ストーリーラグビー

ラグビーの気になる話(49)森喜朗さんが語る「ワールドカップから東京オリ・パラへ」

2019-11-05 午後 0:00

ラグビーワールドカップ日本大会の盛り上がりを受け大会の招致に尽力した元総理大臣の森喜朗さんが、国内外への普及に向けた期待や運営面の課題を来年の東京オリンピック・パラリンピックにつなげる意欲を話しました。

招致に尽力、開会式では…

元総理大臣の森さんは来年の東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長を務めています。父親の影響でラグビーを始めて以来、長年ラグビーに関わり続け、日本ラグビー協会の会長として国際統括団体との交渉に当たるなど、ワールドカップの日本招致に尽力しました。

 

ラグビーワールドカップ日本大会 開会式(9月20日)

 

そして、9月20日に行われた大会の開会式では、満員となったスタンドを目の当たりにして、多くの人とともに積み上げてきた思いがこみ上げました。

森喜朗さん

私は2003年から招致に向けた活動を始め、『素晴らしいワールドカップの開会式を日本でやりたい、日本人に見せたい』とずっと思ってきた。

スタンドでお客さんを見て、『日本もここまでやれたんだな』とだんだん涙出てきたよ。

大会は成功、今後は伝統国として

これまでワールドカップはイギリスやニュージーランドなどいわゆるラグビーの伝統国で開催されてきました。招致活動を行っている際、日本開催に対しては、こうした国の関係者から「開催国として日本が勝てるのか」とか「観客が集まらないのではないか」などと疑念の声が相次いだと言います。

 

日本代表が初のベスト8進出(10月13日)

 

しかし、今大会で日本代表はアイルランドやスコットランドなどの強豪に勝利し、史上初のベストエイトを達成しました。大会のチケットはおよそ180万枚がほぼ完売するなど成功を収めました。森さんは、招致が決まってからの強化策が実ったという認識を示した上で、今後も日本代表の強化などを続けていくことが大切になるという認識を示しました。

 

森喜朗さん

全国で100年以上もの間、ラグビーを大事に守ってきてくれた人たちのおかげだ。日本にはそれだけの力と基礎があった。

あまりおごってはいけないが、伝統国だけでラグビーを引っ張っていく時代はもう終わった。そして日本も100年以上の歴史があるのだから伝統国として同等にやっていくべきだ。だからこそ尻すぼみになってはいけない。

日本中の心を打った

森さんは、多くの試合会場に足を運び試合を観戦しました。日本代表の活躍で盛り上がった理由についてユニークな見方もしています。

 

森喜朗さん

日本代表が、あれだけ頑張って大きな体の相手にぶつかっていく姿が多くの人たちの心を打ったと思う。

ちょっと言いにくいですけども、日本の男性は草食系が多くなってきていると言われている。久しぶりに肉食系の男子が戦っているのを見たんじゃないかな。それが日本中の女性の心を打ったんじゃないかな。

日本、アジアの普及が課題

大会後のレガシーとして、盛り上がったラグビーへの関心をいかに持続させていくかは大きな課題です。

 

森喜朗さん

『にわかファン』でいい。今の子どもたちは『松島幸太朗だ』とか『福岡堅樹だ』と憧れるんですよ。

そういうスターたちも子供たちと接して普及活動をしていく。選手たちが自覚を持ってやっていくほうが良い普及ができる。次のトップリーグに向けてすばらしいのは今大会に参加した海外の有名な選手たちが、かなり日本のチームに入ります。それがまた全体の向上につながる。

 

そのうえで日本のラグビーが大きな転換点を迎えているという考えも示すとともにアジアなど海外にも日本の役割が求められると話しました。

森喜朗さん

これからも企業依存の社会人スポーツがいいかは、そろそろ考えなければならないでしょうね。プロ化という問題に日本協会は当面取り組むだろうが、ラグビーもそういうところに行くべき時期が来ていると思う。

また、ラグビーは ウイングまでボールを回して展開していくからおもしろい。ラグビーを発展させるためには、アジアへ広げて、さらにはアメリカなどに広げていくことが必要だ。

東京オリンピック・パラリンピックへ

日本は、来年の東京オリンピック・パラリンピックを控えています。森さんは、ワールドカップの成功を東京大会につなげる意欲を示しました。例えば、海外チームに対して国歌を歌って応援するなど、異文化を尊重する日本流のおもてなしが世界に発信されたこともその1つです。

 

ラグビーW杯 ロシア対サモア ロシアの国歌を歌う熊谷東中の生徒ら

森喜朗さん

ラグビーは多くの日本国民の感情も変え、外国の人たちも日本を見る目が変わってきた。そういう効果があったと思う。ラグビーでは多様な人たちがしっかりとスクラムを組むところに感動を覚えているわけですよ。

やっぱりオリンピックやパラリンピックもそういうことになっていくと思う。スポーツが人や世の中を変え、強くしていくと思う。

 

一方で、試合会場で販売される食べ物が不足して批判が噴出するという大規模な国際大会を運営する上での課題もあらわになりました。こうした点については柔軟な対応が必要だという認識を示しました。

森喜朗さん

IOC=国際オリンピック委員会も考えていかないといけない問題だ。

大きなスポンサーの代金は頂いているにしても、もうちょっと自由におおらかにしていかなければならないことがある。

今こそ、キックオフ

最後に森さんはラグビーへの思いを改めて語りました。そこにはラグビーへの愛、これからが本当の勝負だという決意があふれていました。

 

森喜朗さん

僕は『ラグビーのために何ができるか』、その一途なんですよ。私の父親は戦前のラガーマンで、戦争に行くとき 私に『将来これを学べ』とラグビーボールを置いていってくれた。 

僕はいつ命がなくなるかわからないけど、一生懸命奉仕する。そうすれば私に期待してくれた恩師や父親が喜んでくれるんじゃないのかという思いです。これからです。これから。今、キックオフだ。しかしそれは私のやることじゃない。新しい日本協会や新しいファンにしっかり支えられていくことが大事です。

中村 大祐

スポーツニュース部 記者 平成18年に入局。奈良放送局の後、福岡放送局を経て、平成25年の夏に政治部に異動し、厚生労働省や防衛省などを担当。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて去年夏からスポーツニュース部に。高校・大学とラグビー部に所属し、ポジションはバックス。

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