ストーリーラグビー

史上初ベスト8進出!ラグビー日本代表 勝利の裏側

2019-10-18 午後 0:00

 

ワールドカップ史上初めての決勝トーナメント進出を果たし、日本中に感動を与えたラグビー日本代表。全勝で突破した1次リーグの全4試合を総復習!500日の密着から見えてきた舞台裏に迫ります。

想像を超える重圧と緊張の初戦・ロシア戦

 

ワールドカップの開幕とともに大観衆の中で迎えたロシア戦。想像を超える重圧のもと、緊張で眠れなかった選手もいました。では、初戦の勝利の裏ではどのようなことが起きていたのでしょうか。

悪い流れも選手たちでコントロール

大きな期待を背負って試合に挑んだ日本でしたが、試合開始直後から普通ではありえないミスを連発し、トライを許してしまいます。すると、選手たちは自ら円陣を組み、深呼吸を始めたのです。そうして、日本は自分たちのプレーを取り戻していきました。

リスクも恐れないオフロードパス

また、この試合で日本は新たなプレーを見せてくれました。それが、タックルを受けながらも片手でボールをつなぐ「オフロードパス」と呼ばれるプレーです。

大きなチャンスを生み出す一方で、ボールが相手に奪われて反撃を受けるリスクが高い「オフロードパス」。選手の高度なスキルと意思疎通が必要なため、エディー・ジョーンズ前ヘッドコーチの時代には禁止されていたものでした。しかし、選手ひとりひとりがグラウンド上で判断し、変幻自在に攻撃を組み立てるプレースタイルを求めるジェイミー・ジョセフヘッドコーチになってからは、日本もたくさん練習を重ねてきたプレーです。

この試合を長谷川慎スクラムコーチはこう振り返ります。

 

長谷川慎 スクラムコーチ

「自分らのディテールをちゃんとできるという自信が出ているから、ああいう試合になっているんだと思います。自分らがやらなきゃいけないことをやったらうまくいくし、そうじゃないことをやったらうまくいかない」

世界ランキング1位を倒した・アイルランド戦

 

ワールドカップ2戦目となったアイルランドとの試合。アイルランドは、このワールドカップ開幕時に世界ランキング1位だったチームです。

 

 

鉄壁のディフェンスと強靭なスクラムが特徴のチームで、日本は今まで9回戦って、一度も勝ったことがありませんでした。では、今回なぜ倒すことができたのでしょうか?

世界トップクラスを崩した“最強”のスクラム

試合開始から早々に圧巻の攻撃を仕掛けてきたアイルランド。劣勢に立たされる日本は、キックパスからトライを奪われます。しかし前半18分、この試合はじめてのスクラムで、ひとつの転機が訪れます。

 

日本はスクラムを崩しかねないとして、反則を取られます。アイルランドの強い圧力を受けた日本が、たまらず後退したように写りました。ピンチに見えたこの場面ですが、日本の選手たちは全く違う手応えを感じ、逆に“押せる”と考えたのだそうです。

長谷川慎 スクラムコーチ

「しっかり組んだら、こいつら嫌がるなと。あとこういう修正したらこういう風にできるとか分かったと思います」

 

1センチ単位までこだわって作り上げてきた日本のスクラムに対し、アイルランドの選手はまともに組もうとせず、後ろに引く動作を行っていたのです。

 

 

そして、前半34分に再びスクラムの機会が訪れます。スクラム前線の稲垣選手・堀江選手・グ選手は、足並みがずれた先ほどのスクラムから修正し、全員で前に出るように確認。見事にあのアイルランドに打ち勝ったのです。これが、アイルランドの自信を打ち砕く試合の大きなターニングポイントでした。

後半での作戦変更から見えた選手たちの自主性

9−12で折り返した後半、逆転のために日本は事前に予想された戦い方とは異なるプレーに徹します。相手の裏を取るようなキックを封印し、手堅いプレーでボールを保持し続ける作戦を取ったのです。それは、かつてエディー前ヘッドコーチが取り組んでいた愚直なラグビーでした。

 

 

その狙いはどこにあったのか。元バックスコーチの堀川隆延さんはこう読み取りました。

堀川隆延 元バックスコーチ

「アイルランドがアタックをし続けると、ボールを取り返すのがすごい難しいという中で決めたゲームプラン。ゲームプランを変えられるだけのスキルを身につけた」

 

疲れが見えてきたアイルランドに対して、持久力に絶対の自信を持つ日本は次第に攻勢を強めていきます。実は日本の選手たちは、試合の2日前でも激しい練習をやっていたのだとか。

堀川隆延 元バックスコーチ

「2日前にここまでやるのかっていう。世界にそこまでやるチームってないと思うんですよ。それをやりきったときに、もう間違いなくアイルランドに勝つなっていう、そういう印象を受けました」

 

そして後半18分、体力を消耗したアイルランドの選手たちの隙をついて、外側のスペースを使って見事トライ!19−12で勝利した日本は、その進化を強く印象付けました。

相手を走らせて持久力で勝負・サモア戦

開幕から連勝し、勢いに乗ったまま迎えたサモア戦。フィジカルの強いサモアを相手に、日本は38−19とダブルスコアの快勝を見せました。その勝因はどこにあったのでしょう?

 

ゲームを作る巧妙な作戦

その秘密は、ジェイミーヘッドコーチが試合前に選手たちに伝えた作戦にありました。その作戦について、ジェイミーヘッドコーチの通訳を務める佐藤秀典さんはこのように証言します。

佐藤秀典さん

「最初に(キックを)蹴って(サモアの)でかいフォワードを走らせて、背走させて、相手が疲れたりやりたいことをできなくさせる。日本の方が持久力があるから、そこで攻めていこうというプランでしたね」

 

厳しい練習に耐え、持久力には絶対の自信のある日本。序盤から繰り返しキックを蹴り続けました。相手を守りに奔走させることで、徐々に体力を削ります。すると、サモア側に足をつる選手が出始めます。そして試合終盤のラスト10分、日本が一気に勝負をかけ、たたみかけるようにトライを奪い、勝利を収めたのです。

前回大会のリベンジへ・スコットランド戦

そして、決勝トーナメント進出とベスト8をかけた1次リーグ最後のスコットランド戦。実はスコットランドは、前回大会で唯一勝てなかった宿敵です。負ければ1次リーグ敗退が決まるスコットランドは、開始早々から強豪の意地をみせつけます。

 

 

先制トライを奪われるも、慌てることなくオフロードパスやキックを使ったトライを決めた日本は、21−7と大きくリードした状態で後半を迎えます。

25分間、魂のディフェンス

もう後がないスコットランドは、捨て身の肉弾戦を仕掛け、パワーで日本を圧倒し、点差をみるみる縮めます。後半15分には28−21と、1トライ1ゴールの差に迫られます。ここからの25分間はまさに今後の日本ラグビーの発展につながる時間だったと長谷川コーチは振り返ります。

 

長谷川慎 スクラムコーチ

「隣の(堀江)翔太とか稲垣としゃべってまして、でもなんかあいつら自信持ってて、『大丈夫ですよ』って。だから、ハラハラしそうですけど、こいつらがいたから僕も落ち着いて見れましたね」

堀川隆延 元バックスコーチ

「日本代表の選手も、何人かの選手は足が止まってきて、いろんなスペースが見えてきてしまって…。そこにスコットランドが気づいてボールを展開するっていう。そこを本当に必死でカバーする選手の献身的なプレーというのが見られた10分間だったかなという風に思います。」

 
 

こうして、日本は史上初のベスト8進出を果たしたのです!華やかな勝利の裏には、緻密な戦略と厳しい練習によって身につけた高度なプレーがありました。日本中を熱狂の渦に巻き込んだラグビー日本代表。残念ながら準々決勝で南アフリカには敗れましたが、今後もさらなる進化が期待されます。

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