」と言います。大相撲の優勝した力士が、大杯(おおさかずき)でお酒を飲んでいるのを見たことがあるでしょうか?あれは、神酒を大杯で回し飲む日本の文化から来たもの。酒と相撲は切っても切れない縁で結ばれているのかもしれませんね!
「金星」
「金星」という言葉を相撲の解説などで聞いたことがある人も多いでは?一般的には、平幕力士が横綱に勝つことを指します。しかし、実は美人という意味もあるのです!ちなみに金星に対して、大関に勝つことを銀星と言うこともあります。
「胸を出す」
同じように2つの意味を持つのが「胸を出す」という言葉。一般的にぶつかり稽古の相手をすることを意味しますが、力士たちはご馳走するという意味でも使っています。ちなみに、稽古を受けてくれた先輩力士に本場所で勝つことを「恩を返した」というそうです。お世話になるという意味で練習でもプライベートでも同じ言葉が使われているのは、部屋の文化を持つ相撲界らしい言葉ですよね。
「やまいく」
「やまいった」というのは、病気や怪我をしたときに使う言葉。病(やまい)から転じた言い方なんだとか。イラストにある「山稽古」とは土俵以外の平地で稽古することを表します。力士に怪我はつきものなので、このように特殊な言い方が生まれたのかもしれませんね。
「はっきよい 残った」
取組前とその途中に行司が連呼しているこの言葉。語源はいくつかあるのですが、「発気揚々(はっきようよう)」からきていて、気分を高めて全力で勝負しようという意味があるそうです。「残った」は、両力士とも土俵に残っていて勝負がまだついていない状態を意味しています。取組中の行司の掛け声にも注目です!